※某所より転載

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Preseted by Hitsuki Aruzikan,――日月主館.




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―『中孚』。…内なる真理。謎めいた『易経』の託宣。ひょっとして、易経も悲しみのあまり、人間世界を捨て去ってしまったのかもしれない。聖賢たちは去っていく。


『及時雨:宋江。』…彼の名は、中華大陸の歴史的偉人として残った。
『梁山泊。』…彼の作り上げた組織。主に料理の研究を得意とする。


憐れむべき名も無き彼等彼女等は、歴代王朝から敵や不適合存在とみなされようとも、そこでなんとか生きることが出来た。
……歴史的に見ても、善の組織…、だった。あの『新しくて旧い存在』が組織を支配するまでは。

…秘められた偽書、おぞましい精神的異形、新しいモノが押し潰してきた旧き遺産、とてつもなく惨く長い抑圧の歴史…。


――梁山泊、未知なる旧き国に夢を求めて~Underchina Restaurant.

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※注意書き~A One more time for Before Reading.



―楽しく、ゲームの筐体に『コインいっこ(Please Insert a Coin)』な感じで。



----原作準拠です(一応)。

----内容は暗いかったり明るかったりします。そこは、偉大すぎてもはやすごい(確信)な原作とは似て非なる感じです。

----説明は不要だと思いますが、(真・)中華一番!の二次創作小説です(率直)。…なのに、あまり料理は関係ありません。割と。むしろ、水滸伝や三国志的です。

----裏料理会の五虎星他マイナーな人たちしかまともな出番は無いです。メジャーな人たち(例えばシェル君)のは、ほぼ無いです。

----時代の設定は、とりあえず1860~70年代にしておきました。

----全体的に話は難しいです。参考にした名作ゲームやSF小説他の難易度が影響してます。

----海の環境に例えると、原作が太陽がキラキラ輝く珊瑚礁と群青の楽園で、拙作は旧き遺産たちが眠る深淵に棲むモノどもの領域です。…さて、『もうおわかりでしょう』。

----結構というか、かなり全体的にというか、話自体は重いです。原作よりも民族的で歴史的な要素も多いです。

----自分勝手に橋渡しや穴埋め的な感じで、取り決めておいた設定があります。人類補完計画ならぬ中華(一番!)補完計画。

----なんか変な不純物が混じってます。一体、それが何なのかは、読んでからのお楽しみ。

----小説自体の面白さ優先なので、その所為によりキャラ崩壊、いや、キャラ瀕死です。ほぼ無傷はあまり居ません。…覚悟完了?

----読みたくない、と感じたら自分を信じて読まない(これは超次元大事ですので、必ずテストに出ます)。

----結論――やっぱり、原作は偉大すぎました。それでも、理不尽設定はなんとかして…。すごく、つじつまあわせと考証が…。


もし、以上を承諾したのなら…。スタートボタンを押すように、読み始めましょう。


     PLEASE PRESS A NEXT BUTTAN.

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…。……私は、実に孝行でないことに。
実の父も母も、どんなお方かを、知らない。年齢も知らないし、人柄も知らない。ただ、「お父さんとお母さんは?」と滅多に訊かれたことが無かったのが、幸いなくらいだった。当然だが、同じように兄弟も親戚もいない。…なんて、寂しいのだろうか。

更には、それに追加されるように、物心ついたときには、不潔で黒い虫や鼠公の住み着くような暗い汚い場所で、既に暮らしていた。
…あぁ、イエス。そうだ。その場所は、山東省の水滸(水辺のほとり)にある梁山泊。老荘思想の書物には、「水気の多い湿原に人間が暮らすと中風をわずらう。」とあるが、誰も中風どころか、何も病気にならずに健康に暮らした。

この、かつて何もかもが弱い少年だった私でさえだ。…もしかして、湿気が足りないのだろうか? 

…まぁ、とにかく人間の住むべき場所ではなかったわけだ。

実際、梁山泊に住む人間は歴代王朝から完全に、人間未満扱いされていた。下層民ですらなかった。私達はこぞりにこぞって、除外者(アウトカースト)とみなされていたのだった。

勿の論、印度の話ではない。中華の話だ。『隣国』の話だ。・・・このようなモノだから、正直ルサンチマンの思いすら湧かなかった者ばかりだった。…私が梁山泊の首領(ドン)になる前は。先代の地位を実質的に、継いで構造改革をする前は。

…思えば「どうしてこうなったのだろう?」と、来た道の後ろを振り向き、ふと思う。

…別に、自分がやってきたことが間違いしかない、というわけではない。だけれども、はっきりと正しいともいえない。どんなに『絶対悪』でさえ本当は…、聖書原理主義者(ファンダメンダリスト)のようなことはいえない、のだ。

むしろ、『絶対善』がそういうことを言うのだから。『絶対善』として支持していた者たちが手のひらを返して、その心から拍手をしてまで応援していた善人を…。『善から悪へ』なるように、言論を一つにして元々支持していた『善人』を貶めた…、何時の世もそれだけなのだ。

大衆は易姓革命を好む。大衆は実を言うと義賊より官軍の方が好きだ。大衆は差別と高貴なるモノの価値を均一化することで自我(エゴ)をなだめる。大衆は加虐趣味者(サディスト)でなくても、基本極刑や見せしめを好む。

大衆は、たとえ自分だけが悪くて、その原因でも9割方人のせいにする。大衆は、自分より惨めな弱者を見つけて彼や彼女に同情するのが好きだ。大衆は、独自的個性(オリジナリティ)や人と変わっていることを嫌い、逆に他人とまるで同じことをするのが好きだ。

大衆は…。

……もう、いいだろう?…こういうことを書くと、胸が焼けるように気分が悪くなる。だから、オレは…、いや、私は彼等彼女等のような有象無象には、正直根を上げているのだ。はっきり言って、この腐りきった国を運営している高級官吏や王侯貴族よりも。

…この裏料理界だけでもそうはしたくなかった…、が、結局私の不躾でそうなりつつある。『お偉いさん』に『裏料理界の兄弟姉妹諸君(みんな)』――私以外の五虎星はともかく、ただの幹部にしろ…。


麟厨師なんて称号を与えるなど有り得ない普通の厨師、そこらへんに生きている『かろうじて人間』にしろ…。やはり、ほとんど知恵遅れの荒くれモノばかりだったのが、おそらくの敗因だろう。何処まで行こうが、家畜は家畜、大衆は大衆である。

強者と教養人はルサンチマンによって磔刑にされるが、大衆と弱者はそれによって力を得て生き残るのだ。すなわち、私はルサンチマンを撲滅したかった。だが…。という、それだけの御話だ。


…?
……あぁ、いいのだよ。別に気にしなくていい。

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――豚魚は最も無知にして、説得しがたし。

今日の梁山泊も湿気でじめじめしていた。別に雨季だからというわけではない。
元々、そういう『土地柄』だからだ。それに、住み着いている人間自体が陰気臭いのだ。彼等彼女等の中で空は、鉛色の曇りが青い景色――晴れになることは決して無かった。

厚く黒い雲のように、活発に攪拌される反逆への自覚(Subversive Awareness)――それさえ意識に潜んでいない。ただただ、かったるいだけの曇り。

それが無力な人間の懸命な生き方なのだろう。一念発起して、なにか豪快でスカッとサワヤカ的な事象で、パーッとしたいのだが、…結局怖い。その変化がイヤで、怠惰な状態でズルズルすごしていく、という。

…それでも、彼等彼女等にも生きる楽しみはあるのが救いだろうが…。それでも…。…ここは、確かに地下領域(アンダーグラウンド)だが、第一に料理を極めるためにあるのだ。悠々と何百年の歴史を持ちながら。

ご存知のとおり、中華大陸は…意外と所々ではあるが、基本的に食事や美食にこだわる。だが、欧米諸国の一部分、イギリスとアメリカの食事は不味いという。その他の英語圏でも、ほぼそうらしい。

…それはなぜか?彼等の国で上流~中産階級を占める清教徒(ピューリタン)と呼ばれる敬虔な人々は、博打や美食他世俗的快楽をを全面的に否定するという。…やはり、そこからきているのか。

…実の所。欧米の、昔からカトリック教徒の多い地域は、食事にこだわるという。この中華と同じで、死後の世界や神を求める心より、現世利益的な傾向が強いのだろう。それこそが、大地に根ざした生き方なのだ。天を仰いで生きるのではない楽観的な他の生き方。
…『大地に這いつくばって生きる方針』。天に帰るのではなく、地に還る。だが、私は天に帰ろうと思う。地に還るのではなく。天にある神の御国には、私が一生涯で一番求めている永遠の命が、そこには必ずあるから。

―空しい、空しい。全ては空しい。

―この世を知った者は、身体を見出した。しかし、身体を見出した者に、この世はふさわしくない。

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今日も梁山泊は、当然湿気でジメジメしていた。今日は胸が悪い。また、私刑(リンチ)である。麟厨師に為り損ねた結果とはいえ、また一人地に還った。…かくもどうして、このように中華の民はここまで性格や人間性が矮小なのか。

かつて、中国史において偉大な聖人君子の下には、そのような輩がそれこそ恒河砂ほどいただろう。だが、『衣食足りて礼節を知る』。『心を養うは寡欲より良きはなし』。どいつもこいつも、中華の民は飽き足らずの貪欲ばかりである。


まるで、クレクレ動作しか能の無い池の鯉である。


現世利益主義もここまでくると腐りきってダメだ。世界各地の宗教が腐敗する理由。宗教教団が現世利益を、いつまでも飽く無く追求すること――それが、最大の一因に数えられるが、…これが、まさにそうだろう。大利捨ててまで、小利を取ってしまうのだ。



――むかし、晋という強国がカクという国を滅ぼしたときのこと、カクを攻めるには虞(グ)の領内を通らなければならない。そこで駿馬と玉(ぎょく)を贈って道を貸してくれるように頼んだ。虞の重臣たちは、「カクが滅ぼされたら、次は虞の番ですぞ」と言って反対したが、虞の王様は贈り物に眼がくらんで、晋の要求を受け入れる。

その結果、カクが滅ぼされて間もなく、虞も晋の侵攻を受けて滅ぼされてしまった。(注:中国古典一日一語より引用)


…。


…諸君。これが、この中華大陸で何億回も繰り返されてきたことだ。『二度ある…』と『三度目の…』の状態(レベル)を、とっくの遥か昔に越えてしまったのだ。

城壁の中から出ない知恵・交流。一体、旅とは何だろう?そして、外の世界とは?

…あぁ、願わくば。この中華の民が、境界を超えて、外へ飛んでいくことを。


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…それは音のはずなのに。





『視覚的に、綺麗な光』。暗い洞窟に美しい音が聞こえる。愛おしく響き渡る。水晶で作られた楽器のように。

…音楽。また、エンセイがいろいろな楽曲を聞かせてくれた。不思議とFM音源っぽい。…?? なんだろう、それは?


