※Pixivより転載
※バトルガレッガ二次創作
4面 「PLANT~Degenecracy.」
大陸北部に位置する海上プラント跡。既に廃墟と化してはいるが、現在は連邦の前線基地としての役割を果たしており、そこかしこに地上攻撃部隊が配備されている。
海。生命の湯(スープ)を湛えた大きな水場。
僕達兄弟も海の風景に癒されながら、個性的で不可思議な海の生き物にデザインや仕組みのアイディアをもらいながら、イルカと遊びながら、魚介類と言う幸を食料にしながら、故郷で生きていた。ただ、連邦国家が兵器開発者(もしくは科学者として)スカウトしてくるまでは…。
俺達の故郷は海に面していた。僻地という言葉の似合いすぎる田舎だったが、漁業や海運が盛んで、重工業も発達しやすかった。
そんな俺達の故郷に、生家と工場(こうば)は確かにあった。
『ウェインガレージ』とかいう名前の。いまさらながら、ネーミングセンスがダサすぎる。ちなみに、そのネーミングを誰が考えたかは全くの不明だ…。ホント、こういうの考えたの誰なのだろうか? …。無論、俺ではないが。
「兄貴、なんでここを戦場にするんだ?」
「連邦国家が配備している対島国用兵器の破壊、そして、連邦の島国他への侵略防止と海上プラントから連邦を追い出すためさ。」
「むーん。難しい…。でも、だから、こんなに人気の無い場所に、連邦が攻めてきてるのか…。」
「む、むぅ。やっぱり、ジェイには難しかったかな…。でも、だいたいあってるよ。」
俺達兄弟がそんな反応をする通りに、人気の無い、ただの打ち捨てられた海上プラントと言う名の廃墟に、連邦国家の軍隊がわんさかわんさか押し寄せていた。よほど『拠点制圧』されたくないのだろう。あぁ…。連邦国家よ。お前の命も、もう残り少ないというのに…。
と、その時、ジェイが俺の思索を台無しにした。
「うわぁ~、俺達兄弟の昔作った恥ずかしい作品を不思議と発見!」
とジェイがいいつつ、俺達兄弟の目前に現れたのは、プロペラ式の全翼機。うん、ダサいね。
「連邦にダサイダサイいわれた記憶が蘇るね…。まず、プロペラがモサモサついているのがアレ。」
「もぅ、それ以上言うな」
しっかし、こういうプロペラ式全翼機というのも、なかなか趣き深いだろう?…流石にダメか。
そういえば、『あの子』も設計図段階の時にもっさもっさプロペラがついていたっけ…。ごめんよ。
もし、君が連邦の手によって製作されていたら、どんな魔改造やアレンジをされているのかな…?
もし、君がそんな感じで俺達兄弟と再会するのなら、会いたいようで、会いたくないな。
…とりあえず、しばらく進んで、パイプが入り組んで出来た網目の下を見ると、戦車がウヨウヨと群れをなして、大量に移動している。多分、俺達を迎撃するために、せっせと戦場の最前線へと急いでいるのだろう。
「戦車多いね。」
「連邦の戦車好きは、昔からじゃないか。」
「それでも、最近になって、また好き度が上がったような。」
「もうここまで来ると、『戦車だぜ、戦車』状態だな。」
やはり、「戦車だせ!戦車!」か、高性能で主力兵器そうな四台もある大型戦車。しかも俺達の行く手を阻むように、スキマ無く配置されている。
そうこうしているうちに、俺達兄弟は一番海に面しているであろう造船所のところまで行き着く。
「あー、ここまではラクだなー。」
「そうだね、周辺施設から、いろいろ物資とかシルバーソードとワイルドスネイルの燃料を補給したんだからな。」
「勝手にもらってきて良いの?」
「おぉ、ジェイ。此処は戦場だぞ?そんなこと言ってられるか!多分、放置されて捨てられているから大丈夫だ!」
「そうだな。」
…納得するなよ。
「おい、それより、そんなことより。ちょっと。見て、造船所に…。あぁっ!兄貴!なんかいるっ!」
ボスは「PS-50 サタニックサーファー」装甲大型ホバータンクである同機は、海上から陸上へのスムーズな移動により、揚陸作戦の大きな味方となるはずであった。しかし、装甲と出力のバランスが取れず、外海での運用は期待できなくなっている。~Stab and Stomp!
…サタサファが出現した。海上プラントの造船施設に配備されていたのだ。
かなり多い数ある鉄橋の間をくぐりながら、俺達はサタサファの後についていく。
効率よくやる戦法としては、サタサファの攻撃を封じるために、砲台を潰していく。ゴールデンバットの凄まじい貫通するほどの威力がそれをラクに達成していく。全部潰し終わると、サタサファは海上に浮かぶ新しい兵装を持ち出して、俺達に全力の戦いを仕掛けてくる。
ここだけだからいうが、サタサファ自体は…。誰も気が付かないし、気にもしないが…。実は、ホバークラフトで動いているんだ。アレ。
だから、いろいろと遅いんだ。下手したら戦車より速度が遅い。原因は装甲と出力のアンバランス、だということは明白にわかっている。とにかく、短期決戦や高速であることが重要視される戦場においては、すさまじく嫌がられるくらいアレだ。すくなくとも『無用の長物』扱いは逃れられない。なので、よく『ウェイン兄弟の失敗作』呼ばわりされた。なにをゆう!お前らのほうが失敗作だよ、ふざけるな!
だが、そんなのを改善するより、同用途の兵器を一から作ったほうが良いし速い、ということが同じくわかっていたし、連邦にもそっちの方を勧められたので、哀れにもサタサファは完全に放置された。いつ廃棄処分やスクラップにされても、全然おかしくはなかった。…そして、今現在に至る。
…もう、これって逆襲ってヤツ?サタサファの逆襲?逆襲のサタサファ?そうだなぁ。人間ってこの世で一番身勝手でエゴしかない生き物だよね。ごめんね、ごめんよ。あとで、スクラップにして鉄の資源に還元してあげるから。
でも、それと相反するように、俺の弟、ジェイは優しくていい子だった。ちなみに、気質的には幼稚園児に近い。
「兄貴、いつも思っていたけど、カブトガニ型小形移動艇かわいいね」
「そうそう。俺達兄弟の作品っぽくて、ワクワクするね。」
「なにいってんだ、兄貴。もともと、俺達兄弟の作品じゃぁないか…。」
「ごめん、ジェイ。そのモデルとなったカブトガニの話をしているんだ…。いろいろ説明が捻じ曲がっているようだね。いつも、モゴモゴする癖だ。はやく矯正しなきゃ。」
「それより、目の前にいる敵、サタサファを…」
その時、散々浴びせてきたゴールデンバットの貫通弾とサーチファイアーの連発が相当堪えたのか、サタサファは脆くも撃沈していく。
「あっ…。」
「…もう終わったのか。」
「周辺の廃墟や兵器工場から、結構な物資や燃料、ナパームや石油を回収していたのが、功を奏したな。」
「そうだね。そなえあればうれいなしだね。放置されて捨てられてたっぽいし。」
「さて、ジェイ。おこがましいし、図々しいが…。ナパームに石油に、休憩。もっと有難く貰っていこう。」
「そうだね。結構疲れたし、風呂とか水浴びもしていこうか。」
「ジェイ、それはダメ!」
そんな暇はない、と弟に説教をしながら、小休憩して、次の戦場へとまた駒を進める。
5面 「CLOUD~Subversive Awareness.」
稲妻きらめく雷雲の中、戦略重爆撃機スレイヤー率いる空中艦隊と遭遇。荒天による有視界戦闘が小型戦闘機に有利に働き、大型機に対しては互角の戦いを行うことが出来るだろう。
雷雲。とても危険な場所。ただし生身の場合。
高性能かつ小型の戦闘機にとっては、ここまでありがたい戦場は無いだろう。隠れる場所もたくさん在るし、視界も勝手に遮られる。
連邦には悪いが、僕達兄弟のガレッガシリーズを上回るほどの性能を持つ、小型の戦闘機はまだ運用されてないし、ロールアウトすらされていない。完全に僕達兄弟の「一騎当千!そなたらこそ真の国士無双よ!」状態である。
それなら、連邦は大型の戦闘機や兵器ほど不利になるこの場所まで、なぜありったけの兵力をここまで投入する?
目の前には、空中浮遊する戦艦が見える。三号機フライングバロンのような艦上戦闘機をたくさん収納できるような。あまりにも、うろおぼえすぎるが、あの戦艦を製作したとき連邦が「もうちょっと砲撃の火力を強くしろ」と言っていたことを思い出した…。
「今思い出すと、連邦も無茶振りだよなぁ…。ペイロードのこと知らないと、とてもああ言うのはいえないよなぁ…。」
「大体、一般人はそんなことは知らないと思うが…。」
「確かにそうだけどさ。『こっちの立場も考えてみな!』、ってヤツだよ。兄貴。」
「まぁ、暴君は俺たちに対しても、なお暴君ということだな。」
空中浮遊する戦艦の森を抜けると、たくさんの雑魚い戦闘機が乱舞していた。けれども、それを軽くあしらって先に進むと、
思いがけない再会に出くわした。
「お、おいっ!!なんでノーズラフィンが!!」
「あー、量産されていたヤツの一機か…。」
「兄貴、そういえばノーズラフィンの設計図は?返してもらったの?」
「いいや、返してもらっていないよ。完全にボッシュ―トだ。」
「…。」
…ウェイン兄弟のモノは連邦国家のモノ、ということか。ますます暴君だな。このろくでなし国家必ず死なす。
…さて、ノーズラフィンは完璧な旧型かつ攻略法もあるので、弱点を正確について、ワイルドスネイルの貫通弾で軽く墜落させる。
それは、実にあっけなく再会が無下になる瞬間だった。
「あぁーぁ。感動が台無しだよ、ジェイ。」
「というより、感動すらしてないし。」
「あっ、今度はマッドボールだ。また、量産された内の一機かな?」
「いい加減、話を聞けよ。アホ兄貴。」
またもやの、感動の再会。本当に、兄貴も連邦もいい加減にしろ!
「兄貴。これは聞くだけ愚かだが、ボールの設計図は…。」
「他と同じく、ボッシュートされました。」
「」
…もう、言葉も出ない。
「あっ、そうそう。攻略法は前と同じだから。でも、ボンバーは俺が撃つよ。ジェイはこれからのために温存しておけ。」
「…はいはい。」
兄貴のおかげ(とは決して認めたくないけど)もあり、僕たち兄弟の余裕しゃくしゃくな連携攻撃で、ボールもラフィンと同じくらいの少ない時間で片付いた。
「…。それにしても…。ジェイ…。」
「兄貴、いったいなに?なんだ?どうしたの?ねぇ?」
「雷鳴の音に混じって、煩いエンジン音が聞こえないか?長時間匂うと気分が悪くなるガソリンのにおいも?同じくデカブツすぎる鋼鉄とプロペラで出来た巨体も?そして、そんなヤツと戦わなければいけないという中の張りつめた冷温高湿度の空気も?」
「何を言っているんだ兄貴!俺たち兄弟は今、有視界飛行とはいえ、五感は実質封じられているんだ!どうして、そんなことが…。あぁ…。」
「…ジェイ、わかるだろ?」
肌ではない触覚器官でわかる張りつめた冷温高湿度の空気。眼でない視覚器官で見えるあまりにもデカブツすぎる殲滅爆撃機の姿。鼻でない嗅覚器官で感じるガソリンのにおい。耳でない聴覚器官に響くエンジン音。確かにこれは…。
「…Yes。そうだよ。ジェイ。あの時、スレイヤーを生産していた大型兵器工場で、ただ一体潰し損ねた、もう完成していたスレイヤーだ。」
…俺たち兄弟の前に『あの機械』が、雷と共に…。
それはまるで、工場で潰された仲間の敵を討つかのごとく…、殲滅爆撃機スレイヤーが姿を現した。
「来たか…。」
なんて煩いのだろう。数ある大自然を支配する摂理の中でも、最も重要といえる重力に逆らってまで、その巨体を浮遊と飛行させるその轟音は。…まるで、人類の傲慢を体現したかのようだ。あるいは、バビロンに建設されたジグラッドのような…。
「兄貴…。良く見てみろよ。こいつ全くの無傷だ。」
「どうやら、あの時こいつだけ100%完成していて、俺達兄弟に潰されないように、避難か防護していたようだな…。」
「それにしても、連邦と『あの機械』側が圧倒的に不利で、俺たち兄弟の方が真逆に有利なのに、どうしてこんな無理をするんだろうか…?」
実際、俺がそう発言したように、スレイヤーの本来有利に働くべき、『超火力を可能にしたペイロード』『頑丈な巨体』というアドバンテージが、雷雲という戦場と、他の戦闘機と同じくらい小回りと撹乱が得意なこの小型戦闘爆撃機二機にあらぬ苦戦を強いられている。
「あと少しの砲台と両翼を潰せば、スレイヤーは沈むだろう。」
「そうだね。たとえ強大な軍事国家・連邦といえども貫通弾と高性能弾丸を侮って欲しくないね。」
「…。そんなことを言っている間に、もうスレイヤーにも終りが来たようだな…。」
スレイヤーが、だんだんと煙と火を噴きながら、巨体の各部分を空中瓦解させていく。
こんな不利な状況での戦闘と言う無理をしたことの結果だった。
「…さてはて。なぜ、十中八九無駄や犬死になるのに、連邦は主戦力になるであろうスレイヤーを、なぜこの雷雲に差し向けたんだろう…?」
「ちょっと!!ジェイ、見ろ、見ろよ!!」
スレイヤーの前方についていたらしき戦闘機格納庫から、見覚えがあるようでない全翼機が出てきた。
それも、数機の手下や子分を従えて。
「「もしかして、『あの子』??!!」」
…『あの子』、かつて俺たち兄弟が、ガレッガシリーズの兄弟として製作に取り掛かり、設計図を書いた段階での、開発と製作が一歩も動かず、僕たちの亡命によって中止された一連の出来事、その中心にいる『張本機』…! もしかして、『あの子』…『ブラックハート』なのか!!
