※pixivより転載
※バトルガレッガ二次創作

・一面~Fly to Leaden sky.

ブゥーンという機械音。
空の上にいるんだという感覚。
冷たい空気から逃れるためのジャケットスーツの暖かさ。
重油と機械油のにおい。
下方に広がる、僕達にとって懐かしい昔の職場である崖に広がる工場。

・・・全部、現実なんだ。

弟の乗るゴールデンバットは遠く先を行っている。
古代から中世の戦でいうなら先兵だ。
鋭い剣できり込んでって、軍の先をいく、頼れる戦力。

・・・逆をいえば、僕は、二人だけしかいない軍の殿(しんがり)をつとめているということだ。
でも、なんで弟のくせに一番性能のよい、安定した強さのゴールデンバットに乗るの?っていう嫉妬もあるけどね。

「兄さん!本当に僕が先方をいっていいのかい?」
弟が無線で、僕に通信を入れてくる。

「ああ、いいさ。本当は殿が一番大事なんだから」

実は弟の方が背が高い。顔もハンサムだ。

どこの国にも、兄より背の高いのも、兄貴よりかっこいいのもザラにいるけど、そんな背高ノッポで僕よりかっこいい弟が、お兄ちゃんっ子で僕に頼りぱっなしなのが、昔から少し滑稽な気がした。

「兄さん、前方に敵発見、小型機数体と石炭を運ぶゴンドラ」
「ああ、頼むよ。」

弟は威力の高い貫通弾で、ゴンドラや小型機を撃墜していく。

走行しているうちに、前方にいる中型の戦闘機までも撃墜してしまった。

「兄さん、これでいいの?」
「ジェイ!上出来だよ!」

そうほめているうちに、懐かしい独特の機械音が聞こえた。
連邦国家に来て、はじめて制作したノーズラフィンの飛行音が。

「兄さん!ノーズラフィンはどこが弱点なの?結局、僕に開発手伝わしてくれなかったじゃない」
「中央部のエンジンだよ。そこをたたけば、もうラフィンちゃんは飛べない。」
「ラフィンちゃんだなんて・・・もしかして、初恋の彼女?」
「バカだなぁ。いくら機械大好きだからってそれはないよ」

弟は一所懸命に中央部に執拗に打ち込んだらしく、
僕がそういっているうちにラフィンちゃんは、撃墜され、
もう、いなくなった。まさに瞬殺だった。

「兄さん・・・ごめんよぉ」
「・・・いいんだよ。あんなの作らなきゃよかったんだ」


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・二面~Underwater Rampart.

僕達がもともと逃げて住んできたような田舎。
大陸にありがちな牧羊と農業を営むことで生きてきた自然豊かな田舎。

でも、そこには人っ気なんてなにもない。

ただの廃墟だ。
そこにすんでいた人は皆逃げるか殺されていたにちがいない。そう、この地域は制圧されたのだ。
連邦国家によって。僕達の作った機械によって。

僕達兄弟が罪悪感にとらわれているうちに、
誰もいない家を問答無用で戦車が押しつぶしていく。

「連邦国家はこんな辺境まで侵略してきたのか」

兄さんが無線で声をかけてくる。

「・・・」

僕はなにも答えられない。ただ、敵に弾丸を打ち込みながら、戦争に参加しているという現実に浸り込むだけだった。

「マッドボール・・・僕はあの子を作ったことも悔いてる。
だって人が平和に住む都市を制圧するのが前提なんだよ?そんなもの楽しんで作る奴なんて正直気が触れてるよね」
「そうだよね・・・、って僕達の事じゃないか」
「ハハ」
「笑わないでよぉ、今戦争なのに」

そんな軽いノリの会話を交わしながら、僕は森の上で敵の攻撃を防ぐために、バーナー型のボムを使ったのだが、ボムの轟音に驚いたらしく、大勢の鳥が森から逃げるように羽ばたいていった。

「とっ、鳥だ」
「ハハッ、ジェイ、バーナー型のボムでベイクドチキン(焼き鳥)だなんて、そんな残酷なことはするなよ?」
「失礼だな。兄さん。僕は、焼き鳥あんま好きじゃないよ」

そんな中だるみした会話の後に、何体もの小型機を撃墜し、やり過ごすとちょっと話題にしただけなのに、本当にマッドボールが姿を現した。噂をすれば、影・・・かな?