…そういえば、音楽は当然種類にも寄るが、おそらく料理や絵画などよりは高尚な趣味であろうと聞いた。

大方、同意だ。否定はしない。こういう私の言を聞いて、あいつらは心から驚愕するだろうが、それでも、私は心から本気だ。
独特の音色が個性を生じさせる。無論、独特の味付けは?…イエス。そう、…ではなく違う。…それはなぜか?


音楽は教養だが、料理はそうではない。


…それに尽きる。余興は教養に勝てない。…そこらへんのヤツには絶対にわからんだろうよ。だから、私はそんな余興なんぞに構っている暇を、教養の方に一般的なヤツとは比べ物にならないほどに、さいたのだ。儒教、法家、墨家、考証学、練丹術、仙道、波紋、兵家、名家、玄学、ネストリウス派神学…。

…梁山泊の中で、これだけの学を積んだ人間がどこにいるというのか?


…。


…嗚呼。…さて。

…いつも思うのだが、耳が聡い、感覚が豊かだということはあまり悦ばしくない、ということをあまり判らないヤツが多い。特に、不要な聞きたくない音を拾ってしまう耳、普通の音が大音量に聞こえてしまう感覚等についての圧迫感を。

…それでも、ただ判ってくれる例外が一人だけ居る。それが、あのエンセイだ。

エンセイは、私と同じで全く自分に関係ない『はず』の、聞きたくない呟きや発言を聞いてしまうのだ、という。
『ねみ』『疲れた』『料理なう』とか『バカかこいつ』とか『もうこいつとは付き合いたくない』とか『おはありです!』とか…。

部外者になかなかわかってはもらえないが、まるで、そういう発言が白い紙に縦にずらずらーと書き連なっているのを、延々と読まされる気分なのだ。…しかも、そのようなのを丸一日、ほぼ費やしてまで付き合わなければならない。ちなみにこのようなのを、巷では辻占廃人(略称:辻廃)のだという。

その時間線上(タイムライン)の、その中で、彼が聞いたのが、美しい音楽だった。

…燕青。天上で奏でられるような音楽の才能に恵まれた美青年。…けれども、目の前にいるのは、酒と昼寝が大好きな汚らしいおっさんだった……。全然美青年じゃなかった…。

「いくら汚らしくても、酒だけはやめらんねぇ。」

…エンセイよ。なんて無粋なヤツなんだ。
これでは、せっかくの美しい音楽も台無しだ。…燕青の名が深く悲しむぞ。

…いや、違うかな。もうとっくの前に、悲しんでるな。そうだな。…そうだ。

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…れっきとしたある日のこと。だったりするが、私は暇なのである一室に赴く。…どこかは教えない!

…さて、その場所に行くと、ケイシ族ことリコがいしつぶて先生の練習をしていた。
実にお粗末だが説明をすると、いしつぶて先生は高威力を誇る射撃(シューティング)用の単発特殊弾である。対空対地他爆撃攻撃ともに、性能はかなり優秀。

そして、申し訳程度に火薬が仕込まれており、着弾したときの爆風も高い威力を持ち、更には少しながら周囲の敵を巻き込むことが出来る。

誘爆を避けるための処置も完璧しないといけないので、一個一個の御値段は高い。なので、一つでもはずすと制作費もだが、弾自体の個数そのものも勿体無いので、こうやって別に練習用の弾を使って訓練をしている。

…確かに、軽率な使用は出来ないが、それでも先生は先生である…。当たり判定がデカいの(例として大男や巨女とか)にとっては、凄まじい壁となるほどの強敵だろう。それでも、巨艦大砲主義もまだまだ理想中の理想だが…。

…。いったん、話を考えるのを止めて、無意識に周りを見渡してみる。

…そこには大量にメモ書きが散らばっていた。

その乱雑に散らばった床の、ちょっとしたメモ書きの一枚に、何か書いてあるのに気が付く。少し読むと、自己紹介(プロフィール)の草稿(プロット)でも作っているのだろうか、と思ってしまう言葉が書いてある。

実際、そんな感じの言葉もある。「好物:青魚」とか。

それで、ちょっと探すと、「アラリック(Alaric)」と「スティリコ(Stilicho)」、「あまりも不思議すぎる偶然の一致!!」なる言葉まで書きとどめられている。…確か。…その言葉は。

…アラリック。西ゴート族の王。偉大なるローマの仇敵。
…スティリコ。ローマ帝国の将軍。偉大なるローマの英雄。

彼と彼女の名前が、ここまでに似ているなんて、単なる偶然だろうか。又、メモ書きには「尊敬する人物:政」とも書いてある。私が一応補足するが、ここでの政とは、秦の初代皇帝――即ち、秦の始皇帝を指す。

確かに、秦の始皇帝は、ローマの皇帝とは似て非なる思想を持つが、それでもローマの気質に近い。ただ、秦の始皇帝は、「分割して統治せよ。」を採用しようとしなかった。そこから、今まで歴史上でのありとあらゆる喜劇と全ての悲劇が誕生した。押し付けがましい全体主義(グローバリゼーション)。原理主義(ファンダメンタリズム)。この人を見よ(エッケ・ホモ)。

…見るがいい。時の始まりから、正論を言う人々は、なぜか率先して殺され続けている。正論は、神の声ではなかったのか?
それでも、民の声は神の声。いかなるつぶやきでも。

「ユダヤ人の王、万歳!」

…さてはて、あの偉大なるローマ帝国。ユダヤ人の王に取って代わられた偉大なる国家。…もしかして、ローマから逃げてきて、ここにいる?

…それにしても、このメモ書きはすごいモンだな。

「彼は、ジャイアントナイン(九大厨師)におけるただ一人のメンバーであり…。」って。

おいおい、ジャイアントナイン(九大厨師)の一人だという設定は、どこからきた…?
初耳すぎて耳が痛い。誰が考え出したんだ、んなモン。

「リコが…。最近、考えたんだが…。どうだ?」
「」

…何だよ、それってヤツは。

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…水滸伝とは、裏料理界における聖書(バイブル)である。


燕青…。何を隠そうあの聖書(バイブル)『水滸伝』における花形であり主役として活躍する美青年の名前である。
彼は、色白で小柄な美青年で、文武両道の好漢だと伝えられる。その人気や屈強さは、入雲竜の渾名を持つ公孫勝(お分かりだろうと思うがその渾名は私のだ)と並ぶ。

…が。しかし。…残念なことに、ヤツはまさに、『汚らしいおっさん』だ。こいつはとても『美青年』だとは言えない。
確かに、色白だが細身ではない。相撲と音楽は得意だが、どうあがいても『汚らしいおっさん』だから、『水滸伝』を読んで変な期待をしてしまった人間が撃沈していくほどにアレだ。ちなみに、その記録は今現在、絶賛歴代最多記録更新中だ(記録自体は、私の代で取り始めたが)。

…嗚呼。…エンセイ。あの男には、どうしても私は勝てない。…学識と教養の全てを除いては。…あいつだけに関して、個人的にただそれだけが自慢だったのだ。

…第一に、…まず、ワケがわからない……。

「おーよ。カイユ、元気か?」
「見れば判るだろう。」
「そうだな。」

…なんて、くだらない会話だろうか。意味もなければ価値も無い。

そもそも、こんな風に酒を飲むしか、まともなやる気を出さない人間の端くれみたいなオッサンと話をするという行為自体がそうだ。それなら、一人で『水滸伝』でも読んでいたほうがマシだ。

「…それで話の本題、だが。新作料理は出来たのか?」
「…まだまだ、なのだよ。達成率は一~二割にも、行き着いていない。むしろ、未だに材料の厳選をしている過程の真っ最中だよ。」
「なんだぁ、つまらねぇの…。料理なんて兵糧で十分、そんなのに、価値も意味も無いだけなのによぉ…。」

…そういって、エンセイは酒を飲む。そもそも、酒=食事の男だ。そりゃ、つまみも肴も一切要らない輩に料理は不要だろう。…じゃあ、なんであんたみたいなのが、ここにいるんだ?ここの存在理由など、既にわかっているだろう?


「お前も飲むか?いっぱい。…一杯。」
「担当の主治医に酒類は控えるようにといわれていて…。」
「ふざけるな。お前自身が主治医みたいなモンだろ。人を癒すより毒を盛っての実験が大好きな医者。」
「…ふっ。むしろ、そういうのは料理人かな。」
「やっぱり、どこまでいっても料理人は、人間の端くれすら言えないヤツばかりで、本当にロクでもないよなぁ。」


…なんだ、この会話。摩訶摩訶不思議すぎる。なぜ、こんな風に会話の方向性が、あさっての方向性へと邁進するのだ?

…さて、個人的にこんな汚らしいオッサン(しかも酒臭い)とあまり深く付き合うのは、いつもいつも結構イヤなので、適当に会話を終わらせて、双方共にそれぞれの仕事や暇つぶしに戻った。

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あの美しい青空がまた来ることを信じて…。

…鈍色の空。でも、いつか晴れる空。そして、しばらくして晴れた。見える美しい青い空。蒼穹。

吸い込まれるように、青い眼に映る真実。そんな彼女の目を私から見れば、紅蓮の情熱が見える。全てを見通すことの出来る眼。もう偽りは見えない。真実が目の前に現れる。

…不思議なモノだ。
…こういう、鈍色の空に青い空が垣間見えるような感覚。雲間に見える青の風景。あざやかに映える蒼穹。そして、紅蓮の夕焼け。

…インド人を右に。むぅぅ、頭がギシギシする…。

「どうかなされましたか、カイユ様?」

むぅぅ、もう頭の状態は大丈夫なのだけども。なぜ、あんな場に一致しない一節がさっきポッと出したのか。

…インド人を右に。そもそも何処が右で左なんだ。…謎だ。…え?ハンドル?

…ますます、まるでワケがわからない。…ハンドル?ハンドルを右に?そもそも、ハンドルって何だ?

まるでワケがわからない。何も一つもワケと言うものがわからない。

…なので。この話は、保留にしよう。

…さてと。

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…ジュチ。私がなんとなく、拾ってきて教育をしている子である。気を使った弾幕は張れないが、それでも『気を使う』才能はある、かもしれない。もしかしたら、あの破魔…、いやいや。…まぁ、詳しくは知らないのだが。

そして、なんといえばいいのやら、この子は、虎よりも龍の方が似合う。とに自分勝手に思う。なぜかは、知らないような気がするが。あと、肉まんが好きだ。それが、何故かは知っている。何よりもおいしいから。主食だから。でも、ピザまんは嫌い。…それは、何故なのだろうか?