ボスは「G-616 ブラックハート」連邦がウェイン兄弟の残したメモをベースに作り上げた最強の拠点防衛戦闘機。可動式35ミリ機関砲を初めとした武装の数々を搭載したペイロード(※航空機における『運搬量』、ここでは武器や兵器についてを指す)の高さの秘密は、小型ロケットエンジンにある。実働時間こそ20分ほどではあるが、その圧倒的な火力は敵に生存の余地を与えない。~Stab and Stomp!
「あぁぁああ…。我が主よ(Oh My Lord!)。全く、雷雲に入ってから感動の再会ばかりだな…。」
「どっちも感動していないし、喜んでもいないけどな…。」
「うぅむぅ…、確かに反論できない…。」
「あれ…?ところで兄貴、どうしてだ?設計図の段階に書いてあったプロペラが全然ついていないなぁ?やっぱり魔改造したのか…?」
「たぶん、『あの子』は連邦の、特に技術・開発者達のモノなんだ。だから、プロペラを必ず徹底的に廃止せねばならなかっただろう。…まぁー。あの『ぼくたちきょうだいの考えたかっこいい初期案』の致命的なダサさに比べれば、改良の部類に入る魔改造だな。…そう考えると、連邦って意外とまともかもしれないなぁ。」
「そうか…。もう、『あの子』は…。ガレッガシリーズの兄弟じゃ…。…でも、どうする…?兄貴…。ジェットエンジンなんて…、一つでも勝機が、勝ち目があるのか…?」
「大丈夫だよ。ジェイ。…俺に秘策がある。」
兄貴が俺に提示してくれた秘策、それは以下のようなモノだった。
・おそらく、諸事情で20分で可動停止になると思われる。倒せないのなら、それまで逃げ切る。
・性能が弱いシルバーソードとその搭乗者が、後方と下方の支援と攻撃や回避指南をする。
・総力戦になろうと、ワイルドスネイルの貫通弾とボンバーでなるべく倒す。
・
・
・
・
ロケットエンジン。レシプロ機関より、はるかに性能の良い次世代の内燃機関。ウェイン兄弟と言う才能抜きでも、
長年の開発期間と費用を費やし、ここまでの実用化にこぎつけることが出来たのは、連邦国家が世界初であろう、と思われる。
連邦国家にまだ勤務している、ウェイン兄弟以外の兵器開発者は、自己過大評価と自画自賛ながら褒め称えた。
…ブラックハートは、銀河一後方に強い戦闘機だと。誇大妄想もここまでくると、謙虚な人間なら相当な目眩がするだろう。だが、自己定義(アファメーション)は、少々このようなモノが一番効率的に、その創造力を発揮する。
「俺達兄弟が決して見捨てず、連邦が『あの子』に魅入られて設計図を奪い取られずにいたら…。もしかしたら『あの子』が、正式にガレッガシリーズの兄弟として、『生命を受けていた』ことも当然あるんだろうなぁ…。」
「…。だとしたら。きっと…。絶対に、こんな思いはしなくてすんだのに…。もう、こういうのは考えるのは止めよう。ジェイ。ただ悲しくなるばっかりだから。」
「…あっ、すまん。…兄貴。そういえば、この雷雲の下は…。」
「…あぁ。ジェイ。やっと、良い知らせと悪い知らせを兼ねている報告をするけど…。とうとう、ついに、次が俺達兄弟がずっと前から目指している、目的地の本家本元、その名も連邦国家首都だ…。」
6面 「BASE~Megaromaniac.」
敵の総攻撃をかいくぐり、要塞化された連邦軍事中枢部に侵入。内部は巨大な砲台だけでなく、無数の戦車が防衛任務に就いており、難攻不落の要塞と化している。
連邦国家の市街地に入ると、しばらくも経たないうちに気分が悪くなった。
木々の緑も清らかな水も動物や鳥たちの生活も、愛すべき自然がまるで、ない。
連邦本拠地ならではの、容赦ない猛攻にもイヤになったことを差し引いても、その気分の悪さは相当のモノだった。
俺達が連邦国家に勤務していたときは、まだ豊かな自然が残っていて、そこでいろいろと癒しと活力をもらっていたモノだった。
でも、今は跡形も無い。ただ、人間と機械だけの世界。
…イヤ、イヤだ。こんな世界イヤだ。誰が変えたんだ?この国を。誰か望んだんだ。こんな世界を。…一体、誰が?
もしかしたら、もう俺はその答えを、そんな質問をする前に、既に知っているのかもしれない…。
「兄貴…。聞いているのか?俺も息が詰まりそうだ…。なんで、俺達はここまでバカなのだろうか…。」
「…主よ、許したまえ。俺達がいなければ、俺達が天才でなければ、俺達が有能でなければ、俺達が連邦に関わらなければ、そして、俺達が自然を敬い、その環境管理を全うする神の御子であれば・・・・・」
「『人間は万物の霊長ではない』…。『ただの地球上に生息する一種族だ』…。『人為で天を滅ぼすな』…。『人類と言う病原菌、そして、癌』…。たしか、昔、兄貴が教えてくれたことだったな…。…こういうのは。」
俺たちを含む科学者や技術者の、あまりにも偉大すぎる才能と天井知らずの愚かさと未来に対する無知。
…本当に居心地の悪い国に成り果ててしまった。
精神的荒廃、不自然、人為…。
もはや、なにも大事なモノが残されていない連邦国家へと侵略を進めると、明らかに重々しく武装と攻撃力を強化かつ防御力も上げて要塞化した連邦軍事中枢部の入り口へと行き着いた。
だが、そこには、完全に連邦国家の作り上げた未来的機械的世界に似合わない、俺達兄弟の兵器開発最初期、ノーズラフィンとほぼ同時期に作ったベージュ色の旧式飛行機が見えた。
「兄貴。あれ、峡谷でも見たけど。なんか変に場違いだと思わない?」
「確かに、場違いだな。鋼鉄からかもし出される冷淡と無機質の支配する世界に、ただポツンとある、あの古すぎるとても温かみのあるデザインと仕様の飛行機は・・・。」
「そうだね。兄貴。あのベージュ色の旧式飛行機は…。俺たち兄弟が子供のころから親しんできたデザインで、実際、連邦国家に住んでいた始めの頃にも頻繁に使われてたし、これに載せるための兵器や武装だってたくさん開発してきた…。」
「スレイヤーの中にカムフラージュしてまで仕込んだ『あの子』でも、俺達兄弟を屠れなかった。だから、『死刑宣告』なんだよ。これは。…ほら。」
俺がそういうと、お出迎えとその挨拶代わりに、とんでもない猛攻撃と集中砲火が俺達兄弟に向かって飛んできた。
「あぁあああ、うざったいな、うざったい。」
シルバーソードのスーパーナパームで、その弾幕を打ち消しながら、ジェイとゴールデンバットに後方支援を任せる。
本体以外の砲台が、やられるとあっけなく本体も弱気になり、簡単にねじ伏せられて、俺達を連邦の拠点本部への許可を出してくれた。
「…やれやれ。『死刑宣告』は無駄だったな…。」
「さぁ、いこうよ。兄さん。連邦国家のお偉いさん、こいつらだけは必ずシメないと…。」
そういうジェイとともに、俺達兄弟は拠点本部へと侵入する。
それにしても、連邦国外と連邦本国――ついさっきとは打って変わり、戦車、戦車、戦車。連邦国家「戦車出せ戦車」状態。きっと、連邦国家は、イヤになるくらい戦車の大活用――備蓄や配備、大量生産、研究と開発を率先してやっているのだろう。そこまでして戦車が好きなのか?もしかしたら、そういうのは、タンク以前の、チャリオットの時代からかもね。
…それにしても、あぁ。もっとその金を他の事に使え。無論、軍事以外の目的でな。
…とりあえず、農業や公共事業とか。
「ふぅー。目がチカチカする。見事に金属と石油だけの世界だ。ただ唯一の生物、人間はそこに埋もれているだけだ。」
「今まで、機械と自然が同居した峡谷、緑豊かな高地、大型兵器工場に、海上プラントや雷雲…、いろんなところを飛んで、ここを目指してきたが…。」
「いつか、連邦の息がかかっていない周辺国家も、ここと同じようになるのだろうか…。」
「そうだ、ジェイ。連邦の侵略と併合、そして植民を許してはならない。そうならないとしても、影響を受けさせてはいけない。」
「兄貴。やっぱり、…『分割して統治せよ』『権力の分立』か?」
「いい子じゃないか。ジェイ。…そうなんだ。この西方大陸に、大陸統一や独裁政治はふさわしくない。…だけれども、そういう誇大妄想を実現してしまった地域が、『ここ』と反対側の東方大陸にあるね…。」
…まさに、誇大妄想狂(Megalo maniac)の連邦国家。確かにこの国は強い。富国強兵と軍国主義、そして、欧米列強式帝国主義的方面で、最大限にその誇大妄想が発揮されている。事実、俺たちの高性能爆撃戦闘機2機は、今なかなかの苦戦を強いられている。
…それには、冷酷さと無機質さにかけては、見事な機械群――戦闘機・戦車ばかりで目眩がするのもあるけど。
『権力の分立』…。兄貴が教えてくれた、とても身近な西洋由来の知恵。
個人に権力と介入のチャンスを与えず、支配欲と独占欲に支配された権力は、やがて暴君になる。
そう、今。連邦国家が、かつてこの西方大陸を支配した強大な宗教勢力の地位に、とって変わりつつある。
かならず、止めさせよう。もう十分に、独裁政治の辛酸は先祖代々、味わい続けてきたじゃないか。
「…!…見てっ!兄さん…!兄さん…!!……いや、兄貴…!見ろよっ…!!」
やっと、連邦国家壊滅への王手をかけはじめた、俺たち兄弟に向けて『窮鼠が猫を噛む』ように、連邦が差し向けてきたのは…。全勢力をこの場所――死地の為に用意したとしか思えない、戦車とその他兵器の万軍。国家そのモノの死を覚悟しての特攻攻撃なのか?、と思ったけど、違う。本当は多分、それは『足止め』として、だと僕的に思う。…だとするなら、連邦国家の住民を置き去りにして、国家の中枢を担うお偉いさんだけを逃がすエクソダス(出エジプトならぬ出連邦)を決行しているはずだ…。
…あぁ、既にいろいろな意味で『もぬけのカラ』だろうなぁ…。
と、いろいろ弟とやり取りしながら、連邦本拠地の中心を通り越して、反対側の奥へと俺達兄弟はやってきた。その場所に設置された高火力砲台や戦車を軽くあしらうと、仰々しい広い部屋があった。
「ところで、兄…、貴。あっちになんかいる…。…なんか、過去の作品と言うか、今まで封じられていた過去的な何かが…。」
ジェイがそんなにおびえるのなら、きっとそこには『あの子』並みの恐るべき強敵が・・・!と思いきや。
「えぇ?ジェイ、なんだよソレ。…。…あぁー、もう…。なんでこんなところにいるんだよ、『ポンコツ』…。」
ボスは「DT-38A ジャンキーモンキー」元々は地雷敷設や処理を目的とした作業車として開発されていた。しかし、戦局の変化により簡易砲台敷設と、拠点防御の役割を与えられるように生まれ変わった。~Thrust and Thrash!