「でたな。ボールちゃん」
「ジェイ、弱点は分かるな?」
「周囲の丸形パーツだよね?」
「そうそう」

そういわれると、僕はすかさず、丸形パーツを一網打尽にするため、サーチファイアーを使った。

「ジェイ、いいぞいいぞ!!!!!」

マッドボールのパーツはだんだんボムの熱によって壊れ、引きはがされていく。

そして、兄さんの搭乗機体、シルバーソードの奇襲によって、ボールちゃん(僕呼びの名前)は完全に壊れてしまう。

「兄さん、本当にいいの?心痛まない?大丈夫?僕なんか、自分で苦労して作った砂のお城を、誰かに壊せって命じられて、本当に壊しちゃった気分」
「・・・砂の城だっていつかジェイが壊さなくても、海の波とかで壊れちゃうじゃないか、ハハッ!ただ、僕達が自分の意志で壊しただけなんだ」

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・三面~Tonnel Vision. 

僕ーーブライアン・ウェイン設計のスレイヤー量産化かつその製造所。
ぶっちゃけ、とてもいやな予感がした。

スレイヤーの設計図を連邦国家に提供しただけで、
「すばらしい!!!!!!!」と驚嘆された上、たんまり特別ボーナスがでた。それくらい、彼ら軍事国家にとっては画期的な兵器らしい。僕にはとてもその性能と威力はわかっても、魅力はわからないけど。

そんな僕だけど、もちろん、スレイヤーはすべて叩き潰す。
そのため為だけに、僕達兄弟はこのスレイヤー工場を戦場に選んだのだ。きっと、この工場を見過ごせば、スレイヤーを主戦力に連合国家は戦争を有利に進めるだろう。
いや、・・・僕達が、そうはさせない。

「なんて暗い場所なんだ。僕達の工場はもっと明るいのに」
弟のつぶやきが無線を通して聞こえる。

彼がいうように、たしかに暗い。
ここでは機械(スレイヤー)が眠っていて、その機械の寝息が聞こえるようだ。

製造中のスレイヤー達の眠り。それを邪魔しないための灯り。

・・・ここまで暗いのは、そうにちがいない。

「あっ、なんだろう。あの子は」

弟が言葉を発した先には、僕が連邦国家に頼まれて作った中型の機械があった。

「結構かわいいね」
「ジェイ。あれはね、スレイヤー製造を手助けするロボットだよ」
「兄さん、こんなの作っていたんだ。ずるいよ。僕にも手伝わしてよ」
「だってジェイはあのとき、機械要塞を作るという大仕事に着手してたじゃないか。そんな忙しい時期にとてもお誘いなんてできないよ」
「ブー!」
「アハハッ」

そうこうしているうちに、中型の機械は製造途中のスレイヤーの、間をすり抜けるように、僕達を牽制している。
「彼」と戦っている間に、僕達は忘れずにスレイヤーの砲台やプロペラ部分を破壊して、スレイヤーを使いものにならなくしていく。

「ジェイ、プロペラと砲台を壊しただけで、奴らはスレイヤーを捨てると思うかい?」
「たぶん、捨てないと思う。でも、僕達が首都を制圧するその間に修理が間に合うとは思えない」
「そうだな。本当は全部ぶっ壊したいけど」

嫌がらせのように、プロペラと砲台を壊して、スレイヤー群を抜けていくと、中型の機械は僕達の流れ弾に当たったようで、左右の枠で囲まれた白いラインのところで完全に壊れ、跡形もなく爆発した。

そこには、金色に輝く金塊があった。
だけど、今は手に入れるなどのそんなことをしている場合ではないけど、弟がとらないので、代わりに僕がとった。

弟が破壊していった小型の飛行機着陸地(跡)を抜けると、そこにはかつて作った移動要塞があった。

「兄さん、失敗作が現れたよ!」

移動要塞・アースクライシス。
それは、僕達が(意欲がここまでないのは、本当に珍しい)あまりやる気がないのに、適当に怠惰で作ってしまった、名付けて「ジャンクポート」。