それに、この子は、いつも彼女が欲しい、といっていた気がするが、その時に、好みのタイプについて『華人小娘的な女の子』と語り、「わいはそういう彼女の騎士(ナイト)になりたいんやさかい」といっていたような…。

嗚呼、やはり、か。やはり、そうか。あの子はもう『御年頃』だからかな…。

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…『旧き国』。実を言うと、多くの料理に関する秘伝より、それ以外に関する秘伝の方が多かったりする…。


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「獅子(LEO)の名が廃る。」と昔から言われ続けた。幼体の雄獅子ですら、お前のようではないと。その時から、オレはずっと自分が嫌いだ。…疲れた。

…だからこそ、オレは旅に出ることにした。中国全土をフラフラしながら修行する、そのような感じで。だが、それでも自分を好きにはなれなかった。

そして、あれから。かなりの時がしばらく経つ。

…ちょうど、オレは今、深淵に住む旧く力強い獅子に成長して、ここにいる。『旧き国』。旧くて暗い海溝に棲み付く鋼の残骸。いつも、その場所から世界を見ている。見ている先は、珊瑚礁や太陽の光が踊る竜宮のある塩水の桃源郷。…どいつもこいつも楽しそうだ。


…なら、消えろ、どいつもこいつも消しつくしてやる。…さっさと死ねばいい。


兎角、海の底から海面上の暖かい世界を見る感じで、チャラチャラした軽快なノリは苦手だ。反吐が出る。それなら、そんなやつらと付き合うくらいなら、一人で不味い食事会の方がマシだ。もう、こうなったら。…氷海の底に沈んでやる。

…それなら、あんなバカみたいにチャラチャラしたのを見なくて済むからな。

…だから、オレはここにいるわけだ。あの店にいるヤツらなんて、オレのことを理解できないほどのゴミばかりだ。バカ共め、今に見ていろ!!

…腹いせに弱いヤツに勝負を売っていったら、どいつもこいつも情けないクズが多いから、連戦連勝だった。面白かった。スカッと&サワヤカな気分になれたので、満足した。

この梁山泊には、神の舌を持っている上に、いしつぶての名手をやっている女子がいる、とここのそこらへんかどこかで聞いたが、その子から、いしつぶて射撃の技能を学びたいモノだ。料理よりそっちの方をならいたい。

…そうだ。皆悉く仲良く、死に絶えればいい。…もう、オレは全部イヤなんだ。

…。

…。気を取り直して、今日もまた『旧き国』の奥へと行く。開放されていく無限。急に開けた視界。心ある地(ハートランド)。たくさんの邪悪でありながら神聖な書物と資料。オレはそこでいろいろな遺産と真実を見た。

…それにしても、オレの足に巻きついてくる蛇。流石に怖い。

…、そういえば。女の子、若い娘の甘い喋り声がする。でも、情事の時みたいな感じじゃない。むしろ、健全な感じだ。普通に公衆の目前で、声の発し方をかなり工夫して、心地よくオレの本能を優しく撫でている感じ。

…。いろいろとゾクゾクする。

…だけれども、一体何をしているんだろうか。オレはもっと声を聞く為に、耳を澄ませる。

「死にたい、死にたい。もう、死にたい…。誰か私を殺してよ…。」

…。

申し訳ない気持ちでいっぱい、になった。別に「ごちそうさまでした」。なんて思っていない。本当に。

…それより。オレは、なんとかして、どうにかして、彼女を励ましてやりたい。

彼女に会う道を探す。…無い。
彼女に声をかけてみる。…何も返事なし。

もう、あきらめるしかないのか…、と思っていると、誰かが彼女の下に来た。男だ。声の感触からすると相当の美形と見た。もしかして、彼氏か…?

「…そうやなぁ。…わいもな、死にたいんや。だからな、肉まんでも食べて…。」

…すまん、聞き間違いだった。

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オレは割りと不思議に、こういうジメジメしたところが、自分でお似合いだと気が付いていた。

…性格が暗いからだろうか。…ネチネチしているからだろうか。…死にたい。…オレなんてさっさと死んでしまえばいいのに。…あぁ、だからか。

こうして、オレが居るこの場所には、おどろおどろしい旧い二つの――対面式に作られた料理場の真正面には、墓場の庭(Grave Yard)がある。来るべき栄光に向けて、続々と投入されたであろう、新型厨具に試作料理。あるいは、オレたち料理人自身が試作品だということだろう。無論、技術や秘伝以外もウリにした。

だからといってなんだ。結局は、量産するほどの意味と価値は無いということだ。作り方の記録と実戦投入の前に、料理対決の全ては終わっている。廃棄処分(スクラップ)にされるだけの失敗作(ジャンク)。…ただただに、不味い料理。…そうして、かつてない料理での戦いと争いとが始まっていく。

…こんなのは、戦争と同じだと思った。やっているのはただの殺し合い。停戦締結への我慢比べ。新型兵器と試作機。苦悩する武器開発者たち。そういえば、最近になって清国が、軍艦の本格的な建造を計画しだしたと聞いた。…それと同じじゃないか。結局は。

…それに。負けたほうには、死んだときの哀悼(Tears which died)。それすら同じ。だが、誰もオレが死んだとしても、涙すら流してくれない…。どいつもこいつも恒河砂ほどの有象無象。無論、オレもだ…。

そう考えながら、人間から置きざりにされて、心をなくしたような厨具のように、座って休んでいると、何故だかは知らないが、誰かが来た。

…デカブツ(グレーシング)だ。高速接近中(アプローティングファスト)。それにしても、オレよりデカイ。…いや、深読みするな。絶対にな。お兄さんというよりおじさんだけれども、それでも、オレとの約束だぞ。…それより、何しに来たんだ?だいたい、この男は…?

「ところで、あんたは何者だ?一体、何をしているんだ?」
「そちらこそ、男なのにおさげをしているおまえこそ何だ?一体、何をしている?」

ふと、一瞬。「辮髪を知らないのか?」と思った。…違う。そんなはずは無い。清の国に生きているのにそれを知らないヤツがいる、なんて国家の大問題だ。あいつはふざけている。オレをからかっているんだ。

「まず、お前から名を名乗れ。」
「オレの名前は、リエンだ。」
「漢字は?」
「『李嚴』だよ。名前の文字は厳の難しい方。三国志の武将:李平の旧名から来たんだ。」
「…そうか。」

…おまえも名乗れよ。名乗ったら名乗り返すのがルールだろう。…流石に「やぁやぁ、我こそは…」はそれでも、やり過ぎだが。

「アラリック。」嘘だろ…!って、思わず突っ込んでしまう。
「…いや、言い間違いだ。本当の名前は、アルカン…。」

…アラカンと言うのか。

「そういう名前なのか。それじゃあ漢字は…、」
「好きな食いモノは青魚で、尊敬する人物は秦の始皇帝で…。特技は…、」
…!! いやいやいやいや!そこまで、オレはあんたに求めてない。

「…ところで、ガイセリックよ。」
…なんとゆうことだ!名前を間違えすぎている!

「…それより。俺だって、死にたいな。そういうのは、あんただけじゃない。判るだろう。こんなことに意味も価値も無いからな。」
…。なんで、オレの考えていたことと話が分かるんだ。

「悲しみに暮れる人間、それに、うつの人間ほど体温が冷える。心と同じように。冷え切った武器に白砂糖、どちらも極陰性だ。」

…。不思議だ。あんた、熱感知機能でも搭載してるのか。

「何故オレの考えていることや感情が判るんだ?」
「…ついでにいうと。生姜にオレ自体、どちらも極陽性、だがな。」

…こいつ、話をはぐらかそうとしている。…なんてヤツだ!
…だが、それだろうとも、オレはこの男に対して興味が湧いた。実に、浅はかでささやかなモノだったが、暇つぶしにはなってくれるだろう、と期待しながら。

「…どうだ?今のオレがどんな心の状態か、わかるか…?」
「深い悲しみ、憂鬱な自己否定、人生の無意味と無価値を悟る虚無主義、未知なる旧き国に夢を求めての幻想。…バカだな。あんた。ここは表の人間にとっては、夢見る未知なる界隈だろうが、そこには旧いだけで、夢も希望も何も無い。気分が晴れたら、さっさと立ち去っていくのが、大吉だ。実のところ、あんたみたいなのも、オレはたくさん見てきた。…だが、誰も逃げなかった。この旧き国を一歩も出ることなく、そういうヤツらは進んで、自ら死を選んでいったからな。…もしかして、あんたもそうなのだろうな。」

…もう、いい。

「…さっき言ったばかりだが、そういうのには、オレも一切の意味も価値も感じなくなってしまった。実感の無い生命、世界。感覚、意識。すべてが虚無で出来ている。生業としている料理さえも。…くだらない。反吐が出る。」

…。一瞬にして考え込んでしまった。「最高幹部が、そんなことを言っていいのか?」と、そう思う。オレの目前にいる『料理人』は、教祖の教えを弟子が否定するのと、同じことをやっている。…。いいのか、あんた?


「いいんだよ。もういい。」

…。

…もう、こんなバカげたことはやめてくれないか?…『For God's Sake(神の名にかけて頼むから).』。


…確かに彼は、そう言った。…そんな気がする。

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…アイツだけは許さない!!と心に誓い、早いモノで時が幾らか経過。

…なぜか、料理の修行そっちのけで、梁山泊に眠るお宝漁りと明らかに『旧い時代からの贈り物』と思われる、価値と意味ある残滓類の物色にハマるオレ。…そう、そうだな。梁山泊は、おぞましき麟厨師どもの住む深淵の地。

…といえども、そのようなお宝や遺産は、何も料理の調理法とか作り方(レシピ)についてのモノだけではない。他にもいろいろあるぞ。…『哲学者の一群』とか。…『隠蔽されしモノの書』とか。心から有難いことに、全部漢語訳だ。オレみたいなのにも読める。

…でも、内容がわからない。…結局、何が書いてあるのか判らん。どうしたものか?…それでも、結構そういうのが充実しているんだなぁ、これが。

…ほら、旧そうな印とかある。もし、表まで持っていったら、高く売れるだろうか?…その前に、ここを生きて、表へと帰ってこれるか自体が、謎だけどな…。それより、かわいい女神様とか封印されて無いかなぁ。嫁にできるかもしれねぇからな。でも、違うのだったらどうしようか。…もし、そうだったら。スゲェ、ヤダなぁ。万が一、むさくるしい汚らしいおっさんとかだったら。

…汚らしいおっさんがこっちを見ている。旧そうな印には、なんの発動した痕跡は無い。なので、このオッサンは違う。

…やったぜ!!

「バカか、オメェ。それはただのヒトデだ。旧そうな印とか大層なモンじゃぁねぇ。…それより、数多もの海洋冒険学者が欲しがってるぞ。」

へっ?!なんで、オレのつぶやきを、ボソボソを知ってんの??!!!!!

「丸々、全部(ワンホール:One Whole)聞こえてるぞ。…おいおい。今度からは、発言自体に鍵をかけろよなぁ…。」

…な、なんだよ。あのオッサン、オレのことを観察でもしていたのかよ…。君が悪い、いや、気味が悪い。…それにしても、相当ボソボソつぶやいていたはずなのに、どうしてそれを聞き取れたのか?