通称『ポンコツ』。呼び名通りの失敗作・ジャンキーモンキーのことだ。
正直、兵器開発人生で、一番アレはひどい。
まず、デザインがダサい。地雷設置と撤去用兵器のはずなのに、なんか変に派手になりすぎている。
つぎに、本業をこなす地雷設置と撤去を執り行う不器用なアームは、とてもこっけいで無粋なので、昔から直したい、改良したいとずっと思っていた。でも、連邦は何も言わず、「これでよい」と僕に、なにも改良をさせず、結局当初の目的通り、地雷用作業車として使い始めたが…。
「じゃあ、なんでこんなところで拠点防御やってんだよっ??!!」
「それは、こっちが連邦に訊きたいよっ!!」
やはり、連邦はどこまでも身勝手だった。野郎、必ず死なす。
…さて、
…アーム動作のバンザイ、結局変えてないのかよ。
「…兄貴。これはひどいよねぇ。」
「ああぁさ、ひどいよひどい。」
「こんなの兵器として通用するわけないよね。」
「そうだよね。」
もっと早く廃棄しておけよ…。国家のクズ…。
だが、幸いなことに、ジャンキーモンキーは脆く弱かった。すぐに俺達兄弟のあまり気合の入らない攻撃ですぐスクラップになってくれた
おかげで、連邦国家へのチェックメイトを実質かけることができた。
「あー。『ポンコツ』も、もうスクラップになっちまって…。」
「それより、そんなことより!連邦のお偉いさんはもう、キングクリムゾンで大脱出を…。でも、ヤツらはいったい、今どこにいるんだ…?
「…ジェイ、思い出せよ。キングクリムゾン専用秘密滑走路の場所は、連邦と仲良くなり始めたころに教えてもらっただろ…?」
「そうか…。そうだね!俺も、いや僕も思い出した!悪の連邦国家よ!僕たち、いや、俺たち兄弟に、仲間だからと言って、友愛に満ちた味方の証に、軽々しく秘密滑走路の場所を教えたことが、やっと今になってこんな結果が出たことに恐怖するがいいっ!」
7面 「AIR PORT~Marginal Conciouness.」
・・・俺、いや僕は、昔はとても不適格な男の子だった。女々しかった。ただそれだけだったが、うちの家内はそれを相当気にしていた。実のところ、俺の兄貴、・・・いや、僕の兄さんもそうだった。変に女性的な側面を持っていたのだ。僕たち兄弟はやんわりと優しくて、自然や動植物を敬う心を最低限持っていて、それで武力と武力の衝突が嫌いだった。ただ好きだったのは、船艇に飛行機、乗用車などの乗り物や、いかにもゴテゴテした機械…。
とにかく、東西混血の不良青年や東洋の格闘家のように、「テメーは俺が裁く!」「オレはオレより強いヤツに会いに行く」という性格では決してなかった。僕たち兄弟は、そういう男のバカみたいな特性が自分にも潜んでいることを理由に、つかみどころのない自己嫌悪ばかりをしていた。
…結局、とどのつまり。僕たち兄弟は、その生まれながらの本質を保った状態で、土に還るまで僕でありたい。
でも、教師や家内はそれを許さなかった。特に、僕たち兄弟の父マシュー・ウェインが。
男は男らしく生きる。それが当然だ。お前等はわが息子というのに、変に男らしくない女々しいところがある。情けないモンだ。
だから女々しい僕なんていう一人称を使うな、お前の兄さんであるブライアンのことは兄貴と呼べ、レディーファーストかつ基本無言でいろ、最高峰に達した技師と飛行士は常日頃から何事にも動じない。いつも、感情的にクールでなければ。もしできないのなら、そいつは完璧に失格だ、と父マシューに耳にタコができるほど言われた。
…今更、思う。なぜ、自分の「NO!」という意見より、相手への「YES!」を優先してしまったのか、を…。
「もう、一人称に『俺』はやめよう。ジェイ。これからは誰に対しても、『僕』を使おう。それと、いくら女々しくったって、男らしさに訂正しない。女々しいところに、野郎臭いところ。必ず、誰にだって個性として、そういうところはあるのだから…。」
「じゃあ、『兄貴』。いや、『兄さん』。これからは俺も…いや、僕もそう呼ぶよ。よろしくね、兄さん。」
「ジェイ…。そうだな、じゃあ『あの子』、ブラックハートMk-2をまず倒そう。そして、暗愚の君と呼ぶべき連邦国家の醜い為政者たちを。…僕達兄弟二人、この戦争を勝ち抜いて、必ず生きて帰ろう。さぁ・・・!」
…さぁ、見せてあげよう。最高の境界人精神(Marginal conciousness)を。
秘密滑走路から離陸を始める超大型脱出機「キングクリムゾン」を追撃する。途中、ロールアウト(※『公開』『リリース』などと同義。即ち、民間などの世の中に出されること)されたばかりの最新機「ブラックハート2」とのドッグファイトを行いつつこれを撃破し、キングクリムゾン緊急脱出ユニットを追撃する。~Marginal conciosness.
「…そういえば。連邦国家に入って昔開発・製作した作品をたくさん見たね。」
「…。懐かしい?」
「Yesだよ。懐かしい。」
「もう、過去には戻れないのか…。」
「…連邦が、こうやって本気になって、今まで以上に殺しにかかってきている以上、当たり前かつ無理な話だよ。」
「そうだね…。」
これで、もう何もかもが終り、なのか。そして、また、一から始まる、のだろうか。もしくは、永遠へと回帰(Return to Forever)するのだろうか。もしかして、古い円環運動が終わって、新しい円環へと移るのか!!あるいは、円環の方向性が変わるだけなのか?!輪を作る蛇が他のに交代するのか、輪を作っている蛇が脱皮するのか?!いや、その代わりに、彼、あるいは彼女の意識が変革するのか?!
…やっぱり、円環(トーラス)は神聖なんだ。ましてや、その中心にいる主は。多分、きっと。円環という境界は、そのモノの住まわれる場所なのだろう…。
…いくら時間がかかろうと、僕たち兄弟の創造も、いずれそうなるのだろうか?
確かに、そうなるように、いつも憧れは普段から持っていたけど…。でも、それは連邦に勤めるようになってから、心のどこかにも置かずに捨てていってしまったんだけれど…。
「キングクリムゾン…。あぁ…、えぇと…。いつの作品だっただろうか…。」
「とてつもなくデカい作品だからね。それと同じようにとてつもない人数が関わっているんだし…、きっと大元であるはずの僕達兄弟が覚えていないほど、印象が分散しちゃって薄いんだよ。…現に、僕も覚えていないし。」
「連邦国家全体の作品かぁ…。だけど、そのお偉いさん方が関わった人たちをほぼ全部見捨てて、国外脱出をはかってるね…。」
「それにしても、この国って、変に肥大化しちゃったね。でも、こうして潰そうとしているウェイン兄弟という当の本人達が言うのもな…。」
まだ滑空初期段階で、かなり鈍足のキングクリムゾンを攻撃する。空を飛ぶためのジェットエンジンや中小の翼、それに砲台はみるみるうちに潰されていく。
「兄さん…、なんでだろう…。また『あの子』が…。」
「いや…、ジェイ…。よく目を凝らして注意するんだ。形状や見た目が少し違う。さっき倒した『あの子』じゃない。…いうならば、『Mk-2』だよ。」
…銀河一後方に強い戦闘機第二号――と呼ぶべき、もう一人の『あの子』という名の『Mk-2』。
そして、完全極まりない鉄壁の守護神に甘んじて、あぐらをかく総大将グロウ・スクゥイード。
敵味方問わず、総大将はいつの世も暢気なヤツほど、戦争への備えが甘い。
多分だが、グロウ・スクゥイードもそうだろう…。少なくとも、藁をも掴む思いで、そう信じたい。
確かによくみると、mk-2にはジェットバーナーがついていない。ただし、その代わりに小回りの効く、機敏性の優れた高性能ジェットエンジンと無印『あの子』よりバラエティーに富んだ多種多様の武装を積んでいるようだ。
史上最大の大盤振る舞いといわんばかりの機雷攻撃。
弾丸の圧倒的物量とそれらの作り上げる弾幕で攻め上げる束縛攻撃のワインダー。
…あぁ。『あの子』に、もどきとはいえ…、攻められて蹂躙されていくのは、とても…。精神に来るモノがある。
それに僕達兄弟はもう、満身創痍に近いのだし…。別に、こういうのが好きで、気持ちいいわけじゃぁないよ。全く!