よく見てみると、僕達が知らない間に連邦が勝手に砲台やパーツを付け加えている。

「よくジャンクにこう、いや、なんというか、その・・・」

機械技師として能力があり、頭のいいはずの僕なのに、なにも言葉がでない。というより、連邦側の機械技師になんといえばいいのかわからない。

まあ、とりあえず一言かけるなら、・・・・お疲れさま、かな。

「兄さん!確か、左右の砲台を壊しておけば、ジャンクポートは隙間だらけの弾幕を張るはず。だから、あらかじめ僕が壊しておくね」

「ありがとう!」

他人の付け加えた周りの砲台を壊せば、ほとんど無力にできることは、弟に伝えなくてもよかった。
でもそれよりも、よかったことは、かろうじて「ジャンクポート」の設計図を覚えていたことだった。

シルバーソードの打ち込みとゴールデンバットの猛攻で崩れさっていく、アースクライシス。

・・・あえて、適当に作って、強度を強くしなかったのが、功を奏したのかもしれない。

「スレイヤーを無力にできたことだけでもいいのに、過去の黒歴史に出会うなんてなぁ」
「アハハハッ、誰しも恥ずかしい黒歴史くらいあるさ。
僕の弟が昔、今よりはるかにお兄ちゃんっ子で、兄に頼りっきりだったこととかね」
「・・・!それはいわないでっ!」

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・四面~Degeneracy

海。

その懐かしい、広い塩っけいっぱいの水溜まりは、僕らの故郷に面していた。僕達の故郷は港町だった。だから、経済的にも商売的にも都合がよかった。そして、親父は先祖代々の、昔からの故郷を気に入っていた。

先祖の代から、僕らはいわゆる田舎町で暮らしていたけど、そこには豊かさと楽しさがいっぱいで、都会に住もうとは思わなかった。

・・・連邦国家がスカウトしてくるまでは。

「ここが、連邦の海上要塞かぁ」

兄さんの独り言が聞こえる。
シルバーソードは僕の乗るゴールデンバットの後ろ側にいる。

「隣の島国を侵略するための要塞かな。正直島国には悪いことしたかもしれないね。僕達が機械を開発しなければ、
連邦国家に迷惑かけられなかったかもしれないのに」
「やだなー、兄さん忘れたの?海から侵略行為をさせないために、僕達はここを襲撃しているのに」
「あー、ごめん、ごめんね。」
「もー」

僕達は今、連邦国家の海軍基地にいる。
目的はさっき言ったとおりだ。

ちなみにここをつぶしてから、僕たちは本格的に連邦国家の首都へと赴く予定だ。

「あと、兄さん。僕気づいたんだけど、ここで給油するつもりだったでしょ?」
「よくわかったな。だからここじゃないといやだったんだ」
「兄さん、答えてもらって悪いけど、それより、敵」

海の上から多くの敵が顔を出す。その多くは僕たちが手がけてきた最新型のマシン。そして、それらを船に積んだだけの対海上兵器。(僕達は機械技師だけど、さすがに船の設計まではできない)

そう、連邦は陸軍、空軍のみならず、海軍も強いのだ。

そんなに金を軍事だけに回すなら、もっと内政に回すべきだと、連邦につとめていた時から、兄さんは常々言っていた。そういえば、「どっかの東洋国家と同じで、外憂ばかり注意して、内患に回さないから、内部の僕たちに謀反を起こされるんだよ」とも言っていた。