…。密偵(スパイ)でもやってんのかな。あんな汚らしいオッサンは至極どうでもいいし、そういうことにしよう。じゃ、また物色するか。好(オーケー)!まだまだ、漁るぜ!

・・・。

「オレはスパイじゃねーよ。…クズが。」


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やはり、ダメであったか!リエン・レオン・ショウアンなどまだまだ半端者よ!

次はこのオレ、双尾蠍:ライホウが行く(シャキンッ)!

…。

…だそうです(※そのようなモノは無いです)。


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現代の考古学において発掘され、研究を一通り終えた品々――かつて古代の中国王朝が『当時の技術』によって作り出した機械(からくり)や道具類には、現代の科学を驚愕させる高度さと卓越した完成度を持つモノがある。

それは時に、学会を揺るがし、学説を大きく覆し、塗り替えていくこともあるという。

…。

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――伝説の厨具とは。

『若く有能な厨師が八厨具全てを使って作った料理を食べると不老不死になれる。』という伝説がある。
そして、その起源は『1000年前、宇宙から降ってきた隕鉄を、伝説の名厨師シュウリが打ち出した調理器具。』

…と言う説が最も有力である。


…さて。

…私達は、泰山に眠る伝説の厨具である貪狼壷を誰が入手するのかということで、ある意味煮込むよりもじんわりと熱い話し合いしていた。

――泰山の貪狼壷は、伝説の厨具らしく半端な厨師は一切受け付けない。…それなら誰が?

…そして、同時に、伝説や言い伝え以上のことを知るために、貪狼壷他伝説の厨具そのすべてを研究することも決まっていた。

其の為に、予め金石学の専門家も招いた。それで、金石学とは何か?考証学の影響により復活し、今の王朝である清代で重要な学問として興隆した。…さて、どのような学問かというと、金文という壷やら壁画やら厨具やら金属片やらなどの、古代の遺物に刻まれた文字を解読する学問である。…そう、『歴史の碑文』を。このような壮大な研究と知的興味に最早、料理は関係無いのだ。
…そして、あれから。

…しばらく議論は続いた。だけれども、幾人かはもういろいろと飽きていた。自分には荷が重い、と思っているのか、逃げ出したかったようだった。

っと、その時…。ガタッっと、重々しい音がした。それは、重量のある何かが音を立てているように鈍い。なんだろうか?と私達はその音が聞こえた先に注意を向ける。

「…おおぉ。ちょっくら、七つの難関を突破してきた」
「あ、貴方は…!!!!!…浪子・エンセイ様!!!!!!!!」

…リコがとっさにエンセイの名前を叫ぶ。

…このエンセイが持ってきた貪狼壷の金石文。とても唐で使われている文字とは思えなかった。漢字には到底似ていない。私が見る限り、明らかに異民族の文字だった。

私は「玉龍鍋や貪狼壷など殷の時代からあるような料理器具を模した、伝説の厨具に刻まれた金文を、解読かつ現在の言葉に翻訳したモノはいないのか?」と招いた研究者に訊いた。

…帰ってきた答えはこうだ。「私共ですら、どこも判りません。まったく未知の文字です…。…唐でも隋でもない。周や殷の甲骨文字でもない。夏にいたっては、まだ伝説上の王朝だ。


…。


…もしかしたら、夏の王朝が生み出した産物かもしれない。とりあえず、これで『伝説の厨具は隕石を材料とし、唐代に生きた伝説の鍛冶師による魔法道具(マジックアイテム)』という定説は覆されるだろう。

たしかに隕石を材料としているかもしれないが、それ以上に物理的・自然法則的な裏づけが必要だろう。

器械力学の、道具工学の、中華式数学の、幾何学の、…その他諸々を含む、それらの高度な技術(ハイ・テック)による演算と設計図が。武器や防具としての、ではなく調理器具としての宝貝(パオペイ)があるとしたら、きっとこんなんだろう。

…そうとしか思えない。…既に。

…胸が熱くなる。ワクワクする。
私は今、数千年も前の、古代からの宝貝を目の前にし、その偉大なる歴史の申し子を見ているかもしれない、ということを思うとッ!
他には、どんな宝貝があったのだろう?遅く速く空を飛ぶ?地を這って射撃する?海上に浮かべて艦隊戦をする?はたまた、拠点制圧兵器、重々しすぎる戦車(チャリオット)の移動要塞、魚介類型巨大宝貝、苛烈な火で動く翼しかない武器…。

…あぁ、私の時代ではありえない機械(からくり)技術ばかりだ。

だが、しかし…。

「…ところで、エンセイ。この伝説の厨具をどうやって手に入れてきた?」
「…。」

…答えない。

そうエンセイは酔った風をしながら、質問への答えをはぐらかす。
…そして、エンセイがいきなりポンッと肩を叩く。

「…それより、一杯やろうや。」



―――――――――――――――


秦の始皇帝が不老不死を求めていた時代に徐福の赴いた国。
…後代。その神国を統治する帝は不老不死の薬を、富士山に捨てることを命じられました…。


―――――――――――――――


…。


…なぜだろうか?

…私は私自身を、

…どうしても疑ってしまう。

…どうしてだろうか??まだ、若くしなやかであるはずの…。

…私の肉体に限界が見えてきた。…まだ、30代前半だというのに。

…やはり、…それ以外の何でもないのか。不老不死のために飲んでいた砒素と水銀が、逆に長寿の秘薬ではなく、若死の毒になったということだろうか。

…無様なオレ。とんだ『賢さ(ワイズマンシップ)』。吊り上げられた『彼』。さっさと死ね。オレをこんなゴミみたいな厨師にしたのは、一体誰なんだ?

…あの救世主だけは死ぬ間際だけだったが、それでも正義はいつも惨め。オレもいつも惨め。この厨師を見よ。だが、オレはそうだからといって『善』なのか…?そうなのか?むしろ、違うのか?

…あぁ。もういいんだ。もう、いい加減に死ぬことにしよう。あまりにも好い機会(ベストチャンス)を見つけて。永遠の命なんてモノを求めたオレが、私が全て悪いのだ。

やはり、東洋的な永遠の命は、幻想なのだろうか?もしかして、西洋的な永遠の命だけが、真実…?

…。

…もう、いい。

―――――――――――――――

「あなたほどの腕を持つ厨師なら…!」


…至極ダメな料理人。それにダメな男だ、などと思う。だが、ジャイアントナイン(九大厨師)なんぞ、悪い冗談だと、オレにはふさわしくない、と、…彼女には決して言えない。…何故だろうか。…知るか。

兎に角。…そんなのは、自明だろう。…そう、自明だ。自明以外では一切無く。自明、それに他ならない。

それはオレ、…その彼自身にも言える。由来不詳の青白い肌と赤毛、あのミラと同じ色をしている青い目。…翡翠の飾りと赤色の衣装。…生姜色の厨師。そのルーツ。

…先刻のと同じく自明、であるはずだ。だが、オレは己がどこから来たのかもどこに行くのかも、…知らない。

…、なんでだろうか。何故今更に、そのことを思い出すのだろう。

…スティリコ。…それに、…アラリック。

…何故か、あの尊敬して止まない政のように、親近感の湧く歴史上の、…。ある時に、何気なく他愛の無い会話でカイユから、その人物について知ったことを、ふと思いだした。

大秦国(ローマ)への川を渡る途中で水没し…、…そして、死。

…み、水。あの冷たくて粘りつく液体。お前達にも、勢いをつけてまで急ぎで水を飲んだ時に、喉や呼吸器の管に詰まらせてしまって、酷くむせてしまったことは一度くらいはある、だろう。水は、人を生かすために必要不可欠だが、それと同時に殺したりもする。

そして、彼(オレ)のような…、特に火工専門の料理人には…。嗚呼…。お願いだから『水を差さないでくれ!!!!』。

…それに。…もう、それになんでだろうな。…こればかりは、わからんぞ。

…常人並みではない馬力による瞬発力と物理的動力由来の機動性。その制御を知性や超触覚などへの意識処理等を最大限に生かすための柔軟性。それら全てを比類なき屈強さと高性能に変えるための苦慮と工夫。

…所詮、オレは何処まで行ったって、『決戦厨具』なんだろうな…。

嗚呼、故に…。

「…もっと多くの人を救えるはずよ!」

―――――――――――――――

…黄金は大地から産出される。…確かに、あのカイユ…、先生と言うべきあの偉大なる御方にそう習った。…少なくとも、そういう記憶はあるんや。…うっすら、…なんや、…けど。…だからと言ってなんなのかいな、って言われても、な。

…。ああいうの、…『わいにはもったいない』明るい世界を思う。

…あぁ~、…なんや、…そーやな。

西洋にある教会のように、ギラギラと明かりを発していて、光が輝いていて。きらびやかで、それであまりにも色とりどりの…。

…あの華やかな宮廷文化が陽(ヤン)の世界。…ここは陰(イン)の世界。埃をかぶってるほど旧式の上に、じめじめしていて仄暗い場所。…まるで、地底。大地の根っこ。流石、『伏魔』と言われるだけはあるんやな…。

…アカン。アカン、…それにもほどがある。ああいう水の中に棲んどるような、そういう感じのが今も生きている、みたいな、旧くて深い場所に棲み付いたわい等。南方からの宗教。しきたり。

…まともな人間は誰もしない。

…それやのに。こぞって、有難く頂いたはずの身体に入れる、人間と言うよりも動物に近すぎる蛮族の刺青。『駆逐対象』。高い城(しろ)の女。低い泊(とまり)の男。…紫禁城と梁山泊。カイユ様の城と『女帝』の泊。

…新しき文化と旧い習俗。新しい全てが旧い全てを、押しつぶすように廟や道観に寺院を一刻も早く、正確に建てていった過去。
結局、わい等はその旧い全て…。

…せやから、わい等の梁山泊は、…多分。わいもなるべくは、信じたくはないんや…。…それは、…あの水滸伝の一版(とあるバージョン)が迎える結末と…。

…大丈夫。…無問題(モーマンタイ)!!!!没事系(メイ・シェー)!!!!!!