ウェイン兄弟本人の言う『あの子』があっけなく、彼等によって撃墜されていった。おそらく、斬新な兵器としてロールアウトされたばかりなので、まだ量産作業がこなれていない、または、全く新しい技術であるため、確固たる安定した技術確立をされていないため、であろうと思われる。陳腐ながら、初期製品にはありがちすぎることだ。
それに、無印版『あの子』以上に、弾丸や武器、エネルギーやパーツの消耗が激しいのかもしれない。
…考えたくは無いが、もしかしたら、ワインダー攻撃や機雷を変に乱発しなければ、我らがウェイン兄弟の敗北、即ち連邦国家の勝利だったに違いない。
それは、連邦国家にとっては、反逆者のリーダー、宋江が毒杯を煽って死に、替天行道の瓦解による、宋王朝の天が認めた存続というハッピーエンドにも似た感じの勝利だろうか。…だが、今現在の西方大陸には、絶対的権力を持つ皇帝はいないのだから。それに、『分割して統治せよ』だし…。
「もう一人の『あの子』…。僕達兄弟の作品では決して無いのに…。どうしてこんなに虚しい気持ちになるんだろうね…。」
「似非の『あの子』なのだけれども、結局『あの子』と同じような愛着が、変に湧いちゃったのかなぁ・・・。それとも、僕達兄弟はもう、こんなに機械を嫌悪していても、もう、実質機械なしでは生きていけないから…かな。どうしてだろう…?自分でも分からないや…。」
「で、さ…。それより兄さん…。はやく、はやく追いかけなきゃ、僕達兄弟が倒すべき総大将、グロウ・スクゥイードをっ!!!!!!」
「あぁああああああああああああ!!!!忘れてたぁっ!!!!!!ジェイ、速くしなきゃ!!!!!速く追いついて倒すんだぁっ!!!!!」
ボスは「DT-070 グロウスクイード」キングクリムゾンは搭乗者に対する二重、三重の脱出策を備えており、コックピットユニットが自力で飛行、攻撃能力を備えている。そのユニット部はグロウスクイードと名付けられ、これに加えて更に脱出ユニットが内蔵されている。~Emputor
グロウ・スクゥイードを守るための、下っ端連邦兵士たちの限りなく自殺に近い戦闘機による決死の特攻攻撃を潜り抜け、僕達兄弟はやっと、グロウ・スクゥイードとの最終決戦に臨む。
「さぁ、完全に追いついたぞ、諸悪の総大将め。」
「でも、あの中に連邦のお偉いさんが乗っているんだよね。潰したら、連邦どうなるんだろうか…?」
「独裁政治ではなくなって、民主政治になるんだろう。皇帝制度が廃止されて、大統領制になるか、あるいは王族を残して、首相制にするか。のどれかになるだろうね。…いずれにせよ、戦争は終りだ。」
「そうだね…。また平和が戻ってくるんだ。…尊い犠牲と痛ましい傷跡、悪影響と汚れた歴史を多大に残しながら…。」
「悪影響と汚れた歴史か…。それなら、この戦争は西方大陸全土を巻き込んだ戦乱と言うことで、『大陸戦争』という名で歴史上で語り継がれるだろうな…。無論、僕達兄弟の名前を抹消して…。」
古今東西問わず、歴史書ほどこの世で一番都合の良いモノはない。
「兄さん、シルバーソードが…。」
兄さんの愛機・シルバーソードは瓦解寸前だった。今にも大破しそうなくらいズタボロで、そして、僕は兄さんがいなくなるという恐怖におびえた。だけど、兄さんは。
「大丈夫だ。大丈夫。絶対大丈夫だから。心配するな。神の名において大丈夫だよ。」
「そういうのは、明らかに嘘っぽいし、違うよっ!!兄さんっ!!シルバーソードごと死なないで!!お願いだから!!」
「ジェイ…。それより。僕達兄弟は、大陸戦争への償いとして、・・・いや。…ただ単に気分や精神的な理由でもいい…。この戦争が終わったら、パイロット兼機械技師を止めるべきだと思うか?」
「…僕はもう止めたい。機械とは一切関係ない職業に就きたい。羊飼いや道具職人とか…。それに、こんなことになってしまうのなら、それが心残りになりすぎて、車や飛行機どころか、機械全般との付き合いや世話なんて、絶対に、もう一生うまくやれないだろう、だから…。」
「…ほら。…だから、ジェイ。大丈夫だよ。次こそは、次こそは…。」
僕は、最小限だけ残されたこれっぽちすらない生命力を振り絞り、愛する弟ジェイをこの一言で励ます。
「大丈夫。…次こそはうまくやれるさ。」
エンディング 「Blood Brothers in the Dawn.」
…夜明けだ。それは、目の前で展開された一連の出来事と連動して、一日にして連邦国家が壊滅したことを告げていた。
少なくとも、軍事国家と独裁国家の側面は、完璧に消え失せたのだ。
…しかし、だけれども。愛機ゴールデンバットの燃料メーターは、すでに『御臨終』のサインを出していた。
そのガレッガシリーズ最強を誇る機体も、グロウスクウィードとの激戦によって、満身創痍そのもの…。
墜落、地面への激突、そして、死。これが宿命(Fatality)か…。
僕は当然ながら、「やっと死ねる」と「まだ生きてたい」という完全に水と油のように矛盾する二つある気持ちが、壮絶なせめぎあいをする中で戦慄に駆られた。
さて、兄さんはどこだろう…?なぜ、探すのだろう。だって、愛する兄さんと一緒に死にたいから。やっと見つけたら、僕は、現実と夢は紙一重、という概念が、『しれない』から『そうである』に変わった。
兄さんが、シルバーソードごと落下していく。燃料切れと多くの機体ダメージという要素が重ねられた上に、さらに重なり、シルバーソードはその搭乗者(パイロット)とともに、大きく鉄の体を瓦解させながら墜落していく。しかも、その搭乗者(パイロット)――兄さんは気絶している。死に至るほどの疲弊で、心身の耐久限界を軽く突破し、力尽きたのだ。そう、彼自らの意志では、パラシュートは開けない。開くことができないのだ。…兄さんは、もう生きることを選ばないから。
…彼は助からない。これから、兄さんは地面に叩き付けれて、魂と心が詰まった肉体という入れ物が、とても高い所から落としたラジオ受信機のようにバラバラになって、兄さんではなくなる。だけれども、結局それは僕も同じなんだ…。
だって、戦闘機や飛行機は、搭乗するパイロットにとって、時に空飛ぶ死刑執行設備であるのだし、それに、僕たち兄弟に哀れにも撃墜された、名も無き多くの戦闘機に乗っていたパイロットたちが、同じようにそういう風に死んでいったのだから…。
…すなわち、ただただ、僕たちは『彼ら』と同じ運命、ただそれだけことだ…。
…、あぁ。どうやら僕は、彼らよりも兄さんと同じ運命らしい。おかしいな、歳は2歳違いで、血の受け継ぎ方もこんなに違う、ほとんど似ていない実の兄弟なのに。一卵性の双子ではないのに。どういう風に、間違っても…。ねぇ…どうして…?
…。
もう、天寿は全うできない。もう、諸々の犠牲者へ償いはできない。…むしろ、手向けすらできない…。
もう、みんな終わりなんだ…。嗚呼、あの天に煌く星になるんだ。あるいは、それよりもひときわ輝く星雲。
なぜか、そういう淡い展望が、一瞬脳裏に浮かんだ。…でも、どうして逆の場所や運命ではないのだろう…?
…。あっ…、う…、ぐっ…、う゛…、くっふ…。あぁ…。酸素(エア)の切れたパイロットほど、苦しいのだ。今だって。
右は?左は?上は?下は?何がどれなんだ?何を基準に、それらを知ればいい?…もしかして、これが眩暈(Vertigo:ヴァーティゴ)?
あぁ、わかった。もう、ついに…。
…僕は、業や束縛された感情から解放された、その一番高い天で、至高の喜びを噛みしめているはずなのに、現実の観点では、天国からもっとも近い航空高度から、地獄にもっとも近い地上へと今、叩きつけられている。…結局、全部夢なんだ。
それでも、この思いは確かな現実だと信じて。…愛しているよ。ずっと一緒にいようね…。兄貴…、いや、兄さん…。さようなら。愛している。…今度こそ、本当にさよなら。でも、これだけは言わせてね…。
「ありがとう…、兄さん。」
ゲームオーバー 「Fatality…?.」
「…。…僕はまだ生きているのか。地獄や天国にいるのではなく。」
ブライアンは、やっぱりというか、当然と言うか、もしかして、これ自体が夢ではないのか?という疑いの顔をしている。
「俺様が助けたんだよ。感謝しな!」
「本当にすみません。ガインさん。弟ジェイは…?…チッタちゃんたちは…?」
「あー、弟さんか。あいつらが、他のところを探しているぜ。『まだ生きていたら』の話だけどな…。」
「ジェイ…。そういえば。…そうだ。…ああ、こうやって長く眠っていた間、夢を見ていた…。」
「…どんな夢だったんだ?」
「すごく、良い夢だった…。まだ、親父と母さんがまだ生きていて、僕達にとって、本当の両親だった頃の…。優しくて、暖かい。でも、僕達兄弟の間にすら、もう、その温もりは、ほとんど残っていない…。だって、それを思い出そうとすると、両親の連邦国家的かつ鋼鉄兵器のような…、そんな心と精神を絞め殺されるような、冷酷さの痛みと苦しみが、皮肉にも増してしまうからだ…。」
ブライアンの暗い発言を聞いて、黙ってしまう。そんなのモノは、俺様の時代にはない。実に幸せなことだな。
「結局のところ、僕達兄弟は『例外』だった。…それでも、家族と兄弟姉妹の間でしか味わえない温もりと幸せを、無残かつ無慈悲に奪ってしまったことは…。そして、彼等の故郷を、…僕達の国もそうだが、砂漠や荒野のレベルまで衰退かつ壊滅させてしまったことも…。…僕達科学者は、何百回死んでも、2000万マルク以上金銭を稼いで、それを彼等の遺族や復興への資金に当てるとしても、それをある程度でさえ、償うことは決して出来ないだろう…。
それは、高性能極まりない爆弾を作った優秀な科学者でなくても、極々普通の良識豊かな科学者でも、…それは、僕達ウェイン兄弟のような、『マッドサイエンティスト』でも、それは必ず全く同じだろう…。…今現在から遥かな未来まで、世界中の科学者や技術者が、非暴力と平和のためだけに、科学技術を使って、その為の研究を行うことを、その身を、その心を、その魂を…。このウェイン兄弟の全てを捧げて祈るしかない。
…そう、『For God's Sake(神の名にかけて頼むから).』。」
…そして、
もう、シルバーソードも大破してしまった。それはゴールデンバットも同じだろう。
もう、空を殺戮の為に、爆撃機で駆る必要は無い。と言って、彼は鉛色の空に似た、あまり目立たない色をしたメットとゴーグルを、いままでイヤというほど、纏わりついていた運命と宿命を、自身を永遠に解放するかように、同じように投げ捨てるかのように、豪快に脱ぎ捨てた。
「…。…僕はもう死んだのか…。ここは天国なのか?それとも地獄?」
「ジェイ君、ここは内燃機関(ディーゼルパンク)黄金時代の地球よ。」
ジェイ君は、やっぱり自分が死んでいると思い込んでいたらしく、これは現実なのか?と、とても不思議そうな顔をした。
「えっ…、現実(ホント)?」
「そうよ。ジェイ君はまだ生きているのよ。私たちが、即急に探しだして貴方を救助と保護したの。」
「そうか…。じゃあ、ブライアン・ウェイン、僕の兄貴、いや兄さんはまだ生きてるの?」
「ええ、生きているわ。貴方たち、兄弟二人とも無事よ。神様に感謝しないとね…。」
「…本当に、本当によかった。…チッタちゃん、ありがとね。そうだよ。これは神様に、心から感謝しないと…。」
「…そうそう、奇跡の生還を果たしたんだから、また再会したときに、こう兄さんに言わなきゃ。『次こそは、絶対うまくやれるよ。兄さん。』って。」
…そして、
もう、ゴールデンバットも大破してしまった。それはシルバーソードも同じだろう。
もう、大陸を戦争の為に、戦闘機で駆る必要は無い。と言って、彼は、彩やかに青い景色をイメージした色のメットとゴーグルを、越えることのできないはずだった定めを乗り越えた英雄のように、痛快に脱ぎ捨てた。
後日談「Blue Scape.」
…あれから、ウェイン兄弟はどうなったのだろう。
【あとがき】
○前作・鋼鉄の機心以上に原作準拠にした理由。
過去作、悲哀兄弟や鋼鉄の機心などで、ウェイン兄弟の性格や気質設定に、強い違和感をもたれた方は相当いる、と個人的によく感じます。ウェイン兄弟は硬派で男臭くあるべきなのに、著者本人、ちょっとひねりすぎた、または調子に乗りすぎたかな、と思っています。…ですので、今回は…。結局、あまり変わらないのですけど、ちょっと硬派にしてみました。
…前半だけは。
○かわいい性格のウェイン兄弟が好きな方々へ。
過去作、悲哀兄弟や鋼鉄の機心などで、原作とは性格や気質がかなり違うはずなのに、とても「こっちのほうが好きだよ」と言ってくれた方。ありがとうございます。そしてすみません。あのキャラ付けは、正直、本気でバトルガレッガを愛している人たちに、申し訳ないと思っていました。そして、一度くらい私は、原作の硬派でワイルドな兄弟を見てみたかったのですが…。
…なので、今回はとりあえず、かなりいつもどおりにしてみました。
…後半だけは。
○どうでもよすぎて死ぬ余談。
兄弟の乗ったガレッガシリーズ二機が大破、っていうところで、バトルガレッガ本編で何事も無く復活してるのを思い出して、これかいてる執筆者本人の癖に、腹筋が豪快に弾け飛ぶほど笑った。
○ウェイン兄弟の言う『僕達』と『僕たち』は一体誰を指すのか?
基本、定義は広いです。主宮設定ではウェインさん家の兄弟は、戦闘機で空を飛んでいなくても、常に鳥瞰や俯瞰視点でモノを見れます。僕達(たち)の後に、兄弟がつかない場合は、兄弟の時代を生きる人、故郷の人、西洋人、人類、そして、仲間ということが、ほとんどです。逆に、後に兄弟がつくと、確実にウェイン兄弟のことだけを指しています。そんな感じです。
ちなみに、ウェインさん家の兄弟は兄弟姉妹と言うと、全人類のことを指す文化圏で生まれて、育ってきている人たちです。
儒教的な漢語圏の感覚とは、ほぼ関係ない兄弟姉妹の感覚を持っています。もちろん、ウェインさん家の兄弟的な感覚では『家族としての兄弟』という意味合いが強いです。そもそも、公式の時点で彼等兄弟が、血兄弟なのか義兄弟なのかすら曖昧です。
でも、そういう文化圏だし、血統を重んじる風習なんてほぼ皆無だから、基本的に気にしません。…結局のところ、『四海兄弟(Brotherhood of man)』ですし。
○有神(造化)論者でインテリジェントデザイン論者のウェイン兄弟。
まず、インテリジェントデザイン論とは。
(参考:)
○ウェイン兄弟のメットとゴーグルをはいで両方ともの素顔を見れたら100万円!