本当に、兄さんは歴史が好きなんだな、と思った。
・・・僕、理解できないや。

「ジェイ、倉庫から戦車がぞろぞろでてくるね」
「はいはい、壊せばいいんでしょ」
「よくわかってるね。じゃあお願い」

僕は、頼まれた通りに倉庫を少量のボムで壊す。
すると、戦車は地下からでてこなくなった。

「兄さん!グッドアイディアだね!」
「ハハハ、ジェイ。このくらいはな、当然。」
「あー!それより兄さん!前方!」

戦車の群を切り抜けた僕たちの目の前に、大きな戦車が四台もでてきた。

「ここは僕も参加するよ、ジェイ」

兄さんは、シルバーソードの速度をいきなり上げて、僕と同じところに並んだ。

「兄さーん!危ないから後ろ下がってー!」
「大丈夫だよ、ジェイ」

心配する僕を後目に、攻撃に参加する兄さん。

「あー、もう」
「シルバーソードもなかなかいい子だろ?」
「その前に、兄さんは作戦や計略を提案して、武将的な存在の僕に、どう動けばいいか指示する軍師とか参謀的な存在でしょ?なんで、前にしゃしゃり出て来るの?」
「ふふ、ジェイ。昔から東洋のそういう人たちはビームが打てると、本で知ったんだ。だから、僕はビームで攻撃に参加できたらな、って思ったけど、僕はビーム砲を創る技術ないから、とりあえず、シルバーソードで参加してみただけなんだよ」
「もー!!!!トンデモ本を鵜呑みにしないで!それだから、兄さんは昔から、天然とかおとぼけっていわれるの!!!!弟にこれ以上苦労をかけないで!!!!」
「アハハハハハハ。・・・・・・・・ジェイ。あのオモシロ機械のお出ましのようだ。応戦頼む」
「・・・兄さん!応戦って・・・?」

兄さんの言葉を聞き返した後に、僕の視界に現れたのは、
サタニックサーファー。水上戦用兵器。

鋼鉄のしっぽがチャームポイントの機械。

「ジェイ!あれは君が造ったんじゃないんだっけ?」
「そうだよ。兄さんにはまだ見せてなかったね」
「さあ、さっさと片づけようか」
「ちょっ!兄さ~ん!!!!!」

僕の造ったサタサファへの、兄さんの反応は薄情そのもの。

あれだって、僕が苦労して造った機械なんだよ?

「うー、兄さぁん。僕のサタサファの悪口言わないでぇ」
「アハハハハ、ジェイ。僕がなんでそんな反応すると思う?僕はね、君の作った作品より、君の方を愛している。だからだよ」
「兄さん、僕のこと・・・もしかして・・・。近親ゴニョゴニョ的な意味とか、あっち系の意味とかじゃないよね?」
「フフフフ!ジェイのこと大好きだよ。も ち ろ ん 弟 と し て 、家 族 愛 的 な 意 味 で !!!!」
「・・・はぁー。よかったー。兄さんがあっち系じゃなくて。僕、ものすごく安心した」
「バカだなあ。ジェイ。大事な家族であり、アガペー的に愛すべき君をそんな目で見てるわけがないじゃないか。それに、僕がそんな二重の禁忌をやぶると思うかい?そんなことしたら、確実に故郷や連邦で村八分にされるよ」
「ああ、兄さんが常識人で良かったー」
「さあさあ、その話は終わり。サタサファをスクラップにしよう」

そうして、僕とゴールデンバットはサタサファの真正面にて対峙する。

「兄さん、自機狙いと範囲狭(せば)めさえ見極めれば、この攻撃は怖くないよ。そして、彼にほとんどダメージを与えたら、次は彼の上部に移動してーーーつまり、懐に入るんだ。そこにいれば、ほとんどの攻撃は回避できるはず。理由はわかるよね。サタサファを作ったのは僕なんだもん!援護お願い!」
「はいはい、理解しました」
「じゃあ、僕いってくるね!」

僕は、左右どちらにも順序を決めて、集中的にゴールデンバットの攻撃を打ち込んでいく。

「バットちゃんの貫通弾をなめないでほしいよね」

ワイルドスネイルことゴールデンバットが、僕達兄弟の切り札である理由。

それは貫通弾とサーチファイアー。もともと攻撃力の高いワイルドスネイル、特にゴールデンバットの攻撃の貫通力は並み大抵のものじゃない。その名のごとく、前の敵を貫通して後ろの敵にまで届く、協力無比な通常攻撃。
そして、ボムであるサーチファイアーも威力が高い上に、必ず敵を捕捉し、必ずその装甲を焼きとかすのだ。

・・・あっ、くれぐれも鳥に向かって使わないように。

貫通弾によって本体に直接ダメージがいくのか、サタサファはすぐに第二段階に入る。もちろん、第二段階も僕が設計しているので、攻略法はわかる。ただ懐に入るだけでいい。
でも。

「兄さん!ぜんぜん援護してないじゃない!」
「ごめん、ごめん。シルバーソードの攻撃が懐まで届いていないみたいなんだ」
「もー、僕一人で戦っているようなものじゃないか」

ぜんぜん援護していない兄さんをほっといて、僕は一人懐に黙々と攻撃力の高い貫通弾を打ち込んでいく。

「楽だけど、・・・ただ打ち込んでいくだけ、っていうのもなぁ」

そのとき、カシャッン!