―――――――――――――――

…あぁ、そういえば。…古代からの地に住むいろいろな人が、こんなことを言っていたわ。

…青い目は真実を見通す力に恵まれている、私のような青い目をした人間は真実を見通すことが出来る才能がある、のだと。

嗚呼、青い目で私を見る。故に、青い目で鏡に映る私を見る。
紅い夕焼け。蒼い夜空。黒と白の陰陽………ヤンインを司る星たち。ラピスラズリ。美しい威厳に満ち溢れたジンの宿る貴重な聖石。
…いつからか、どこからかはわからないけど、さっきのと同時に語られているのは、強すぎて恐ろしい霊力を持つ、と忌み嫌われていることだった。…それが、ついさっき、無意識に思い出された。


…私の見る真実。


…カイユ様は料理人と言うより、宗教家に似ていた。というより、機械(カラクリ)を作る職人にとても良く似ていた。

量産される機械。人を守るのではなく、消し去るための。お行儀良く型番(シリアルナンバー)なんて割りふられて。…厨師という名をした『決戦兵器』。確かに、それは『一条の光』かもしれない。でも、私はだんだんイヤになっていった…。

同じような、気が付いた他の人もちゃんといたけど、カイユ様はそれに早々と気が付いて、一人一人と残らず潰していった。

私以外のジュチやアルカン、エンセイ、ロタツにゴヨウも、いつかそうなるんだろうか…。なんだろう…。この静かな精神の心地(ハートランド)。抗うためにある死の運命(フェイト)。

……あぁあああ。…結局のところ、少しばかり自由な豚と同じじゃない。そんなのどこまで放浪したとしても。
まるで、『人形の家(ドールハウス)』の住人。

漢や彼に簡単に勝る女が多いので、今まで中々気が付かなかった、けど。…中身は『まるで同じ』だ。武器工場といわないだけマシという世界。カイユ様好みの料理人。ただ、彼が世に送り出したのは、人に料理を作る厨師とは名ばかりの、…それだけだった。あの人たちは、どう見ても零の戦士。後ろを見るな(Don't Look Back.)。



…それのどこが料理なの?



どう振舞おうとも、型からはみ出すことは許されない世界。もしかしたら、ずっとずっと昔から、梁山泊はもう遠くに住んでいる部外者の視点、とにかく、傍から見ると…。

それはそれは、滑稽な『人形の家(ドールハウス)』じゃないのだろうか。そこで、かわいい美人ちゃんとして生きている私。思わずわらってしまう。…なんてマヌケ。

『青眼虎』というある意味での型番(シリアルバンバー)をつけられた私。どうして?私は男でもないし、その人ととても似てはいないの。どうして?

・・・結局のところ、どう生きれば良いの?

もし、麟厨師同士の戦いに負けても、事故を装った暗殺、自害と撃沈。戦場とはやっぱり此処のことだろうか。幸運にも生きることが出来ても、なるべく早く『解体』の憂き目。


生きていても、全てが見事に面白く無い毎日。意味と価値の無い生命。


…早く死にたい。…誰か私をいっそ殺してください。

―――――――――――――――

…梁山泊はいつもじめじめと湿っぽい。…その理由。周りの堀にとある島国式お城みたいに水が満ちているから。

―――――――――――――――

…。

…やれやれ。

アルカンごとあの小僧どももとっくに水没しただろう。…たしか。ほとんど、まだ子供なのになぁ。かわいそうに…。

…そうだな。いしつぶて先生作りで培われた火薬の使い方が良かった、功を奏してくれたのだ。…それにしても。…リコ。大丈夫だろうか。

…まぁ、いい。あいつと一緒に死ぬんだな。仲良く、仲睦まじく。
…それで、幸せだろう。『長生きこそ大事』とかいうヤツほど、人生の価値や意味どころか、何も考えていないからな。

…全く。

…さて、今度こそ大望(ユメ)を。…っと。

―――――――――――――――

…清朝の首都――――北京の紫禁城。

私の大望が達成される場所。いずれ祝福の地になる場所。息も出来ないくらいに夢中の胡蝶。私の魂魄。嗚呼、空を飛ぶような、足に地が付いていない精神の浮遊感を楽しむ。…嗚呼、『私の世界』に光が満ちる。

…。

…だが、しかし。あの小僧はまだ生きていた。先刻、見つけてしまった。…多分、あのアルカンが逃がしたのだ。どこまでも使えないヤツだ。『決戦厨具』ではなかったのか…?

後で生きていたら、私直々に処刑してやろう。…瓦礫にしてやる。

…。ところで、というように。私はふっ、と予選参加者を見る。どいつもこいつも有象無象ばかり。結局、あの小僧だけか…。私に適う事の出来る相手は。

…、さて。はじめようか。私の全てをかけた大望(ユメ)を。

―――――――――――――――

…あの小僧。…あのマセガキが私の元へとやってくる。…突然の『面会』。真剣そうな顔をしているマセガキ。よくよく観れば、『あどけない良い子ちゃん』なのになぁ…。もったいない。そして、その傍らに居る『彼女』。

…生き急ぐヤツ。お前の人生もまだ短いだろう。無理をするんじゃぁない。…嗚呼、私もか。

…それにしても、チャイニーズウォール(Chinese Wall)…。英語において『万里の長城』と『越えられない壁』。その二つの意味を持つ。だが、ここには『万里の長城』しか存在しないようだ。…そうだよ。私に越えられない壁など無い。

…さてはて。あぁ、良い青春だな。もうその歳で、もうおませで、背伸びしきったつもりなのか?

…ほぅ。なんとも、どこか可愛らしい彼女を連れて。…このマセガキ、…劉昴星(リュウ・マオシン)。

…実に、全くうざったいことに。…あの若造が大人どころか、至高なる天帝の階段を上る。猿同然の知恵しかない、まだ仙女の乳が恋しいガキに私の理想と大望(ユメ)、…それの何がわかろう?…若いなど、青春など。熟しきってない、単に青臭いだけだ、というのに。

どうせ、あの西果てにある若い国と自分の自画像を照らし合わせているだけなのだろう?…虫唾が走る。…叩き潰してくれる!そして、…死ぬが良い!

―――――――――――――――

…。予選が終り、本戦が始まろうとしている。そして、決勝戦の題目が発表された。

…『西太后の今まで食べたことの無い中華料理』。

一瞬、それを聞いた者達があっ気にとられる。そして、案の定、題目を聞いた多くの人間は、こうつぶやく。

…西太后どころか、誰も食べたことの無い中華料理。…そんなモノがあるのか?

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八卦の陣によって破れる魔。…破魔八陣。

八卦の陣とその基本(ベース)となる易学とは、この中華大陸の創始者である『ふっき』等の何よりも偉大なる先帝達を起源とする。
0と1。陰と陽。00、01、10、11。至分点の十字架(クロス)。そして、黄道としての円。その四つによる八つの組み合わせ、…八卦。

それから、その八卦となった陰と陽に五つの具体的な属性が加わる。陰と陽=日と月を除いた『火水木金土』の五行が。ちなみに、西洋の錬金術では、『土・火・風・水』となっている。そして、インドではそれに『空』が加わる。

…その神妙な調和(バランス)。あまりにも価値があり意味がある。だから、初代の時代から後生、本当に大事に裏料理界が長年隠し通してきた秘密(ザ・シークレット)なのだ。はっきりかつ具体的には教えられない。…ただ、それについてほんの少しだけ教えられることがある。

…そういう調和のとり方は、限りなく音楽に近いのだ。まさに、調律(チューニング)といえる。…だから、私よりエンセイのほうが…。…嗚呼。

…さて、破魔八陣も完了して、毒膳料理も出来たことだし、…なぁ。

…。

…本日のメニューはこちらでございます、っと…。

…。

…!!

…何?…黄金炒飯?

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最終決戦と言うタイトルマッチ。

…彼女の振りをした彼は、多くの人がそのお祭り騒ぎに夢中になっている間。

…。コツコツと、着実に。…、一人さびしく。

…蘭飛鴻は、満漢全席用の鳥料理を作り上げながら思う。

…。

…今、こうして晴れ舞台で戦っているオレだが。

…いつか、ヴェールを脱がなければならないのか。あの女神(イシス)のように。バカみたいに面白い偶然。今、こうして『バカげたこと』をオレ一人だけがやっている!!…なんという滑稽な活劇写真だろうか。

…そうか。オレは結局のところ、武器や兵器みたいなモノだということだろう。…何も言わず敵と戦えばいい。命令に背くな。かつての仲間、であっても容赦をするな。当たり前のようだが、それが武器であり兵器だ。…そうだ。


…男は機械(からくり)に少なからず似ている。彼は感情では割り切れない。
…女は機械(からくり)に少なからず似ている。彼女は理論では割り切りない。


…嗚呼。


オレには、誰一人とさえいえないオレ自身についてのことがある。オレは、ラン・フェイフォン(蘭飛鴻)というべきではない、ラン・フェイフォン改(あるいは浪子Mk-2)と言うべきであることを。

では、何故にそういうことになってしまったのか?…それに対する正答は、…それは、オレは裏料理界と関係がある、ということだ。でも、それは味方や仲間にオレは潜在的な敵だ、と告白していることにしかならない。

マオにすら話して教えることが出来ない、そこで身に着けた技術も持ち込んだ道具のルーツも…。


闇の中へ(Into Darkness)―料理が人の価値を決める。冷え切った光(Luminescence)―料理は人の価値を決める道具でしかない。


一流は、歴史を背負う。二流は、歴史と距離をとる。三流は、歴史を馬鹿にする。


…所詮、お前は三流だ。


…そうだ。オレは一流にしか興味が無い。それが、真の一流である所以、それだけに他ならない。だから、マオ。…オレは。お前もそうであると信じたい。


…オレの人生が無意味かつ無価値ではない、という私論と対となるように。

結局のところ、その思念ですら宗教の内に入るのかもしれない。だが、オレにはそんなモノは関係ない。


…。

―――――――――――――――

…劉昴星の作り上げた最高傑作である黄金炒飯。

至分点の十字架。黄道十二宮の円弧。太陽の神。太陽の息子。…神様の味。天上の神威と地下に住み着くデーモン。『一条の閃光』としてのケルト十字。

あのあどけない子は、太陽に祝福された。大いなる光。AtoZ。高度な文明をかつて支えた旧き神に。

…だから、だろうか。


…。


…やがて、劉昴星の料理に深く感激した、公式の側が大きく優勝者を発表する。

今大会の優勝者は――。『――劉昴星!!!!!』

…!

…あまりに唐突にもほどがある展開。それに、異議を唱えるかの如く、カイユが思わず叫ぶ。

「エ、エンセイ!!!!!!!!!!!!」

あのカイユが、本当に珍しく追い詰められる。…かつて、こんなことは一度たりとも無かった。ましてや、ただのマセガキにここまでやられるなど、彼の人生でただ一度も…。

「…すまねぇ。」エンセイは申し訳なさそうにカイユに言う。

「??!!!…エンセイ?」

「…すまねぇ、カイユ。オレ、アイツに勝てねーわ。」
エンセイの指差した先には、『パイラン』などという『ふざけた名前の厨師』がいた。

「はっ…?!」
「つまり、オレたちの負けだよ。カイユ。あいつらの勝ちだ。」

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カイユ…。このオカマじみたバカ野郎がッ!!お前ほどの人間は見たことが無い。悪い意味でも、良い意味でもな。お前の所為で裏切られたり、人生を無駄にした人間をそこまでシカトする気か。…あのミラだって、ジュチだって、だって。お前のことを『心から信用』していたのによ。それを、まるで遊び飽きたオモチャやお人形を廃棄処分にして、軽い気持ちで捨てやがって…。

例えるなら、戦争が終わった後の武器と兵器だろうか。鉄も欲しい、鋼も欲しい。だが、武器も兵器も、全部もう用が無い。仕方ない、解体処分。全部、新たに資源へと…。むしろ、それに近い気がする。…どちらにしろ、あいつらがかわいそうだ。

…カイユ。お前からすれば、全部あいつらの命ごと消せば、それで終わると思っているのだろう。『死んでお詫びする自害』に『実験台』、『みせびらかしの処刑』。…そういやぁ、あいつら以外にもたくさんいたよな。そういうのは…。


何故だ?何でだ?なんでこんなのが、今も梁山泊の頭領をやっているんだ…?