後日(嘘)。
ピースフルロータスランド
ピースフルチャイニーズキッチン
※バトルガレッガ二次創作
4面 「PLANT~Degenecracy.」
大陸北部に位置する海上プラント跡。既に廃墟と化してはいるが、現在は連邦の前線基地としての役割を果たしており、そこかしこに地上攻撃部隊が配備されている。
海。生命の湯(スープ)を湛えた大きな水場。
僕達兄弟も海の風景に癒されながら、個性的で不可思議な海の生き物にデザインや仕組みのアイディアをもらいながら、イルカと遊びながら、魚介類と言う幸を食料にしながら、故郷で生きていた。ただ、連邦国家が兵器開発者(もしくは科学者として)スカウトしてくるまでは…。
俺達の故郷は海に面していた。僻地という言葉の似合いすぎる田舎だったが、漁業や海運が盛んで、重工業も発達しやすかった。
そんな俺達の故郷に、生家と工場(こうば)は確かにあった。
『ウェインガレージ』とかいう名前の。いまさらながら、ネーミングセンスがダサすぎる。ちなみに、そのネーミングを誰が考えたかは全くの不明だ…。ホント、こういうの考えたの誰なのだろうか? …。無論、俺ではないが。
「兄貴、なんでここを戦場にするんだ?」
「連邦国家が配備している対島国用兵器の破壊、そして、連邦の島国他への侵略防止と海上プラントから連邦を追い出すためさ。」
「むーん。難しい…。でも、だから、こんなに人気の無い場所に、連邦が攻めてきてるのか…。」
「む、むぅ。やっぱり、ジェイには難しかったかな…。でも、だいたいあってるよ。」
俺達兄弟がそんな反応をする通りに、人気の無い、ただの打ち捨てられた海上プラントと言う名の廃墟に、連邦国家の軍隊がわんさかわんさか押し寄せていた。よほど『拠点制圧』されたくないのだろう。あぁ…。連邦国家よ。お前の命も、もう残り少ないというのに…。
と、その時、ジェイが俺の思索を台無しにした。
「うわぁ~、俺達兄弟の昔作った恥ずかしい作品を不思議と発見!」
とジェイがいいつつ、俺達兄弟の目前に現れたのは、プロペラ式の全翼機。うん、ダサいね。
「連邦にダサイダサイいわれた記憶が蘇るね…。まず、プロペラがモサモサついているのがアレ。」
「もぅ、それ以上言うな」
しっかし、こういうプロペラ式全翼機というのも、なかなか趣き深いだろう?…流石にダメか。
そういえば、『あの子』も設計図段階の時にもっさもっさプロペラがついていたっけ…。ごめんよ。
もし、君が連邦の手によって製作されていたら、どんな魔改造やアレンジをされているのかな…?
もし、君がそんな感じで俺達兄弟と再会するのなら、会いたいようで、会いたくないな。
…とりあえず、しばらく進んで、パイプが入り組んで出来た網目の下を見ると、戦車がウヨウヨと群れをなして、大量に移動している。多分、俺達を迎撃するために、せっせと戦場の最前線へと急いでいるのだろう。
「戦車多いね。」
「連邦の戦車好きは、昔からじゃないか。」
「それでも、最近になって、また好き度が上がったような。」
「もうここまで来ると、『戦車だぜ、戦車』状態だな。」
やはり、「戦車だせ!戦車!」か、高性能で主力兵器そうな四台もある大型戦車。しかも俺達の行く手を阻むように、スキマ無く配置されている。
そうこうしているうちに、俺達兄弟は一番海に面しているであろう造船所のところまで行き着く。
「あー、ここまではラクだなー。」
「そうだね、周辺施設から、いろいろ物資とかシルバーソードとワイルドスネイルの燃料を補給したんだからな。」
「勝手にもらってきて良いの?」
「おぉ、ジェイ。此処は戦場だぞ?そんなこと言ってられるか!多分、放置されて捨てられているから大丈夫だ!」
「そうだな。」
…納得するなよ。
「おい、それより、そんなことより。ちょっと。見て、造船所に…。あぁっ!兄貴!なんかいるっ!」
ボスは「PS-50 サタニックサーファー」装甲大型ホバータンクである同機は、海上から陸上へのスムーズな移動により、揚陸作戦の大きな味方となるはずであった。しかし、装甲と出力のバランスが取れず、外海での運用は期待できなくなっている。~Stab and Stomp!
…サタサファが出現した。海上プラントの造船施設に配備されていたのだ。
かなり多い数ある鉄橋の間をくぐりながら、俺達はサタサファの後についていく。
効率よくやる戦法としては、サタサファの攻撃を封じるために、砲台を潰していく。ゴールデンバットの凄まじい貫通するほどの威力がそれをラクに達成していく。全部潰し終わると、サタサファは海上に浮かぶ新しい兵装を持ち出して、俺達に全力の戦いを仕掛けてくる。
ここだけだからいうが、サタサファ自体は…。誰も気が付かないし、気にもしないが…。実は、ホバークラフトで動いているんだ。アレ。
だから、いろいろと遅いんだ。下手したら戦車より速度が遅い。原因は装甲と出力のアンバランス、だということは明白にわかっている。とにかく、短期決戦や高速であることが重要視される戦場においては、すさまじく嫌がられるくらいアレだ。すくなくとも『無用の長物』扱いは逃れられない。なので、よく『ウェイン兄弟の失敗作』呼ばわりされた。なにをゆう!お前らのほうが失敗作だよ、ふざけるな!
だが、そんなのを改善するより、同用途の兵器を一から作ったほうが良いし速い、ということが同じくわかっていたし、連邦にもそっちの方を勧められたので、哀れにもサタサファは完全に放置された。いつ廃棄処分やスクラップにされても、全然おかしくはなかった。…そして、今現在に至る。
…もう、これって逆襲ってヤツ?サタサファの逆襲?逆襲のサタサファ?そうだなぁ。人間ってこの世で一番身勝手でエゴしかない生き物だよね。ごめんね、ごめんよ。あとで、スクラップにして鉄の資源に還元してあげるから。
でも、それと相反するように、俺の弟、ジェイは優しくていい子だった。ちなみに、気質的には幼稚園児に近い。
「兄貴、いつも思っていたけど、カブトガニ型小形移動艇かわいいね」
「そうそう。俺達兄弟の作品っぽくて、ワクワクするね。」
「なにいってんだ、兄貴。もともと、俺達兄弟の作品じゃぁないか…。」
「ごめん、ジェイ。そのモデルとなったカブトガニの話をしているんだ…。いろいろ説明が捻じ曲がっているようだね。いつも、モゴモゴする癖だ。はやく矯正しなきゃ。」
「それより、目の前にいる敵、サタサファを…」
その時、散々浴びせてきたゴールデンバットの貫通弾とサーチファイアーの連発が相当堪えたのか、サタサファは脆くも撃沈していく。
「あっ…。」
「…もう終わったのか。」
「周辺の廃墟や兵器工場から、結構な物資や燃料、ナパームや石油を回収していたのが、功を奏したな。」
「そうだね。そなえあればうれいなしだね。放置されて捨てられてたっぽいし。」
「さて、ジェイ。おこがましいし、図々しいが…。ナパームに石油に、休憩。もっと有難く貰っていこう。」
「そうだね。結構疲れたし、風呂とか水浴びもしていこうか。」
「ジェイ、それはダメ!」
そんな暇はない、と弟に説教をしながら、小休憩して、次の戦場へとまた駒を進める。
5面 「CLOUD~Subversive Awareness.」
稲妻きらめく雷雲の中、戦略重爆撃機スレイヤー率いる空中艦隊と遭遇。荒天による有視界戦闘が小型戦闘機に有利に働き、大型機に対しては互角の戦いを行うことが出来るだろう。
雷雲。とても危険な場所。ただし生身の場合。
高性能かつ小型の戦闘機にとっては、ここまでありがたい戦場は無いだろう。隠れる場所もたくさん在るし、視界も勝手に遮られる。
連邦には悪いが、僕達兄弟のガレッガシリーズを上回るほどの性能を持つ、小型の戦闘機はまだ運用されてないし、ロールアウトすらされていない。完全に僕達兄弟の「一騎当千!そなたらこそ真の国士無双よ!」状態である。
それなら、連邦は大型の戦闘機や兵器ほど不利になるこの場所まで、なぜありったけの兵力をここまで投入する?
目の前には、空中浮遊する戦艦が見える。三号機フライングバロンのような艦上戦闘機をたくさん収納できるような。あまりにも、うろおぼえすぎるが、あの戦艦を製作したとき連邦が「もうちょっと砲撃の火力を強くしろ」と言っていたことを思い出した…。
「今思い出すと、連邦も無茶振りだよなぁ…。ペイロードのこと知らないと、とてもああ言うのはいえないよなぁ…。」
「大体、一般人はそんなことは知らないと思うが…。」
「確かにそうだけどさ。『こっちの立場も考えてみな!』、ってヤツだよ。兄貴。」
「まぁ、暴君は俺たちに対しても、なお暴君ということだな。」
空中浮遊する戦艦の森を抜けると、たくさんの雑魚い戦闘機が乱舞していた。けれども、それを軽くあしらって先に進むと、
思いがけない再会に出くわした。
「お、おいっ!!なんでノーズラフィンが!!」
「あー、量産されていたヤツの一機か…。」
「兄貴、そういえばノーズラフィンの設計図は?返してもらったの?」
「いいや、返してもらっていないよ。完全にボッシュ―トだ。」
「…。」
…ウェイン兄弟のモノは連邦国家のモノ、ということか。ますます暴君だな。このろくでなし国家必ず死なす。
…さて、ノーズラフィンは完璧な旧型かつ攻略法もあるので、弱点を正確について、ワイルドスネイルの貫通弾で軽く墜落させる。
それは、実にあっけなく再会が無下になる瞬間だった。
「あぁーぁ。感動が台無しだよ、ジェイ。」
「というより、感動すらしてないし。」
「あっ、今度はマッドボールだ。また、量産された内の一機かな?」
「いい加減、話を聞けよ。アホ兄貴。」
またもやの、感動の再会。本当に、兄貴も連邦もいい加減にしろ!
「兄貴。これは聞くだけ愚かだが、ボールの設計図は…。」
「他と同じく、ボッシュートされました。」
「」
…もう、言葉も出ない。
「あっ、そうそう。攻略法は前と同じだから。でも、ボンバーは俺が撃つよ。ジェイはこれからのために温存しておけ。」
「…はいはい。」
兄貴のおかげ(とは決して認めたくないけど)もあり、僕たち兄弟の余裕しゃくしゃくな連携攻撃で、ボールもラフィンと同じくらいの少ない時間で片付いた。
「…。それにしても…。ジェイ…。」
「兄貴、いったいなに?なんだ?どうしたの?ねぇ?」
「雷鳴の音に混じって、煩いエンジン音が聞こえないか?長時間匂うと気分が悪くなるガソリンのにおいも?同じくデカブツすぎる鋼鉄とプロペラで出来た巨体も?そして、そんなヤツと戦わなければいけないという中の張りつめた冷温高湿度の空気も?」
「何を言っているんだ兄貴!俺たち兄弟は今、有視界飛行とはいえ、五感は実質封じられているんだ!どうして、そんなことが…。あぁ…。」
「…ジェイ、わかるだろ?」
肌ではない触覚器官でわかる張りつめた冷温高湿度の空気。眼でない視覚器官で見えるあまりにもデカブツすぎる殲滅爆撃機の姿。鼻でない嗅覚器官で感じるガソリンのにおい。耳でない聴覚器官に響くエンジン音。確かにこれは…。
「…Yes。そうだよ。ジェイ。あの時、スレイヤーを生産していた大型兵器工場で、ただ一体潰し損ねた、もう完成していたスレイヤーだ。」
…俺たち兄弟の前に『あの機械』が、雷と共に…。
それはまるで、工場で潰された仲間の敵を討つかのごとく…、殲滅爆撃機スレイヤーが姿を現した。
「来たか…。」
なんて煩いのだろう。数ある大自然を支配する摂理の中でも、最も重要といえる重力に逆らってまで、その巨体を浮遊と飛行させるその轟音は。…まるで、人類の傲慢を体現したかのようだ。あるいは、バビロンに建設されたジグラッドのような…。
「兄貴…。良く見てみろよ。こいつ全くの無傷だ。」
「どうやら、あの時こいつだけ100%完成していて、俺達兄弟に潰されないように、避難か防護していたようだな…。」
「それにしても、連邦と『あの機械』側が圧倒的に不利で、俺たち兄弟の方が真逆に有利なのに、どうしてこんな無理をするんだろうか…?」
実際、俺がそう発言したように、スレイヤーの本来有利に働くべき、『超火力を可能にしたペイロード』『頑丈な巨体』というアドバンテージが、雷雲という戦場と、他の戦闘機と同じくらい小回りと撹乱が得意なこの小型戦闘爆撃機二機にあらぬ苦戦を強いられている。
「あと少しの砲台と両翼を潰せば、スレイヤーは沈むだろう。」
「そうだね。たとえ強大な軍事国家・連邦といえども貫通弾と高性能弾丸を侮って欲しくないね。」
「…。そんなことを言っている間に、もうスレイヤーにも終りが来たようだな…。」
スレイヤーが、だんだんと煙と火を噴きながら、巨体の各部分を空中瓦解させていく。
こんな不利な状況での戦闘と言う無理をしたことの結果だった。
「…さてはて。なぜ、十中八九無駄や犬死になるのに、連邦は主戦力になるであろうスレイヤーを、なぜこの雷雲に差し向けたんだろう…?」
「ちょっと!!ジェイ、見ろ、見ろよ!!」
スレイヤーの前方についていたらしき戦闘機格納庫から、見覚えがあるようでない全翼機が出てきた。
それも、数機の手下や子分を従えて。
「「もしかして、『あの子』??!!」」
…『あの子』、かつて俺たち兄弟が、ガレッガシリーズの兄弟として製作に取り掛かり、設計図を書いた段階での、開発と製作が一歩も動かず、僕たちの亡命によって中止された一連の出来事、その中心にいる『張本機』…! もしかして、『あの子』…『ブラックハート』なのか!!