その一音で、サタサファは完全にスクラップになり、そのまま海の藻屑となった。

「あー、僕の援護なしでよくできたね。ジェイ」
「兄さんのシルバーソードが役に立たないだけ」
「・・・そうきっぱり言われてもなあ」
「あっ、兄さん。それより給油するんじゃなかったの?」
「よく思い出してくれたね。ジェイ。さあ、僕らも一休みして、連邦国家首都を目指そうよ」
「もーっ!兄さんたらうっかりやさん」

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・五面~Subversive Awareness.

視界が非常に暗く、雷がとどろく厚い雲の中。
僕らは、ここをパイプに連邦国家の首都を目指す。

理由は簡単。

小型戦闘機はこういう、雲に覆われたところを飛ぶのが得意だし、それに雲が隠れ蓑になってくれるだろうと、僕が謀反を起こす前に考えたからだ。

でも、しかし。
現実はそんなにうまくいきっこない。

「おー、ジェイ!お前が僕のスレイヤー開発にかまってられないくらい、忙しく開発したあれの登場じゃないか!」

目の前には、大きな機械でできた移動戦艦が見えた。

「ちょっとぉ!!!!兄さん!!!!」
「ハハッ!ごめんよぉ!」

ゴールデンバットが主砲と副砲部分を壊していくと、移動戦艦は簡単に壊れていった。

「ウェイン兄弟次男坊、我が弟開発ながらもろい構造じゃないか」
「開発してるとき、そのときは、あまり強度とか防御力とかは考慮しなくていいって連邦にいわれたからだよ」
「むーん。まあ、いうこと聞いててよかったね」

弟が先行して、戦艦を五機破壊した後に、僕はびっくりした。なんと愛し(?)のラフィンちゃんがまたあらわれたのだ。

「兄さん!なんでラフィンちゃんを二機も作っちゃうんだ!好きな人は一人だけにしろって僕に説教してるじゃないか!」
「まー、別に機械だからいいじゃない?・・・って僕関係ないし、全然コピーとかつくってないし。確か、逃げ出すときにラフィンちゃんなどの一部の設計図は連邦側に残っているはずだ。たぶんそれを参考に、また彼らが二機目を作ったんだろう。」
「・・・兄さん。あえて訊く僕がバカみたいだけど、なんで回収しなかったの?」
「連邦が完全に没収して、僕に全然返してくれないだもの。しかも、僕が一番回収したい奴ばかりね」
「そうなんだ。しかし、まー。連邦の奴ら、よくわかってるな」

そういう展開になってしまったが、結局ラフィンちゃんはラフィンちゃん。強度と性能がかなり上がっていたけれど、しょせん旧式。型が古く、時代遅れであることは連邦が制作しても代わりはないのだ。
あっというまに、僕たちはラフィンちゃんをスクラップにしてしまった。

「あーあ」
「ジェイ、やっぱ開発・制作した機械に愛着沸いちゃうよね。まあ、いくら僕等兄弟が機械大好き人間とはいえ、さすがにフェティシズムのレベルまではいかないけれど」
「あっ、ボールちゃんだ」
「・・・・話聞いてる?」

実は、ボールちゃんの設計図も見つからなかったのだ。
・・・これ、弟にはヒミツね。

「・・・兄さぁん。」
「えーっと、ハハッ!こういうことも人生にはあるさ!」
「パーツをひっぺはがすのは、通常攻撃だけにしよう?もうボムつかいたくない」
「わかった、ボムは使わなくていい。僕も協力するから」
「・・・全く」

僕の援護攻撃もあって、パーツはみるみる内にはがれ、すぐボールちゃんもスクラップになる。

「やっと、終わったね。だいたい連邦も天才と呼ばれたくらい頭のいい僕らの手を読めるんだな」
「兄さん、それはみんな考えることは同じ・・・ってことだよ」

そのとき、ゴーッという音が聞こえた。
大きな大きな機械が、自然の摂理である重力を無理をして飛ぶ音。僕は、もしかして「あの機械」ではないかと、すこしイヤな感覚を覚えた。