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今大会の勝利者は――。『――劉昴星!!!!!』


…。カイユは沈黙する。

…私が負けただと。現王朝の最高権力者である西太后の前で。わざわざ敬語を使いたくない相手の前で敬語を使い、無理して気を練って、今の流行じゃない時代遅れの服装をしたおませなお人形さんの振りをしてまで、必死かつ真剣に大望(ユメ)と向き合った。

…それなのに。毒膳料理を無毒にされ、あいつらを含む多くの仲間を切り捨ててまで、ここまで来た…。だが、…敗北。勝利はこの年端も行かないガキのモノになった。既に、なにもかもが正気の沙汰ではない。まともな人間なら誰でも、あんなガキが勝つなんて誰も思わない。全ての正常な感覚や法則の一切が破綻している。

…嗚呼、…兎に角。…オレは負けたのだ、……このガキにッ!


「カイユ、お前の負けだ…!」


―――――――――――――――

…。

もう、わけがわからない。…当の本人であるカイユですら、理解が出来なかった。

『死にたい』と『生きたい』という御互いに正反対の思いと感情が、質(タチ)の悪い闇鍋のように混ざり合う。それは、陰陽が未分化の状態で全てが存在することが出来た、かつて原初にあった渾沌の時代に、良く似ている。

西太后の下に駆けつけていく、そんな人生に血迷うカイユに、容赦なく数多もの矢が刺さる。細長い針の弾幕。まるで、機関銃(マシンガン)の弾丸。それ等のすべてが、カイユに命中する。

正装としての礼服に、赤くて鉄臭い液体が滲んでいく。もはや、瀉血というレベルではない。

…!

朦朧とする意識。だんだんと弱まっていく肉体の生体機関(エンジン)である心臓。

「…死にたい。…だが、生きたい。」

…とっさにその相反する思いが同時に姿を現す。…だが、そのどちらかは一刻も早く、一つに決めなければらならない。

…そう。…そのカイユ自身。もうすでに、出血のし過ぎで、死にかけている。

…。

「…カ、カイユ様ぁー!!!!!」

一丈青であり海棠の花と呼ばれる女が絶叫する。

「ハハ、ハ、ハ。笑わせるな。オレの夢はまだ終わっていないんだ。」

…自分の最期を拒絶するかのように…、一瞬にして駆け出す。何よりも大事なモノのために。

そして、なんとも楽しそうに、自分のに刺さった矢を引き抜く。

=======================================================

「誰にも渡さねぇよォ…!永霊刀、転龍壺、魔聖銅器、貪狼壺、霊蔵庫、玉龍鍋…!」

…全部、私のモノだ。この伝説の厨具も!梁山泊も!『あいつら』もすべて!

「全部、オレのモノ、だ…!」

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…その様は、凄まじく瀉血と言うべきではないくらいの『荒療治』だった。

…彼の血が、それからできた液体的な金属質の紅い弾だけが、一面にぶち撒かれる弾幕の如く、伝説の厨具へと被弾する。

…当然だが、なんとういうことだろうか。…もう、彼の身体には。…生命を維持するほどの血液はない。もう、血という機械油や潤滑油が必要なほど無い、カイユはやがて生命維持が出来なくなり、段々と動かなくなる。…そして。

「カ、カイユ様ァー!!!!!!!!!!!!!」

…カイユの死。

…それが大勢の中で、ノンストップかつリアルな映像として流れた。あのマオですら、予想できなかった。それに続いて、あまりにも多くも右に同じく。

死は、いついかなる瞬間にもある。どの地点でも、われわれの目の前に開けている大通り、それが死だ。

…。

この光景を見ている人間も、いつか死んでいく。今こうして、死に逝くカイユのように…。

例えば、一丈青という名の海棠の花。…花は、いつか散る。かの島国に咲く誇り高き桜よりは、『長生き』するだろう。だが、それだけの話だ。…逃げても無駄だ。それより、逃げるな。

…、さて。

エンセイが、すぐに『見た目だけは』息絶えた後のカイユの下に駆けつける。もう流石に、前にもいったように『瀉血』というレベルではない。既に、カイユは肉体的に青ざめていた。ついさっきの、肌が紅潮していた面影は、既に全く無い。

…ダメと思いながらも、自分たちの希望的観測を胸に秘めて、エンセイは慎重に脈を測る。…脈は、無い。…カイユは永眠してしまった。

エンセイは思った。…この感覚はまるで、…ギョッとして青ざめる夢を見た後に似ている。


…更に、こう思う。もしかして、カイユも今、そういう感覚を味わっているのではないだろうか…?、と。

…。

……。沈黙は、意外にも短かった。


「カイ…。」
「カイユ様…。」
「だが。死に顔は、微笑んでいる…。」
「なんて、安らかな死に顔なんだ…。」

…!っと、誰かが驚く。

「ああ…!!伝説の厨具が…!」

伝説の厨具が人間の血を浴びて、ただの石になっていく。今尚、依然としているが、科学的原理は不明である。

「本当にただの石になっちまった…。」シェル君が貪狼壷だったモノを、直接触って確かめながらつぶやく。

…とても信じられない光景と現象を、不思議に思う一行に、彼は説明を始める。

「……そういえば、伝説の厨具はな…、」

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…。

…カイユの一部始終、その一連を見てパイランは、…いや、蘭飛鴻は思う。

『凱由(カイユ)…。彼は、誰よりも。餓えていた。…どんな美食と永久の食材よりも……、…愛と温もりに。そして、力と自分自身を求めていた。』

…そして、このオレも。同じく…。

彼は更にこう思った。『もしも、オレの歩む道が今と違ったら。もしかしたら、あの凱由(カイユ)のようになっていたかもしれない。』…。

…。

=======================================================

全体的な騒ぎが今…。やっと、静まり返る。

そうやって…。あまりにも多くの人間があっけにとられた後、待ち侘びた安らぎの静寂がやってくる。時を同じくして、彼が親切にやってくれた伝説の厨具に対する説明も終わる。

・・・。

その後、疲れをなだめるように、今までの活躍を総括するように、そっと劉昴星はつぶやく。

「これで裏料理界の、八百年も続いた歴史も終りなんだ…。」

その時、『汚らしいオッサン』の声が響く。

「…おい、劉昴星!」
「何ですか、おじさん?」
「ふつーはさ、実の父親に『おじさん』、はねぇだろ?」
「はっ…?だから、何を言っているんですか、おじさん!」
「…だからな。オレは、『浪子・エンセイ』は、行方不明の、ずっと探していた、マオ――お前の父親だといいたいんだよ、…オレはな。」
「えっ…?!!!!!」
「あっ気にとられるなよ、息子よ。」


…驚愕ってモノではない。周囲の人間も当然おどろいた。


「えぇ…????!!!!!で、でも…」
「パイには『私の夫と貴方の父は死んだ』みたいなことを聞かされただろ、あれ自体が『嘘』なんだよ。」
「…!!」
「…まぁ、人生が無意味で支配されちまったからな。結局、死んだも同然だ。だから、オレは裏料理界へ導かれたワケ、だが。…そこで、新しい父親になっちまった…。マオ、お前を捨ててな。」
「じゃあ!!??なんで捨てたの!!??」
「…捨てたかった。なにもかもを、ただそれだけだ。深いことは話さないほうがいい。…パイを殺したヤツは誰だ?…ショウアンのヤツが死んでよかった、と嘯きたくなるんだしな…。」


「そういえば、アルカンからパイの話は聞いたか?」
「えっ?なんで『おじさん』が知ってるの?」
「オレが話しておけと命じておいた。あいつにとってもそれは大事だから、…な。」
「じゃあ、アルカンとお母さんの関係って…?」
「…旧友だよ。…当然、オレのでもある。」

「まさか!」ギャラリーの一人が超のつく反応をする。

「…あのクズ、お前の兄弟子を取る前の話だ。…いいか?聞く耳を持つなら聞くんだ。」


その語る声は、まるで幻の音が意識の中で、電気なサウンドとして心地よく響くように聞こえた。そして、熱い口調が徐々に冷たくなっていくのも、心地よい幻の音楽として高く評価できた。…あぁ、そういえば、彼の名:燕青は水滸伝に主要な役割として登場する音楽と歌の名手が由来であった。


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…オレたちには、驚愕すべきある共通点がある。あまりにも、特別な起源についての共通点。それは、『一条の閃光』とも『閃光の嵐』とも、かつては呼ばれた。そして、その存在についての研究機関が存在し、彼等彼女等にとって、自分達の機関が存在する最大公約の理由と最終的な目的は、有機と無機の融合ではなく、霊と肉の融合だった。…千里の道も一歩から。そんな思いを掲げて、その研究機関は記念すべき一歩を踏む。

…やがて、そんな地道に一歩づつの努力を続けてあるモノを発見した。それが、『閃光の瞬き。』…。だが、時代が過ぎるにつれて、それに対しての発見と研究の成果は消えて行った。揉消し行動や禁書として処分されることが、相当頻繁にあったからだ。

だが、その機関は最終的に、そんな目にあい続けようとも、この中華大陸で、その地下世界で活き続けた。…それは、まるで主なる宗教が異端派たちを退治しても、尚も相変わらず、地下の寺院で旧きモノたちと古代の神々が祭られ続けていくように。

…。

…。

…さて、…はて。

…どうしてだろうか。

…どうして、彼女がそこに迷い込んだかはわからない。されど、未知なる不思議の国に夢を求めることは誰にだってあるだろう。…例え、そこが旧き地底や仄暗い深海にあろうとも。

…当然、不思議の国だなんて輝きと光に満ちた場所ではなく、そこは当然旧き国で『古きモノ』どもがいる。…とてもおぞましいヤツら。人の形を取っていることだけが幸い。…新しき構造が捨て去ったはずの恐るべき残骸ども。それでも、まだこの旧き国で生きている。かつての支配者とは違い、奇抜な姿をしていない恐怖だ。

かろうじて、言葉と会話が通じるだけでよかった、のかもしれない。彼等彼女等は約束の大切さを重んじていた。だが、その約束の大切さについて彼等彼女等の持つ信念には、彼女は到底理解が及ばなかった…。

そして、彼等彼女等は生存の条件を、明確に提示する。気になるその内容は、『この料理対決に勝つことが出来たら許してやる。』という、もはや契約と言うべき約束で料理対決。…だが、負けたら?『この裏料理界で五虎星になること』。

もしかしたら?の話だが、相手側の策略だった、のかもしれない。太陽を隠す洞窟は、この旧き国にもあったから。

…それでも、結果的に彼女は勝ったので、なんの危険と傷もなく、裏料理界から逃げ延びることが出来た。

…そういえば、何かを抱いて……?