ボスは「G-616 ブラックハート」連邦がウェイン兄弟の残したメモをベースに作り上げた最強の拠点防衛戦闘機。可動式35ミリ機関砲を初めとした武装の数々を搭載したペイロード(※航空機における『運搬量』、ここでは武器や兵器についてを指す)の高さの秘密は、小型ロケットエンジンにある。実働時間こそ20分ほどではあるが、その圧倒的な火力は敵に生存の余地を与えない。~Stab and Stomp!
「あぁぁああ…。我が主よ(Oh My Lord!)。全く、雷雲に入ってから感動の再会ばかりだな…。」
「どっちも感動していないし、喜んでもいないけどな…。」
「うぅむぅ…、確かに反論できない…。」
「あれ…?ところで兄貴、どうしてだ?設計図の段階に書いてあったプロペラが全然ついていないなぁ?やっぱり魔改造したのか…?」
「たぶん、『あの子』は連邦の、特に技術・開発者達のモノなんだ。だから、プロペラを必ず徹底的に廃止せねばならなかっただろう。…まぁー。あの『ぼくたちきょうだいの考えたかっこいい初期案』の致命的なダサさに比べれば、改良の部類に入る魔改造だな。…そう考えると、連邦って意外とまともかもしれないなぁ。」
「そうか…。もう、『あの子』は…。ガレッガシリーズの兄弟じゃ…。…でも、どうする…?兄貴…。ジェットエンジンなんて…、一つでも勝機が、勝ち目があるのか…?」
「大丈夫だよ。ジェイ。…俺に秘策がある。」
兄貴が俺に提示してくれた秘策、それは以下のようなモノだった。
・おそらく、諸事情で20分で可動停止になると思われる。倒せないのなら、それまで逃げ切る。
・性能が弱いシルバーソードとその搭乗者が、後方と下方の支援と攻撃や回避指南をする。
・総力戦になろうと、ワイルドスネイルの貫通弾とボンバーでなるべく倒す。
・
・
・
・
ロケットエンジン。レシプロ機関より、はるかに性能の良い次世代の内燃機関。ウェイン兄弟と言う才能抜きでも、
長年の開発期間と費用を費やし、ここまでの実用化にこぎつけることが出来たのは、連邦国家が世界初であろう、と思われる。
連邦国家にまだ勤務している、ウェイン兄弟以外の兵器開発者は、自己過大評価と自画自賛ながら褒め称えた。
…ブラックハートは、銀河一後方に強い戦闘機だと。誇大妄想もここまでくると、謙虚な人間なら相当な目眩がするだろう。だが、自己定義(アファメーション)は、少々このようなモノが一番効率的に、その創造力を発揮する。
「俺達兄弟が決して見捨てず、連邦が『あの子』に魅入られて設計図を奪い取られずにいたら…。もしかしたら『あの子』が、正式にガレッガシリーズの兄弟として、『生命を受けていた』ことも当然あるんだろうなぁ…。」
「…。だとしたら。きっと…。絶対に、こんな思いはしなくてすんだのに…。もう、こういうのは考えるのは止めよう。ジェイ。ただ悲しくなるばっかりだから。」
「…あっ、すまん。…兄貴。そういえば、この雷雲の下は…。」
「…あぁ。ジェイ。やっと、良い知らせと悪い知らせを兼ねている報告をするけど…。とうとう、ついに、次が俺達兄弟がずっと前から目指している、目的地の本家本元、その名も連邦国家首都だ…。」
6面 「BASE~Megaromaniac.」
敵の総攻撃をかいくぐり、要塞化された連邦軍事中枢部に侵入。内部は巨大な砲台だけでなく、無数の戦車が防衛任務に就いており、難攻不落の要塞と化している。
連邦国家の市街地に入ると、しばらくも経たないうちに気分が悪くなった。
木々の緑も清らかな水も動物や鳥たちの生活も、愛すべき自然がまるで、ない。
連邦本拠地ならではの、容赦ない猛攻にもイヤになったことを差し引いても、その気分の悪さは相当のモノだった。
俺達が連邦国家に勤務していたときは、まだ豊かな自然が残っていて、そこでいろいろと癒しと活力をもらっていたモノだった。
でも、今は跡形も無い。ただ、人間と機械だけの世界。
…イヤ、イヤだ。こんな世界イヤだ。誰が変えたんだ?この国を。誰か望んだんだ。こんな世界を。…一体、誰が?
もしかしたら、もう俺はその答えを、そんな質問をする前に、既に知っているのかもしれない…。
「兄貴…。聞いているのか?俺も息が詰まりそうだ…。なんで、俺達はここまでバカなのだろうか…。」
「…主よ、許したまえ。俺達がいなければ、俺達が天才でなければ、俺達が有能でなければ、俺達が連邦に関わらなければ、そして、俺達が自然を敬い、その環境管理を全うする神の御子であれば・・・・・」
「『人間は万物の霊長ではない』…。『ただの地球上に生息する一種族だ』…。『人為で天を滅ぼすな』…。『人類と言う病原菌、そして、癌』…。たしか、昔、兄貴が教えてくれたことだったな…。…こういうのは。」
俺たちを含む科学者や技術者の、あまりにも偉大すぎる才能と天井知らずの愚かさと未来に対する無知。
…本当に居心地の悪い国に成り果ててしまった。
精神的荒廃、不自然、人為…。
もはや、なにも大事なモノが残されていない連邦国家へと侵略を進めると、明らかに重々しく武装と攻撃力を強化かつ防御力も上げて要塞化した連邦軍事中枢部の入り口へと行き着いた。
だが、そこには、完全に連邦国家の作り上げた未来的機械的世界に似合わない、俺達兄弟の兵器開発最初期、ノーズラフィンとほぼ同時期に作ったベージュ色の旧式飛行機が見えた。
「兄貴。あれ、峡谷でも見たけど。なんか変に場違いだと思わない?」
「確かに、場違いだな。鋼鉄からかもし出される冷淡と無機質の支配する世界に、ただポツンとある、あの古すぎるとても温かみのあるデザインと仕様の飛行機は・・・。」
「そうだね。兄貴。あのベージュ色の旧式飛行機は…。俺たち兄弟が子供のころから親しんできたデザインで、実際、連邦国家に住んでいた始めの頃にも頻繁に使われてたし、これに載せるための兵器や武装だってたくさん開発してきた…。」
「スレイヤーの中にカムフラージュしてまで仕込んだ『あの子』でも、俺達兄弟を屠れなかった。だから、『死刑宣告』なんだよ。これは。…ほら。」
俺がそういうと、お出迎えとその挨拶代わりに、とんでもない猛攻撃と集中砲火が俺達兄弟に向かって飛んできた。
「あぁあああ、うざったいな、うざったい。」
シルバーソードのスーパーナパームで、その弾幕を打ち消しながら、ジェイとゴールデンバットに後方支援を任せる。
本体以外の砲台が、やられるとあっけなく本体も弱気になり、簡単にねじ伏せられて、俺達を連邦の拠点本部への許可を出してくれた。
「…やれやれ。『死刑宣告』は無駄だったな…。」
「さぁ、いこうよ。兄さん。連邦国家のお偉いさん、こいつらだけは必ずシメないと…。」
そういうジェイとともに、俺達兄弟は拠点本部へと侵入する。
それにしても、連邦国外と連邦本国――ついさっきとは打って変わり、戦車、戦車、戦車。連邦国家「戦車出せ戦車」状態。きっと、連邦国家は、イヤになるくらい戦車の大活用――備蓄や配備、大量生産、研究と開発を率先してやっているのだろう。そこまでして戦車が好きなのか?もしかしたら、そういうのは、タンク以前の、チャリオットの時代からかもね。
…それにしても、あぁ。もっとその金を他の事に使え。無論、軍事以外の目的でな。
…とりあえず、農業や公共事業とか。
「ふぅー。目がチカチカする。見事に金属と石油だけの世界だ。ただ唯一の生物、人間はそこに埋もれているだけだ。」
「今まで、機械と自然が同居した峡谷、緑豊かな高地、大型兵器工場に、海上プラントや雷雲…、いろんなところを飛んで、ここを目指してきたが…。」
「いつか、連邦の息がかかっていない周辺国家も、ここと同じようになるのだろうか…。」
「そうだ、ジェイ。連邦の侵略と併合、そして植民を許してはならない。そうならないとしても、影響を受けさせてはいけない。」
「兄貴。やっぱり、…『分割して統治せよ』『権力の分立』か?」
「いい子じゃないか。ジェイ。…そうなんだ。この西方大陸に、大陸統一や独裁政治はふさわしくない。…だけれども、そういう誇大妄想を実現してしまった地域が、『ここ』と反対側の東方大陸にあるね…。」
…まさに、誇大妄想狂(Megalo maniac)の連邦国家。確かにこの国は強い。富国強兵と軍国主義、そして、欧米列強式帝国主義的方面で、最大限にその誇大妄想が発揮されている。事実、俺たちの高性能爆撃戦闘機2機は、今なかなかの苦戦を強いられている。
…それには、冷酷さと無機質さにかけては、見事な機械群――戦闘機・戦車ばかりで目眩がするのもあるけど。
『権力の分立』…。兄貴が教えてくれた、とても身近な西洋由来の知恵。
個人に権力と介入のチャンスを与えず、支配欲と独占欲に支配された権力は、やがて暴君になる。
そう、今。連邦国家が、かつてこの西方大陸を支配した強大な宗教勢力の地位に、とって変わりつつある。
かならず、止めさせよう。もう十分に、独裁政治の辛酸は先祖代々、味わい続けてきたじゃないか。
「…!…見てっ!兄さん…!兄さん…!!……いや、兄貴…!見ろよっ…!!」
やっと、連邦国家壊滅への王手をかけはじめた、俺たち兄弟に向けて『窮鼠が猫を噛む』ように、連邦が差し向けてきたのは…。全勢力をこの場所――死地の為に用意したとしか思えない、戦車とその他兵器の万軍。国家そのモノの死を覚悟しての特攻攻撃なのか?、と思ったけど、違う。本当は多分、それは『足止め』として、だと僕的に思う。…だとするなら、連邦国家の住民を置き去りにして、国家の中枢を担うお偉いさんだけを逃がすエクソダス(出エジプトならぬ出連邦)を決行しているはずだ…。
…あぁ、既にいろいろな意味で『もぬけのカラ』だろうなぁ…。
と、いろいろ弟とやり取りしながら、連邦本拠地の中心を通り越して、反対側の奥へと俺達兄弟はやってきた。その場所に設置された高火力砲台や戦車を軽くあしらうと、仰々しい広い部屋があった。
「ところで、兄…、貴。あっちになんかいる…。…なんか、過去の作品と言うか、今まで封じられていた過去的な何かが…。」
ジェイがそんなにおびえるのなら、きっとそこには『あの子』並みの恐るべき強敵が・・・!と思いきや。
「えぇ?ジェイ、なんだよソレ。…。…あぁー、もう…。なんでこんなところにいるんだよ、『ポンコツ』…。」
ボスは「DT-38A ジャンキーモンキー」元々は地雷敷設や処理を目的とした作業車として開発されていた。しかし、戦局の変化により簡易砲台敷設と、拠点防御の役割を与えられるように生まれ変わった。~Thrust and Thrash!