「ジェイ!気をつけろ!」
「前にいるよ!兄さんっ、これって!」

「あの機械」の正体。
それは、すでに完成したスレイヤー。
僕たちがスレイヤー工場を潰す前に完成した機体。

連邦は、完全に僕たちに有利な環境を逆に不利にするために、大型機にははっきり言ってつらいであろうーーこの雲の中にまで大軍を差し向けてきたのだ。

「いくら有能高性能のスレイヤーといえども、この僕らに有利な状況で、連邦が無理矢理投入してくるなんて、ホント連邦はバカか頭いいのかはっきりしないな」
「ジェイ、連邦は[天の時と地の利]というものがわかっていない気がするんだ。・・・そして、蛇足だけど、あと必要なのは?」
「・・・人の和。兄さんと僕の強固な絆みたいなもの」
「ジェ~イ!!!!!嬉しいこといってくれるじゃないか~!!!!!さすが我が弟っ!!!!!!」
「はいはい、それよりスレイヤー倒そうね」

スレイヤーを翻弄するように、僕達兄弟は変速的な飛行を始める。どう飛ぶかというと、人間には蠅の飛行軌道がわからないように飛ぶのだ。

スレイヤーが弾幕を張る前に、僕らはすべてのプロペラと砲台を壊し、スレイヤーの翼をすべてもぎ取り、地へと落下させる。

「兄さん、スレイヤーもあっけないな」
「それよ前行こう、前」
「!、あれはなんだっ!」
「どうしたんだっ!ジェイ!!!!」

僕たちは、落下を始めた崩れ行くスレイヤーに、赤ラインをアクセントに、基本黒光りの未来的なフォルムの機体が多くの子分をつれ、シルバーソードとゴールデンバットを後目に、雲の中を飛行していくのをみた。

「あれは・・・!」
「もしかして、あの子っ????!!!!」
「ジェイ!あの子だよ!!連邦に大事なメモ没収されたあの子!!!」
「思い出した、わかってるよ!・・・でも、メモの段階では、もっとプロペラとかついていたはず。・・・メモと全然違う!!!」
「・・・たぶん、僕達以外の設計者がいるんだろう。・・・それよりジェイ。連邦はよっぽど僕たちをここで潰しておきたいらしいな。」
「ああ、兄さん。僕らの絆ーー人の和を見せつける時だな」

ーブラックハート戦~Stab and Stomp!

ジェイが率先して、「あの子」の子分たちを倒していく。
その間に、僕は「あの子」についてかかれたメモに、最重要項目として残したアイディアについて考えていた。

○20分しか動かないように作る。注・電気は大変燃費の悪い動力源のため、そうする必要がある。
○後方と下方を最優先し、その二点に全精力をつくして、製造すべし。注・後方と下方を強く作るのは、すべての方向に強く作るよりも遙かに効率のよい兵器になるため。

たぶん、連邦はそれらを忠実に守って、「あの子」を作っただろう。「現代」の技術では、電力で20分以上可動させることも、すべての方向に強く作ることも不可能なはずだ。

逆に、それを守らなくてもよいほどの技術があれば、僕たちは終わりだ。

ウェイン兄弟の技術VS連邦国家の技術・・・

どちらが上であるかは、「あの子」との戦いがわからせてくれるはずだ。

「兄さん。子分はすべて倒したよ」
「ああ、サンキュー。それよりジェイ、あの子と戦うまでに僕の作戦を聞いてくれるかい?」

ー僕の作戦とは、こうだ。

「弟が主力かつ、兄を守るおとりになる」
「兄がギリギリ(画面隅くらい)左の後方から指示を出す」
「相手の攻撃を見切った兄が弟に指示を出す」
「弟が、20分間攻撃を打ちながら、耐久戦に望む。20分以内に攻撃で倒すか、20分耐久するかで、勝利する」

この三つだ。

「あの子」を倒し、この峠を越えなければ、僕たちは歴史の大河に飲まれてしまうだけの存在だということ。

きっと、僕たち以外に歴史上、国家に敵う個人なんていないだろう。
しかも、衰退期ではなく、全盛期の国家に。
四千年も昔からある国家の歴史家は、僕たちの謀反を必ず失敗するだろう、と決めつけるほどに無謀な夢。