…さて、一般の表に戻ってきた彼女は、形状しがたいほどにおぞましい旧き界隈を忘れようとした。あんな冥界の王が支配するような旧い場所は彼女には不似合いだし、太陽に自分を投影するほどを愛していた、から。

そして、主に自身のために、更正目的で弟子もとった。既に、姉弟の可愛い子供だっている。…旦那だって、『料理長』としてまっとうにやっている。…これで十分。いや、十二分じゃないか…。

…だが、旧き界隈自体は、彼女のことを決して全然忘れていない。むしろ、ずっと覚えていて、彼女を屠ろうとした。そのようなたくらみは延々と続いた。

…意外にも、不思議と。とっくに弟子は、それに気が付いていた。

段々ポツポツとその弟子は、この家族から完全にオサラバして、いつも一刻も早く逃げ出したいと思っていた。されど、子供達だけには気づいてもらいたくない、から、彼女はずっとそのことについて黙っていた。だけれども、それが一番手段として悪かった。

情けないことに、その夫は逃げた。怖かったのだ。そこまでして料理に、人生を賭けたくなかった。料理なんて、この世で尤もくだらないチンケなことだと思っていたくらいだ。…的を得た虚無主義。人生に、一切意味も価値もない。そのような考えからはその選択は当然だった。

……あぁ、バカバカしい…。だが、そっちの選択自体が、遥かに無意味で無価値だった。

後にその男は、「あなたの奥さんだったパイが、お亡くなりになられて…」と聞かされた。それについて、彼女の愛する弟子が最大の原因だったとも聞かされた。そのクズをうらむ前に、カスの方を殺したいと懇願した。…言うまでも無く、カスとはその男を指す。

そして、彼はいつも言う。『…なんて、人間の端くれですら無いオレ。』そいつは本当に人間のカスだよな。変に無意味に無価値に生きるより、さっさと野垂れ死ねばよかったのに…。

でも、彼は死ねなかった。…死んで詫びるくらいの尊い命は持っていなかった、だから。

その様な理由で、彼が裏料理界――梁山泊と言う旧き国にやってきたのは、永久食材――いや、永久贖罪の為。

贖罪…。それは、一つになることで達成される。…そして、またあの家に帰りたい。

…いつの日か。…そうだ。いつの間にか、彼は『梁山泊の最高幹部』にまでなったのだし…。

・・・。

…そうだ。

…劉昴星。あんたの一番大事な身内が殺された、一番の理由。それは、…全部あんたの親、全部そいつらの責任なんだ。

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「はい、種明かし。見事なる証明終了(Q,E,D)。…それにしても、ノックスの十戒第五条に違反しているな。…『汝の書く推理小説に中国人を登場させてはならない。』ってヤツの。」

「…そ、そんな、…えぇ。……な、何だって、…まさか!!…本当は、ショウアンじゃなくて…、あの事件は、全て母さんが発端で、そして、このエンセイっていうおじさんが、僕の、本当の、実の、死んだはずの父親だったなんて…。」

「…気をつけなさいよ。劉昴星。」一丈青・シャンが話に突如介入してくる。

「おい、辞めろ。お前のようなヤツは話をこじらせるだけだ。」
「別にいいでしょう…。全て箱で生きているけど死んでいる猫。何も信じないほうがいい。昔から、エンセイ様は重要で意味があることほど、ああやってダイレクトに、真実を語ることを良しとしないから、ね…。」

その話は、劉昴星のいくら料理の才能に恵まれている、といえど、論理的な思考に関しては、たかだか普通の子供程度で抑えられている知能で、どこまでも時間をかけて考えても一向にわからないだけだった。

「…えっ、それってつまり、『与太話』ってことなの?あるいは、『全くの捏造(フィクション)』とか…?…実を言えば、全部さっきのは僕を翻弄する、朦朧とさせる話で、エンセイさんは、本当は僕の父親では…、『無い』ということ…?」
「…猫の入っている箱を開けてみるんだな。開けない方が身のためだが…。だが、開けて見る価値はあるかもしれない。それでも、意味は無いが…。そうだ、マオ。…真実は死と同じくらいおそろしい…。だが、死を見つけるよりずっと難しい…。結局、見つけることが出来たヤツだけが幸運だっただけだ…。」


・・・。


――劉昴星は、静かに思う。

まるで、この訳が判らない、意味深で幻のようなおじさんの言葉も与太話なんだろうか?

本当に、このおじさんは僕の、ずっとそう思っていたけど、死に別れの…、そうではなかった…、本当のところ、生き別れた父親なのだろうか。…最終的にも、話の真と偽は判らなかった。

…それにしても、僕は一体何処から来て、何処へ行くのか?…なんてとぼしい収穫。…ただ、その疑問だけは残った。

…もう、僕の理解は及ばない。ただ何も無い空中を僕の思考は、意味の無いように頭がほぼからっぽの仙人、それみたいに浮遊しながら戯れているだけだった。

「…。よく物事が見通せないけど…。もう、これで裏料理界は終りなんだ。」
「…この決着(ケリ)はいつか着ける。あばよ、劉昴星。また会おう。」

エンセイはそんな捨て台詞を吐いて、去っていこうとしている。

「…。おじさん。あなたは、まさか本当のことを…?」
「…もう、話は終りだ。さぁ、帰るぞ。シャンにロウコ…。」


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終章~Grave of Spirit Beings and The Culture .

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…空を飛ぶ鳥。鈍色の空でもなく青空でもない空を飛ぶ鳥達。

…そんな大勢の鳥達が、今日も夜明けの空を飛んでいく。…なんて感慨深い景色なのだろう。全てこれでおわり、なのだろうか。

…。そういえば、同じ志(Blood Brothers)の…。霊性存在の…。同じ文化の中に生きた…。

…。

…。

…嗚呼。

…『便りが無いのが元気の証し。』という言葉を、かなり前から思い出すようになった。…オレとカイユ以外の五虎星…。あいつら、元気かな。どこでどうしているんだろうな…。

…さて。今こうして、カイユのお粗末ながらしっかりと、安息の地(プレイスオブレストインピース)としての役割を果たしている墓標に、酒をかけてやる。

…あの結末を一体誰が予想できたってんだ?そんな芸当、青い眼のあいつたちでも一切出来なかったぞ。

…。そんなこんなで。カイユの墓はオレが、とりあえず守ってる。「掘り返して復讐!!!!!」とか言うヤカラを退治して、カイユが望んでいた、やっとの安息を守るように。…とりあえず、だが。

…妙に、あのオレたちがあがめて止まない聖書(バイブル)を思い出す。…『水滸伝』。
宋江の昇天。死因は毒入りの酒。東洋のソクラテス。…偉大であり、高遠な聖人君子だった。だが、他の連中が教養と知性がアレなヤツらだった。

…そして、梁山泊の終焉。…巨星堕つ、か。
…その前に、カイユは巨星に当てはまるだろうか?我ながら、とてつもない愚問ってヤツだと思った。

…当てはまることにしとけ。めんどくさい。

実は、好きなヤツや支持しているヤツより、嫌いで反乱を企てている連中のほうが多かったアイツのことだ。お前は一体、いつの軍事主義首領で、どこの独裁者なんだ。…オレたちみたいなのがいなけりゃ、とっくに殺されてたくせに…。

…涙がこぼれ始めた。畜生。チクショウ。ちくしょう。畜生(チューシェン)!!
…あぁ、カイユ、アンタは最低の料理人だったよ。でも、最高だった。…どうだ?…最高の矛と盾だろ?両方とも勢い良すぎるくらいにガチィ!!!!ってやってみなや。…今に判るからよ。

…兎に角、オレがしばらくの間、父親の代わりになってやるよ。…今までも十二分にそうだった気がするが。…お前が生まれてから、父親どころか母親も親戚も兄弟もいなかったことを、こんなオレに、いつぞやかは忘れたが、一転の曇りもなく晴れやかに打ち明けてくれたな。

…それにしても。…カイユの声聞こえねぇかな。…どうしてなんだ。こういう時になんて役に立たねぇ超聴覚なんだ。こんなん持ってたって意味がねぇ。沈黙の領域を無くすからこその超聴覚なんだ。

…もういい。帰って酒を飲もう。それから寝る。…寝る。

……それにしても、もうすぐ『本格的な戦乱の時代』が始まるようだな。…カイユ。お前の読みは当たっていたんだな。厨師の時代が終わる…、その時を。


嗚呼、彼女が行く…。なんと可憐な金剛の輝き。懐かしい日本の香りを漂わせた『あの戦艦』がお披露目されるようだな…。

…故に、彼女は行く。

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――


…全く。どこまでもおちゃらけているが、それと同じくらいどこまでも有難いヤツだな。…この期に及んで礼を言う。ありがとう。…それに、あいつらも。…皆待ってるからな。……さぁ。

…もういい、もう、いいんだ。行け。私のことと、その世話は、もうどうでもいい。

…行くべき所?…それに、行き場所?

……、どこでもいい。私の元でも、その他のところでも…。

……あぁ、そうか。…おやすみ。…それじゃあな。…再見(サイチェン)。




―深淵なる『水滸伝』の暗示。ひょっとすると、『水滸伝』も怒りのあまり、人間世界をもう一度再創造したかったのだろうか。好漢たちは去っていく。




―終―


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Lastend,Over.


人生に意味も無く価値も無い。しかし、それを生きた証はそうではないと信じたい。

死=生
終焉の開始
スキマ精神。
超視覚の狭視界。
ハイテックパーカッション
オーパーツ。
濁る世界、そして透き通る石英.
仮面の独白。
自己の告白。
古きモノどものネスト。
深淵の伏魔。
閃光は嵐の中で輪舞を踊る。
一条の閃光は闇の中へ。
意志と表象としての…。
光と闇の構造(スキーマ)。
,プラトンの影絵と無知を知ること。
,軍艦の海。






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―はじめに―




…真実――。それは、死と同じように恐ろしい。でも、ずっと死を見つけるより難しい。…彼女は、確かに幸運だった。




○そして、あとがきへ。あとがきから愚痴へ。愚痴からステマへ。


※この小説は、いつまでたっても、艦これの提督初仕事が出来ないために書かれました。もう、こうなったらヤン・ウェンリーかリー提督の方になるしかねー!!!!!!!