通称『ポンコツ』。呼び名通りの失敗作・ジャンキーモンキーのことだ。
正直、兵器開発人生で、一番アレはひどい。
まず、デザインがダサい。地雷設置と撤去用兵器のはずなのに、なんか変に派手になりすぎている。
つぎに、本業をこなす地雷設置と撤去を執り行う不器用なアームは、とてもこっけいで無粋なので、昔から直したい、改良したいとずっと思っていた。でも、連邦は何も言わず、「これでよい」と僕に、なにも改良をさせず、結局当初の目的通り、地雷用作業車として使い始めたが…。
「じゃあ、なんでこんなところで拠点防御やってんだよっ??!!」
「それは、こっちが連邦に訊きたいよっ!!」
やはり、連邦はどこまでも身勝手だった。野郎、必ず死なす。
…さて、
…アーム動作のバンザイ、結局変えてないのかよ。
「…兄貴。これはひどいよねぇ。」
「ああぁさ、ひどいよひどい。」
「こんなの兵器として通用するわけないよね。」
「そうだよね。」
もっと早く廃棄しておけよ…。国家のクズ…。
だが、幸いなことに、ジャンキーモンキーは脆く弱かった。すぐに俺達兄弟のあまり気合の入らない攻撃ですぐスクラップになってくれた
おかげで、連邦国家へのチェックメイトを実質かけることができた。
「あー。『ポンコツ』も、もうスクラップになっちまって…。」
「それより、そんなことより!連邦のお偉いさんはもう、キングクリムゾンで大脱出を…。でも、ヤツらはいったい、今どこにいるんだ…?
「…ジェイ、思い出せよ。キングクリムゾン専用秘密滑走路の場所は、連邦と仲良くなり始めたころに教えてもらっただろ…?」
「そうか…。そうだね!俺も、いや僕も思い出した!悪の連邦国家よ!僕たち、いや、俺たち兄弟に、仲間だからと言って、友愛に満ちた味方の証に、軽々しく秘密滑走路の場所を教えたことが、やっと今になってこんな結果が出たことに恐怖するがいいっ!」
7面 「AIR PORT~Marginal Conciouness.」
・・・俺、いや僕は、昔はとても不適格な男の子だった。女々しかった。ただそれだけだったが、うちの家内はそれを相当気にしていた。実のところ、俺の兄貴、・・・いや、僕の兄さんもそうだった。変に女性的な側面を持っていたのだ。僕たち兄弟はやんわりと優しくて、自然や動植物を敬う心を最低限持っていて、それで武力と武力の衝突が嫌いだった。ただ好きだったのは、船艇に飛行機、乗用車などの乗り物や、いかにもゴテゴテした機械…。
とにかく、東西混血の不良青年や東洋の格闘家のように、「テメーは俺が裁く!」「オレはオレより強いヤツに会いに行く」という性格では決してなかった。僕たち兄弟は、そういう男のバカみたいな特性が自分にも潜んでいることを理由に、つかみどころのない自己嫌悪ばかりをしていた。
…結局、とどのつまり。僕たち兄弟は、その生まれながらの本質を保った状態で、土に還るまで僕でありたい。
でも、教師や家内はそれを許さなかった。特に、僕たち兄弟の父マシュー・ウェインが。
男は男らしく生きる。それが当然だ。お前等はわが息子というのに、変に男らしくない女々しいところがある。情けないモンだ。
だから女々しい僕なんていう一人称を使うな、お前の兄さんであるブライアンのことは兄貴と呼べ、レディーファーストかつ基本無言でいろ、最高峰に達した技師と飛行士は常日頃から何事にも動じない。いつも、感情的にクールでなければ。もしできないのなら、そいつは完璧に失格だ、と父マシューに耳にタコができるほど言われた。
…今更、思う。なぜ、自分の「NO!」という意見より、相手への「YES!」を優先してしまったのか、を…。
「もう、一人称に『俺』はやめよう。ジェイ。これからは誰に対しても、『僕』を使おう。それと、いくら女々しくったって、男らしさに訂正しない。女々しいところに、野郎臭いところ。必ず、誰にだって個性として、そういうところはあるのだから…。」
「じゃあ、『兄貴』。いや、『兄さん』。これからは俺も…いや、僕もそう呼ぶよ。よろしくね、兄さん。」
「ジェイ…。そうだな、じゃあ『あの子』、ブラックハートMk-2をまず倒そう。そして、暗愚の君と呼ぶべき連邦国家の醜い為政者たちを。…僕達兄弟二人、この戦争を勝ち抜いて、必ず生きて帰ろう。さぁ・・・!」
…さぁ、見せてあげよう。最高の境界人精神(Marginal conciousness)を。
秘密滑走路から離陸を始める超大型脱出機「キングクリムゾン」を追撃する。途中、ロールアウト(※『公開』『リリース』などと同義。即ち、民間などの世の中に出されること)されたばかりの最新機「ブラックハート2」とのドッグファイトを行いつつこれを撃破し、キングクリムゾン緊急脱出ユニットを追撃する。~Marginal conciosness.
「…そういえば。連邦国家に入って昔開発・製作した作品をたくさん見たね。」
「…。懐かしい?」
「Yesだよ。懐かしい。」
「もう、過去には戻れないのか…。」
「…連邦が、こうやって本気になって、今まで以上に殺しにかかってきている以上、当たり前かつ無理な話だよ。」
「そうだね…。」
これで、もう何もかもが終り、なのか。そして、また、一から始まる、のだろうか。もしくは、永遠へと回帰(Return to Forever)するのだろうか。もしかして、古い円環運動が終わって、新しい円環へと移るのか!!あるいは、円環の方向性が変わるだけなのか?!輪を作る蛇が他のに交代するのか、輪を作っている蛇が脱皮するのか?!いや、その代わりに、彼、あるいは彼女の意識が変革するのか?!
…やっぱり、円環(トーラス)は神聖なんだ。ましてや、その中心にいる主は。多分、きっと。円環という境界は、そのモノの住まわれる場所なのだろう…。
…いくら時間がかかろうと、僕たち兄弟の創造も、いずれそうなるのだろうか?
確かに、そうなるように、いつも憧れは普段から持っていたけど…。でも、それは連邦に勤めるようになってから、心のどこかにも置かずに捨てていってしまったんだけれど…。
「キングクリムゾン…。あぁ…、えぇと…。いつの作品だっただろうか…。」
「とてつもなくデカい作品だからね。それと同じようにとてつもない人数が関わっているんだし…、きっと大元であるはずの僕達兄弟が覚えていないほど、印象が分散しちゃって薄いんだよ。…現に、僕も覚えていないし。」
「連邦国家全体の作品かぁ…。だけど、そのお偉いさん方が関わった人たちをほぼ全部見捨てて、国外脱出をはかってるね…。」
「それにしても、この国って、変に肥大化しちゃったね。でも、こうして潰そうとしているウェイン兄弟という当の本人達が言うのもな…。」
まだ滑空初期段階で、かなり鈍足のキングクリムゾンを攻撃する。空を飛ぶためのジェットエンジンや中小の翼、それに砲台はみるみるうちに潰されていく。
「兄さん…、なんでだろう…。また『あの子』が…。」
「いや…、ジェイ…。よく目を凝らして注意するんだ。形状や見た目が少し違う。さっき倒した『あの子』じゃない。…いうならば、『Mk-2』だよ。」
…銀河一後方に強い戦闘機第二号――と呼ぶべき、もう一人の『あの子』という名の『Mk-2』。
そして、完全極まりない鉄壁の守護神に甘んじて、あぐらをかく総大将グロウ・スクゥイード。
敵味方問わず、総大将はいつの世も暢気なヤツほど、戦争への備えが甘い。
多分だが、グロウ・スクゥイードもそうだろう…。少なくとも、藁をも掴む思いで、そう信じたい。
確かによくみると、mk-2にはジェットバーナーがついていない。ただし、その代わりに小回りの効く、機敏性の優れた高性能ジェットエンジンと無印『あの子』よりバラエティーに富んだ多種多様の武装を積んでいるようだ。
史上最大の大盤振る舞いといわんばかりの機雷攻撃。
弾丸の圧倒的物量とそれらの作り上げる弾幕で攻め上げる束縛攻撃のワインダー。
…あぁ。『あの子』に、もどきとはいえ…、攻められて蹂躙されていくのは、とても…。精神に来るモノがある。
それに僕達兄弟はもう、満身創痍に近いのだし…。別に、こういうのが好きで、気持ちいいわけじゃぁないよ。全く!