でも、やらなきゃいけない。男には必ず叶えたい夢というものがある。

そして、僕たちの運命は、僕たちが創る。歴史や他人なんかに創らせるものか。

「兄さん!ほんと、まかせたよ!指示お願い!」
「ああ」

僕は安全地帯に身を置く。弟の安全を信じながら。

「後は頼んだぞ」

*

「後は頼んだぞ」

兄さんがそういって別れたあと、僕は面と向かって「あの子」の後方にでる。

・・・なんか緊張する。

彼女は、ほぼ僕達の作品なのに。

でも、やらなきゃ。

「さあ、来い!ブラックハート!」

彼女が繰り出す手始めの洗礼は、光る弾をばらまく攻撃。

隙間を見つけて、それを縫うように避けていく。

「冷静に冷静に・・・」

それが終わると破壊可能弾を発射していくあの子。

僕のゴールデンバットは貫通力と攻撃力の高さを併せも持っているので、あの子に攻撃は当然届く。
でも、少し安心しているそのとき。

「くるぞ!ジェイ!気をつけるんだ!あの子の真下に非難するんだ!」

僕は兄さんにいわれるがまま、彼女の真下へ移動する。
その次の瞬間、

ゴーッ!!!!!!!!

彼女はエンジンを吹かして、二つの高熱でできた柱をゴールデンバットの両隣に作った。

あぶない。兄さんが注意してくれなければ、僕はあの柱に焼かれていた。

「だからいっただろ、ジェイ」
「にいさん?あれがどうしてわかったの?」
「それを今説明している場合じゃない。あの子との戦闘にもどるんだ」

兄さんにそういわれたので、すぐに戦闘態勢にもどって、そうして攻撃を打ち込んでいく。
そして、また兄さんからの指示がきた。

「次もくるぞ。次はその場所でじっとするんだ。」

そういわれた次の攻撃は、僕の動きを束縛するワインダー攻撃。今度も危なかった。もし、兄さんのいうことを聞いていなければ、あのワインダーの餌食になっていた。

「常に、冷静に、空高い視点で、何の情にもとらわれず、利害を考え、判断する。それが、勝利への確かな道だ」
「兄さん、次の攻撃の指示お願い」
「・・・人の話聞こうね」

次の攻撃は、前とおなじパターン。
その次の攻撃は、その前の次と同じパターン。
同じ記述を少しづつ変えながら2回。
それを3回繰り返す。

そうやって攻撃をさばきながら、彼女に攻撃を打ち込んでいくと、彼女の耐久力もどんどん削れていった。

そうして、ゴールデンバットの攻撃を続けたその次、

・・・カシャッン。あの子のエンジンが止まり、どんどんと機械的な部品が空中解体されていく。

「兄さん、あの子が・・・」
「僕達は制作者で親みたいなものだから、なんかつらいな・・・」

「あの子」ーーーブラックハートは、
完全に跡形もなく消え、地上に落ちていく。

「もしガレッガシリーズのままだったら・・・」

・・・実は「あの子」はガレッガシリーズの血流を汲んでいるんだ。だから、名前の最初に「G」がつく。

もし、なんの蹉跌もなくガレッガシリーズとして開発されていれば・・・

こんな僕達ウェイン兄弟ーー制作者兼親とずっと一緒に空を飛べたのにね。

・・・本当に悲しいことだよ。だから、最後に一言だけいわせてくれないかな。

・・・君とずっとにいたかった。・・・さよなら、愛しい娘よ。


*


「兄さん、なんであの子の攻撃パターンがわかったの?」
「僕がメモに書き足したことを、奴らが何の工夫もなしに何の変更もなく採用したからさ。つまり、あの子は連邦に作られても、僕達兄弟の娘みたいなものなんだよ」
「なるほど、そうか!でも、・・・それより兄さん、何とか山場は越えられたね」
「うん。・・・じゃあ、首都へ侵攻しようか。僕達兄弟の目的を果たすための、第一歩がそこにあるから」
「そうだね。これから、今まで以上に本腰入れて、気を引き締めていかないと。きっと連邦も、僕達を次の機会でつぶしておかないとまずいなって、考えているだろうしなぁ・・・」
「そうだよ!ジェイ!さあ、首都に侵攻を開始しよう!」

さんざんお世話になった戦場、雷雲の中から急降下して、
僕たちは、連邦国家の首都をめざし、人間の住む地上付近へと、戦闘機という駒を新たな戦場へと進めていく。


GO Next Stage!