…はじめまして、です。そうじゃない人は、ごきげんよう。作者です。拒食と断食という名の残0進行を基本実行しながら、書きました。つらい(確信)。

…だから、何や?って話ですが。

それにしても、こんな全ての意味においてあまりにも酷い、いまどきのマセガキ…いや、若い子に「なぁにぃそれぇえ?」とか言われそうな作品(悲哀)の二次創作小説を最後まで読了してくださり、本当に有難うございます。

…えぇ?

…やはり、時間の無駄でしたか。

ならば、ゲーセンに行ってバトルガレッガにアンダーディフィート、19XX、プロギアの嵐をやりましょう。
人生がガラリパラリと変わる素晴らしい名作達です。どれも、すごい(確信)。


一応言っておきますけど、バトルガレッガとアンダーディフィートは反戦ゲーですから、ね?!


○没これ~没案これくしょん。

・五虎星の残り三人他色々についていろいろ書きたかった。死にネタとか残酷なハッピーエンドじゃない方の終わり方も含めて。最後の方(エピローグってヤツ)をよく読んでみれば気が付くと思いますけど…。しかし、彼等彼女等には熱烈なファンがいるため(しかもほぼ顔見知り状態)なので、無理。…でも、書きたい。と言うわけで、要望があったら書きます(ご連絡をッ!!)。

・サンチェ君の出番。

・シェル君の存在感。

・ジパング宝玉伝やフードハンター双雷との関係とか。

・もっと深いけどやっぱり、相対的に浅いシューティングとミリタリーネタ。

・好きな作品のステマ。

・『自立爆竹(ロケット)先生』とか言う記述。…えぇ。はい。出典元はわかるでしょうか?答えはWEBで(※この小説はWEB小説です。)!!

・カイユ様は桃ゼリーが好物、だという割とどうでも良すぎてアレな話。

―以上のは、深くて暗い上にゴミ溜めの底に沈めておいた…。いつか、深海棲案として復活するかも(※させたい)…。


○資料ご請求の御方。

こいつ様です(迫真)。

この小説は資料集めが、一番難易度厳しかった。CAVEシューの難易度ランキングベスト5に入る作品並に難しかった。…ええ。

もう凄まじいほどに集まらなかったんですが…。それでも、バトルガレッガ小説を書いたときの資料を、流用することによりそれを解決、しました。

…だけど、例えそんな中でも。歴史に名を残す名作SF小説を執筆した巨匠たちの最高傑作や水滸伝解説書の最高峰というべき書籍が手に入ったことは、本当に奇跡的です。本当に、それすぎてアレすぎます。

我が神よ!まことに有難うございます!

…あと、一応だけれども。金剛関連のこともちょっと調べました。ドレッドノート以前、もしくはその軍艦以前の海戦とか。勉強になりました(幼稚園児並の感想)。

そして、一応。わが国との戦争で使われた十分なのがあるくらいに、清王朝は軍艦(※ただし外国の独逸製)持ってたんですけど…。確か名前は定遠、だったかな…。別にそういうのは知らなくていい、ねぇ。原作には一つもそういう要素が無いんだから、…ねぇ。

結論:愛すべき資料達に!!!!サンクス!メルシー!グラッツェ!謝々!スッゲーッマジで感謝!!


○『バトルガレッガ』とは。

――自らが作り出した最強兵器たち…。それは今、最大の敵となった。

―未だ科学が人類に幸福をもたらすと考えられていた時代。男が男らしく、女が女らしく暮らしていくのに、なんの抵抗も無かった時代を舞台に、機械技師のウェイン兄弟が連邦国家に対し戦いを挑む縦スクロールシューティングゲームです。

―公式サイト(http://www.8ing.net/prd/garegga/)より引用。


ライジング(現エイティング)大神様の造りし名作。近くのゲーセンで稼動していたら、是非是非コインいっこでプレイを。

…そして。一応、拙著で当該ゲームの二次創作小説あります。どうぞ(是非是非)。『バトルガレッガ~Hi-Teck Diesel Punk.』ってシリーズに纏めてます。どうぞ(二度目)。


○『UR』。

まず、『Underchina Restaurant』は、『Underground Resistance』と『Underwater Rampart』のもじりで、後者二つはどちらもデトロイトテクノの名曲に使用された名前です。頭文字(イニシャル)は全て『UR』。

楽曲自体はYoutubeやiTunesなどで簡単に見つかる、と思います。

それで、梁山泊のモットーと言うのは…。

…ウェイン兄弟の姿勢はアンチ連邦(連邦=強大な敵)なわけで、
アンチメジャーを標榜しているUnderground Resistanceと
重なるものがありますね。

―http://noppo2.skr.jp/archives/000024.htmlのコメントより。


…ところで、あの中型戦車が高速で急加速させて、自機に突っ込んでくるところってまさに初見殺しですよ、ねぇ(唐突)。

一面とそのボス自体、そのいきなりぶっぱしてくるドリーム砲台も含めて、この時点でそうかもしれないですが、あのゲームはあまりにも初見殺しが多すぎます。

…ひどい(迫真)。


○『アンダーディフィート』とは?


我が駆るは、天翔る鉄騎兵──。

大陸を二分する帝国と連邦の戦争が始まってから既に十数年─── 

疲弊の極みに達した両陣営は互いに歩み寄り、停戦の期日を取り決める。

来たるべく停戦の日に向け、続々と投入される新兵器や試作機たち…

かつてない戦いが、今、始まろうとしている───。

――公式サイトより引用。


名作。近くのゲーセンで稼動していたら、是非是非コインいっこでプレイを。


○『アンダーディフィート』は、シリアスな反戦主義ゲームのはずなのに、意外とシュールすぎてアレな件について。


…一面の牛が爆撃に巻き込まれる。牛の出るゲームは良いゲームby外山神。
…二面に登場する水陸両用戦車(現実世界ではまだ研究中)。浮いてる(二重の意味で)。
…五面のラーテ(と思わしき超大型戦車)君が普通の戦車を踏み潰していく演出。やりすぎ(震え声)。
…二周目でのリザルト画面を飾る水着姿。なんのゲームだよ、これ(唖然)。
…スコアや撃墜数を稼げば稼ぐほど増えていくリザルト画面の『死傷者(推定)数』。
…ロケット先生で止めを刺して、ガッツポーズをした瞬間に表示されるリザルト画面の『死傷者(推定)数』。
…五面の成り行きからして、新兵器のお披露目がしたかった、としか思えないほど上層部が酷い(義憤)。
…半公式の呼び名を参考にして、公式が正式名称をつける。
…公式で三バカ呼ばわりされている五面道中の中ボス(哀愁)。
…今のゲームらしからぬ一面ボスからの初見殺し。
…『自機が空中戦車』という発想。


○…さて、注意事項を敷衍すると。

矢鱈滅多等に、拙著の作品内で人命の扱いが酷いのは、やはり原作における世界観の死生観に、ある程度準拠した、というのもありますが、それ以上に上記のシューティングゲーム二作品に悪影響を受けたというのもあります。

ガレッガは、自爆しながらゲームを進めていくゲームです。よくある残機とボンバーを大切にするような作品ではありません。
アンデフは、確かにガレッガとシステムは全く違います(それでもバトルガレッガのグレフ版とも言うべき作品です。)が、やたら戦争の無意味さと無価値さを表現するために容赦ない演出を入れてきています。


…早い話。ああいうのに見慣れているんですよ(ゲーム脳)。イヤだなぁ。


○『あの戦艦』とは?

HEEEYYYYYY!!!!金剛型戦艦第一艦(ネームシップ)こと金剛デース!!!!!!

元々は、Mordunismと殺伐の固まりかつ武骨すぎて萌えっ気なんて一センチもなかったこんな私ですが、今では萌えるプリチーな妹や仲間ともども愛されているんデース。

ユーノウだと思いますが、ワタシは一番上の姉だから当然、後期型としての妹がいるのネ。

…そういう妹たちの名前は、二番艦『比叡』三番艦『榛名』四番艦『霧島』と言うのネ。

…そして、私たち四姉妹だけではなく、他の仲間達も我が国の地名から取られているんデース。この理由は、各自調べてくだサーイ。知れば知るほど、Amazing!!!!

…なんて、心優しいお方なのデスか……?

Oohh!そうそう。あと、ごく最近から、やたらめったら勘違いしている人がたくさんいるので、一応説明しておきますガ、そこでは、人を守るためにあるのであって、人殺しのためにいるワケじゃぁないんですよ、コレが。

無論、中には『元々は人を殺すために作られた道具を、Monsterや怪獣とだけ戦わせてまで、守るためだけに、使うなどとアレンジして美化するなど笑止。』という全うな意見を持つ御方もいますガ…。

仕方ないじゃぁないデスか…。今までに私たちに向けられた偏見と矛先なんて、兵器を作り出した科学者、提督に軍部のお偉いさんに向けられたのに比べれば、まだまだちゃちいのデスよ…。

確かに、味方の誤射や衝突事件で死んだり、爆撃機による集中攻撃を受けての一方的虐殺での撃沈、互角の戦いだったけどこちらが力尽きての、物量作戦での壮絶な攻撃を受けた末の戦死、拷問としか言いようが無い水爆実験の被験体にされる、原因不明で謎しかない理由での沈没、…敵方の潜水艦に『暗殺』されることも、姉妹の一人をかばって自分が犠牲者になってしまうことも、たくさんありました。

…だけれども、もういいんデス。

なにもかもが全部、深海という名の無機質と有機質の融合する真理の地に沈んでしまったから…。

そう、ここが…。

Where in The I Shall a Sleep….

Yes,This is a Terminal….

…Relax.…Relax.…Relax.…Relax.


○最後に。

…あの時。原作の様々な理不尽設定と戦いながら、いろいろ考えていた。

そもそも、時代設定はいつなのか?
原作においての、アロー戦争や日清戦争他戦史面での設定は?
大多数もの登場人物がいくつなのか御年齢(おとし)がわからない。女性(特に西太后)のが一番知りたい←止めておけ。
参考にしようにも、解釈が分かれすぎなファンとねらーの意見と主張。
戦闘機どころか飛行機は存在しているのか?…それなら、戦車と軍艦はどうなのか?『産業革命数十年後』?
もしかして、本当はアーケードゲーマーだったりする?
原作の表紙とアニメに登場していないキャラ全ての公式カラーリング。
全登場人物を網羅する完全公式の身長比較表プリーズギブミー。
仙道及び道士と仙人は、現実の存在として存在するのか?もしも、いるとしたら、超人としてか人間としてか?とか。

…嗚呼、全部が寅丸星ちゃん並の強敵だった。特に、御年齢(おとし)と時代設定関係がまさにそれだった……。あのタイトーレーザーめ…(※話が逸れてます)。

…けど、やっぱり原作が一番偉大。中華料理より一番偉大。そういう感想(あっさり終了)。

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