ウェイン兄弟本人の言う『あの子』があっけなく、彼等によって撃墜されていった。おそらく、斬新な兵器としてロールアウトされたばかりなので、まだ量産作業がこなれていない、または、全く新しい技術であるため、確固たる安定した技術確立をされていないため、であろうと思われる。陳腐ながら、初期製品にはありがちすぎることだ。
それに、無印版『あの子』以上に、弾丸や武器、エネルギーやパーツの消耗が激しいのかもしれない。
…考えたくは無いが、もしかしたら、ワインダー攻撃や機雷を変に乱発しなければ、我らがウェイン兄弟の敗北、即ち連邦国家の勝利だったに違いない。
それは、連邦国家にとっては、反逆者のリーダー、宋江が毒杯を煽って死に、替天行道の瓦解による、宋王朝の天が認めた存続というハッピーエンドにも似た感じの勝利だろうか。…だが、今現在の西方大陸には、絶対的権力を持つ皇帝はいないのだから。それに、『分割して統治せよ』だし…。
「もう一人の『あの子』…。僕達兄弟の作品では決して無いのに…。どうしてこんなに虚しい気持ちになるんだろうね…。」
「似非の『あの子』なのだけれども、結局『あの子』と同じような愛着が、変に湧いちゃったのかなぁ・・・。それとも、僕達兄弟はもう、こんなに機械を嫌悪していても、もう、実質機械なしでは生きていけないから…かな。どうしてだろう…?自分でも分からないや…。」
「で、さ…。それより兄さん…。はやく、はやく追いかけなきゃ、僕達兄弟が倒すべき総大将、グロウ・スクゥイードをっ!!!!!!」
「あぁああああああああああああ!!!!忘れてたぁっ!!!!!!ジェイ、速くしなきゃ!!!!!速く追いついて倒すんだぁっ!!!!!」
ボスは「DT-070 グロウスクイード」キングクリムゾンは搭乗者に対する二重、三重の脱出策を備えており、コックピットユニットが自力で飛行、攻撃能力を備えている。そのユニット部はグロウスクイードと名付けられ、これに加えて更に脱出ユニットが内蔵されている。~Emputor
グロウ・スクゥイードを守るための、下っ端連邦兵士たちの限りなく自殺に近い戦闘機による決死の特攻攻撃を潜り抜け、僕達兄弟はやっと、グロウ・スクゥイードとの最終決戦に臨む。
「さぁ、完全に追いついたぞ、諸悪の総大将め。」
「でも、あの中に連邦のお偉いさんが乗っているんだよね。潰したら、連邦どうなるんだろうか…?」
「独裁政治ではなくなって、民主政治になるんだろう。皇帝制度が廃止されて、大統領制になるか、あるいは王族を残して、首相制にするか。のどれかになるだろうね。…いずれにせよ、戦争は終りだ。」
「そうだね…。また平和が戻ってくるんだ。…尊い犠牲と痛ましい傷跡、悪影響と汚れた歴史を多大に残しながら…。」
「悪影響と汚れた歴史か…。それなら、この戦争は西方大陸全土を巻き込んだ戦乱と言うことで、『大陸戦争』という名で歴史上で語り継がれるだろうな…。無論、僕達兄弟の名前を抹消して…。」
古今東西問わず、歴史書ほどこの世で一番都合の良いモノはない。
「兄さん、シルバーソードが…。」
兄さんの愛機・シルバーソードは瓦解寸前だった。今にも大破しそうなくらいズタボロで、そして、僕は兄さんがいなくなるという恐怖におびえた。だけど、兄さんは。
「大丈夫だ。大丈夫。絶対大丈夫だから。心配するな。神の名において大丈夫だよ。」
「そういうのは、明らかに嘘っぽいし、違うよっ!!兄さんっ!!シルバーソードごと死なないで!!お願いだから!!」
「ジェイ…。それより。僕達兄弟は、大陸戦争への償いとして、・・・いや。…ただ単に気分や精神的な理由でもいい…。この戦争が終わったら、パイロット兼機械技師を止めるべきだと思うか?」
「…僕はもう止めたい。機械とは一切関係ない職業に就きたい。羊飼いや道具職人とか…。それに、こんなことになってしまうのなら、それが心残りになりすぎて、車や飛行機どころか、機械全般との付き合いや世話なんて、絶対に、もう一生うまくやれないだろう、だから…。」
「…ほら。…だから、ジェイ。大丈夫だよ。次こそは、次こそは…。」
僕は、最小限だけ残されたこれっぽちすらない生命力を振り絞り、愛する弟ジェイをこの一言で励ます。
「大丈夫。…次こそはうまくやれるさ。」
エンディング 「Blood Brothers in the Dawn.」
…夜明けだ。それは、目の前で展開された一連の出来事と連動して、一日にして連邦国家が壊滅したことを告げていた。
少なくとも、軍事国家と独裁国家の側面は、完璧に消え失せたのだ。
…しかし、だけれども。愛機ゴールデンバットの燃料メーターは、すでに『御臨終』のサインを出していた。
そのガレッガシリーズ最強を誇る機体も、グロウスクウィードとの激戦によって、満身創痍そのもの…。
墜落、地面への激突、そして、死。これが宿命(Fatality)か…。
僕は当然ながら、「やっと死ねる」と「まだ生きてたい」という完全に水と油のように矛盾する二つある気持ちが、壮絶なせめぎあいをする中で戦慄に駆られた。
さて、兄さんはどこだろう…?なぜ、探すのだろう。だって、愛する兄さんと一緒に死にたいから。やっと見つけたら、僕は、現実と夢は紙一重、という概念が、『しれない』から『そうである』に変わった。
兄さんが、シルバーソードごと落下していく。燃料切れと多くの機体ダメージという要素が重ねられた上に、さらに重なり、シルバーソードはその搭乗者(パイロット)とともに、大きく鉄の体を瓦解させながら墜落していく。しかも、その搭乗者(パイロット)――兄さんは気絶している。死に至るほどの疲弊で、心身の耐久限界を軽く突破し、力尽きたのだ。そう、彼自らの意志では、パラシュートは開けない。開くことができないのだ。…兄さんは、もう生きることを選ばないから。
…彼は助からない。これから、兄さんは地面に叩き付けれて、魂と心が詰まった肉体という入れ物が、とても高い所から落としたラジオ受信機のようにバラバラになって、兄さんではなくなる。だけれども、結局それは僕も同じなんだ…。
だって、戦闘機や飛行機は、搭乗するパイロットにとって、時に空飛ぶ死刑執行設備であるのだし、それに、僕たち兄弟に哀れにも撃墜された、名も無き多くの戦闘機に乗っていたパイロットたちが、同じようにそういう風に死んでいったのだから…。
…すなわち、ただただ、僕たちは『彼ら』と同じ運命、ただそれだけことだ…。
…、あぁ。どうやら僕は、彼らよりも兄さんと同じ運命らしい。おかしいな、歳は2歳違いで、血の受け継ぎ方もこんなに違う、ほとんど似ていない実の兄弟なのに。一卵性の双子ではないのに。どういう風に、間違っても…。ねぇ…どうして…?
…。
もう、天寿は全うできない。もう、諸々の犠牲者へ償いはできない。…むしろ、手向けすらできない…。
もう、みんな終わりなんだ…。嗚呼、あの天に煌く星になるんだ。あるいは、それよりもひときわ輝く星雲。
なぜか、そういう淡い展望が、一瞬脳裏に浮かんだ。…でも、どうして逆の場所や運命ではないのだろう…?
…。あっ…、う…、ぐっ…、う゛…、くっふ…。あぁ…。酸素(エア)の切れたパイロットほど、苦しいのだ。今だって。
右は?左は?上は?下は?何がどれなんだ?何を基準に、それらを知ればいい?…もしかして、これが眩暈(Vertigo:ヴァーティゴ)?
あぁ、わかった。もう、ついに…。
…僕は、業や束縛された感情から解放された、その一番高い天で、至高の喜びを噛みしめているはずなのに、現実の観点では、天国からもっとも近い航空高度から、地獄にもっとも近い地上へと今、叩きつけられている。…結局、全部夢なんだ。
それでも、この思いは確かな現実だと信じて。…愛しているよ。ずっと一緒にいようね…。兄貴…、いや、兄さん…。さようなら。愛している。…今度こそ、本当にさよなら。でも、これだけは言わせてね…。
「ありがとう…、兄さん。」
ゲームオーバー 「Fatality…?.」
「…。…僕はまだ生きているのか。地獄や天国にいるのではなく。」
ブライアンは、やっぱりというか、当然と言うか、もしかして、これ自体が夢ではないのか?という疑いの顔をしている。
「俺様が助けたんだよ。感謝しな!」
「本当にすみません。ガインさん。弟ジェイは…?…チッタちゃんたちは…?」
「あー、弟さんか。あいつらが、他のところを探しているぜ。『まだ生きていたら』の話だけどな…。」
「ジェイ…。そういえば。…そうだ。…ああ、こうやって長く眠っていた間、夢を見ていた…。」
「…どんな夢だったんだ?」
「すごく、良い夢だった…。まだ、親父と母さんがまだ生きていて、僕達にとって、本当の両親だった頃の…。優しくて、暖かい。でも、僕達兄弟の間にすら、もう、その温もりは、ほとんど残っていない…。だって、それを思い出そうとすると、両親の連邦国家的かつ鋼鉄兵器のような…、そんな心と精神を絞め殺されるような、冷酷さの痛みと苦しみが、皮肉にも増してしまうからだ…。」
ブライアンの暗い発言を聞いて、黙ってしまう。そんなのモノは、俺様の時代にはない。実に幸せなことだな。
「結局のところ、僕達兄弟は『例外』だった。…それでも、家族と兄弟姉妹の間でしか味わえない温もりと幸せを、無残かつ無慈悲に奪ってしまったことは…。そして、彼等の故郷を、…僕達の国もそうだが、砂漠や荒野のレベルまで衰退かつ壊滅させてしまったことも…。…僕達科学者は、何百回死んでも、2000万マルク以上金銭を稼いで、それを彼等の遺族や復興への資金に当てるとしても、それをある程度でさえ、償うことは決して出来ないだろう…。
それは、高性能極まりない爆弾を作った優秀な科学者でなくても、極々普通の良識豊かな科学者でも、…それは、僕達ウェイン兄弟のような、『マッドサイエンティスト』でも、それは必ず全く同じだろう…。…今現在から遥かな未来まで、世界中の科学者や技術者が、非暴力と平和のためだけに、科学技術を使って、その為の研究を行うことを、その身を、その心を、その魂を…。このウェイン兄弟の全てを捧げて祈るしかない。
…そう、『For God's Sake(神の名にかけて頼むから).』。」
…そして、
もう、シルバーソードも大破してしまった。それはゴールデンバットも同じだろう。
もう、空を殺戮の為に、爆撃機で駆る必要は無い。と言って、彼は鉛色の空に似た、あまり目立たない色をしたメットとゴーグルを、いままでイヤというほど、纏わりついていた運命と宿命を、自身を永遠に解放するかように、同じように投げ捨てるかのように、豪快に脱ぎ捨てた。
「…。…僕はもう死んだのか…。ここは天国なのか?それとも地獄?」
「ジェイ君、ここは内燃機関(ディーゼルパンク)黄金時代の地球よ。」
ジェイ君は、やっぱり自分が死んでいると思い込んでいたらしく、これは現実なのか?と、とても不思議そうな顔をした。
「えっ…、現実(ホント)?」
「そうよ。ジェイ君はまだ生きているのよ。私たちが、即急に探しだして貴方を救助と保護したの。」
「そうか…。じゃあ、ブライアン・ウェイン、僕の兄貴、いや兄さんはまだ生きてるの?」
「ええ、生きているわ。貴方たち、兄弟二人とも無事よ。神様に感謝しないとね…。」
「…本当に、本当によかった。…チッタちゃん、ありがとね。そうだよ。これは神様に、心から感謝しないと…。」
「…そうそう、奇跡の生還を果たしたんだから、また再会したときに、こう兄さんに言わなきゃ。『次こそは、絶対うまくやれるよ。兄さん。』って。」
…そして、
もう、ゴールデンバットも大破してしまった。それはシルバーソードも同じだろう。
もう、大陸を戦争の為に、戦闘機で駆る必要は無い。と言って、彼は、彩やかに青い景色をイメージした色のメットとゴーグルを、越えることのできないはずだった定めを乗り越えた英雄のように、痛快に脱ぎ捨てた。
後日談「Blue Scape.」
…あれから、ウェイン兄弟はどうなったのだろう。
【あとがき】
○前作・鋼鉄の機心以上に原作準拠にした理由。
過去作、悲哀兄弟や鋼鉄の機心などで、ウェイン兄弟の性格や気質設定に、強い違和感をもたれた方は相当いる、と個人的によく感じます。ウェイン兄弟は硬派で男臭くあるべきなのに、著者本人、ちょっとひねりすぎた、または調子に乗りすぎたかな、と思っています。…ですので、今回は…。結局、あまり変わらないのですけど、ちょっと硬派にしてみました。
…前半だけは。
○かわいい性格のウェイン兄弟が好きな方々へ。
過去作、悲哀兄弟や鋼鉄の機心などで、原作とは性格や気質がかなり違うはずなのに、とても「こっちのほうが好きだよ」と言ってくれた方。ありがとうございます。そしてすみません。あのキャラ付けは、正直、本気でバトルガレッガを愛している人たちに、申し訳ないと思っていました。そして、一度くらい私は、原作の硬派でワイルドな兄弟を見てみたかったのですが…。
…なので、今回はとりあえず、かなりいつもどおりにしてみました。
…後半だけは。
○どうでもよすぎて死ぬ余談。
兄弟の乗ったガレッガシリーズ二機が大破、っていうところで、バトルガレッガ本編で何事も無く復活してるのを思い出して、これかいてる執筆者本人の癖に、腹筋が豪快に弾け飛ぶほど笑った。
○ウェイン兄弟の言う『僕達』と『僕たち』は一体誰を指すのか?
基本、定義は広いです。主宮設定ではウェインさん家の兄弟は、戦闘機で空を飛んでいなくても、常に鳥瞰や俯瞰視点でモノを見れます。僕達(たち)の後に、兄弟がつかない場合は、兄弟の時代を生きる人、故郷の人、西洋人、人類、そして、仲間ということが、ほとんどです。逆に、後に兄弟がつくと、確実にウェイン兄弟のことだけを指しています。そんな感じです。
ちなみに、ウェインさん家の兄弟は兄弟姉妹と言うと、全人類のことを指す文化圏で生まれて、育ってきている人たちです。
儒教的な漢語圏の感覚とは、ほぼ関係ない兄弟姉妹の感覚を持っています。もちろん、ウェインさん家の兄弟的な感覚では『家族としての兄弟』という意味合いが強いです。そもそも、公式の時点で彼等兄弟が、血兄弟なのか義兄弟なのかすら曖昧です。
でも、そういう文化圏だし、血統を重んじる風習なんてほぼ皆無だから、基本的に気にしません。…結局のところ、『四海兄弟(Brotherhood of man)』ですし。
○有神(造化)論者でインテリジェントデザイン論者のウェイン兄弟。
まず、インテリジェントデザイン論とは。
(参考:)
○ウェイン兄弟のメットとゴーグルをはいで両方ともの素顔を見れたら100万円!
後日(嘘)。
ピースフルロータスランド
ピースフルチャイニーズキッチン